【コラム】

暮らしのサウンドビジュアル

32 スピーカーで聴くバーチャルサラウンド

 

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以前、ヘッドフォンで聴くバーチャルサラウンドについて取り上げましたが、今回はそのスピーカー版です。AC-3やDTSといったソースは、5.1chや7.1chといった多チャンネルのスピーカーを使用して再生するのが本来の姿なのですが、それを2chのスピーカーで代用するというのが、バーチャルサラウンドです。

今回も、CyberLink社の「PowerDVD7」に搭載されている「Dolby Virtual Speaker」「TruSurround TX」「CyberLink Virtual Speaker」の3種類のバーチャルサラウンドを聴き比べてみることにします。使用するソースは、KraftWerk初のライブDVD「Minimum-Maximum」。もちろん5.1chです。

と、ここで、とんでもないことが判明してしまいました。Minimum-Maximumには、確かに5.1chのオーディオトラックが含まれているのですが、そのトラックはDTSなのです。それ以外のオーディオトラックはPCMの2chのみで、AC-3は含まれていません。筆者が使用しているPowerDVD7は「Power DVD7 Deluxe モバイルシアター」というパッケージで、DTSの再生機能は搭載されていないのです。というわけで、「PowerDVD7 モバイルシアター専用DTSパック」を同社のショッピングサイトから購入して来ました。ところが、「PowerDVD7 モバイルシアター専用DTSパック」の中身は、レジストキーだけで、そのキーを入力することで、DTSの再生のブロックが解除されるという仕組みになっています。その「PowerDVD7 モバイルシアター専用DTSパック」(というかレジストキー)は、アップグレード版の「Power DVD7 Deluxe モバイルシアター」よりも値段が高いので、実際のところ、DTSが必要なら、最初からデスクトップシアターの方を購入しておいた方が低価格です。

さて、それでは試聴に移ります。試聴には、1枚目の(Minimum-Maximumは2枚組みです)最終トラック「TRANS EUROPE EXPRESS」を使用しました。

Dolby Virtual SpeakerとTruSurround TX、CyberLink Virtual Speakerでは、どう違って聞こえるのか

まずは、Dolby Virtual Speakerからです。ステレオからDolby Virtual Speakerに変更すると、(当たり前ですが)サウンドが立体的に感じられるようになります。それまでの2chでも、ある程度は音源の位置などは表現できていたのですが、それは左右の位置関係がメインのものでした。それに対して、Dolby Virtual Speakerをオンにした場合では、前後の位置関係がはっきりとしてきます。また、ステージからの音だけでなく、会場内の音も、従来のステレオでは特定の位置から聞こえてくるということは少なかったのですが、Dolby Virtual Speakerをオンにした状態では、はっきりと自分の周囲から聞こえて来るようになります。

また、ステレオでの再生時に比べて、低音が強調されている感じがしますが、これは「.1」の部分をエミュレートしているのでしょう。

続いて、TruSurround TXも聴いてみます。TruSurround TXモードにすると、Dolby Virtual Speakerとは、明らかに音の拡がり方の傾向が変化するのが分かります。TruSurround TXでは、Dolby Virtual Speakerに比べて、音は狭い範囲で鳴っているように聞こえます。また、音楽自体は非常にはっきりとしているのですが、Dolby Virtual Speakerのときのように、会場の音まで聞こえるというわけではありませんし、臨場感という点では、Dolby Virtual Speakerの方が強く感じられます(強すぎると感じる人もいるかもしれません)。TruSurround TXでは、セリフなどの輪郭をはっきりさせる「Dialog Clarity Enhancement」という機能が搭載されていて、PowerDVD7では、デフォルトの状態でオンになっています。そのせいかと思い、オフにしてみたのですが、全体的な傾向は変わりありませんでした。

最後に、CyberLink Virtual Speakerも聴いてみます。CyberLink Virtual Speakerは、ヘッドフォンのときにもそうでしたが、Dolby Virtual SpeakerとTruSurround TXの中間といった感じの再生を行います。今回試聴しているソースは、ライブ版なのですが、そのソースの中からステージよりも会場の音を強調しているのがDolby Virtual Speakerで、それとは逆にステージ上の音を強調しているのが、TruSurround TXという感じなのですが、CyberLink Virtual Speakerは、その2つの中間といった感じです。また、音の広がる範囲も、Dolby Virtual Speaker→CyberLink Virtual Speaker→TruSurround TXの順番です。

ただし、必ずしも中間がよいかというと決してそういうわけではありません。臨場感に関してはDolby Virtual Speakerよりも貧弱で、クリアさはTruSurround TXに届かないといった感じではあります。ただし、今回はソースがソースなので、また別のものを聞けば、違った感想になるのかもしれません。

標準では、「STEREO」となっている音声出力を「Dolby Virtual Speaker」に切り替えると、確かに強いサラウンド感を体験することができる

Dolby Virtual Speakerでは、「標準」「ワイド1」「ワイド2」の3つの再生モードを選択できる。下に行くほど広がり感は強くなる

TruSurround TXでは、ステージ上の音のみという感じになる。「Dialog Clarity Enhancement」をオフにしてもその傾向はあまり変わらない

CyberLink Virtual Speakerでは、再生モードを3種類から選ぶことができるが、最も広い状態にしても、Dolby Virtual Speakerに比べると、広がり感は貧弱

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インデックス

連載目次
第116回 クラッチバッグのようなデザインのBluetoothスピーカー「Beoplay A2」
第115回 デスクトップのリスニング環境に適した「SoundBlaster X7」
第114回 ComplyイヤーチップのPシリーズは使い方を選ぶがスグレモノ
第113回 Complyイヤーチップのプレミアムモデルとスタンダードモデルとの差を探る
第112回 最新ノイズキャンセリングヘッドホンの性能を検証(3)
第111回 最新ノイズキャンセリングヘッドホンの性能を検証(2)
第110回 最新ノイズキャンセリングヘッドホンの性能を検証(1)
第109回 標準付属品のイヤホンから買い替える高"コスパ"イヤホン(7)
第108回 スマートフォンに適したBluetoothスピーカー(8)
第107回 標準付属品のイヤホンから買い替える高"コスパ"イヤホン(6)
第106回 標準付属品のイヤホンから買い替える高"コスパ"イヤホン(5)
第105回 標準付属品のイヤホンから買い換える高"コスパ"イヤホン(4)
第104回 標準付属品のイヤホンから買い換える高"コスパ"イヤホン(3)
第103回 標準付属品のイヤホンから買い換える高"コスパ"イヤホン(2)
第102回 標準付属品のイヤホンから買い換える高"コスパ"イヤホン(1)
第101回 多機能アクティブスピーカー「SoundBlaster Axx」を使ってみた
第100回 手軽なところからスタートするハイレゾ音源再生環境(4)
第99回 手軽なところからスタートするハイレゾ音源再生環境(3)
第98回 手軽なところからスタートするハイレゾ音源再生環境(2)
第97回 手軽なところからスタートするハイレゾ音源再生環境(1)
第96回 Bluetoothスピーカーの置き方(4)
第95回 Bluetoothスピーカーの置き方(3)
第94回 ちょっと便利なBluetoothスピーカー「Creative Airwave HD」
第93回 Bluetoothスピーカーの置き方(2)
第92回 Bluetoothスピーカーの置き方(1)
第91回 いまさらながらのインターネットラジオ(3)
第90回 スマートフォンに適したBluetoothスピーカー(7)
第89回 いまさらながらのインターネットラジオ(2)
第88回 いまさらながらのインターネットラジオ(1)
第87回 ミニマムなデジタル録画環境として「nasne」はあり? なし?
第86回 インドア用のヘッドホンを買い換えた
第85回 スマートフォンに適したBluetoothスピーカー(6)
第84回 スマートフォンに適したBluetoothスピーカー(5)
第83回 スマートフォンに適したBluetoothスピーカー(4)
第82回 スマートフォンに適したBluetoothスピーカー(3)
第81回 スマートフォンに適したBluetoothスピーカー(2)
第80回 スマートフォンに適したBluetoothスピーカー(1)
第79回 キャビネット容積が限られたスピーカーでも高音質を実現するCONEQ技術
第78回 ボーズの1.1chホームシアターシステム「Lifestyle 135」の音を聴いてみた
第77回 チューナー内蔵レコーダーの登場で便利になった「スカパー!HD」
第76回 ヤマハらしいサウンドのヘッドホン「HPH-200」
第75回 実用的なAndroidタブレットプレーヤ「ZiiO」
第74回 ソニー、RM-PLZ530D - 学習機能付きリモコンのマクロ機能を使いこなす
第73回 ウォークマンがiPodを再び抜いた件に関して
第72回 2011年のレシーバー
第71回 3D放送の一般化にはまだ時間がかかるらしい
第70回 年末以降のテレビ需要
第69回 何インチからが大画面か
第68回 圧縮音楽ファイルのエンコード方法とビットレートによる音質の違いを調べる
第67回 ZEN X-Fi Styleを使ってみた
第66回 JBLの最新モデルを聞き比べ(後編)
第65回 JBLの最新モデルを聞き比べる(前編)
第64回 クリエイティブのBluetoothスピーカー「ZiiSound D5」を試してみた
第63回 一から始めるAV機器ネットワーク(3) - もっとメジャーになってほしいDLNA
第62回 ちょっと大きめのパーソナルTVが欲しい - シャープのLED AQUOS「LC-32SC1」を試用する
第61回 一から始めるAV機器ネットワーク(2) - もっとメジャーになってほしいDLNA
第60回 一から始めるAV機器ネットワーク(1) - もっとメジャーになってほしいDLNA
第59回 セカンドテレビを最新仕様にアップグレードするネットワークメディアプレーヤー(2)
第58回 セカンドTVを最新仕様にアップグレードするネットワークメディアプレーヤー
第57回 デジタルノイズキャンセングヘッドホン「MDR-NC300D」
第56回 ウォークマン最高モデル Xシリーズを試す - ノイズキャンセリング効果とサウンド
第55回 ウォークマン最高モデル Xシリーズを試す - 操作性と付属機能
第54回 遅ればせながらBDレコーダーを導入(1)
第53回 高音質タイプの骨伝道ヘッドホンを試してみる - ティアック Filltune「HP-F200」
第52回 HDMI 1.3時代のAVアンプ機能比較(1) - エントリークラス編
第51回 エバーグリーンの低価格メディアリペアキットを試す
第50回 W-ZERO3[es]とクリエイティブ「Xmod」で「どこでも高音質」を実現したい(2)
第49回 マクセルの高音質システムヘッドフォン「Vraison」を試す
第48回 流行の丈夫なDVD-Rはどこまで頑丈か
第47回 小型デジタルハイビジョン液晶テレビ、東芝REGZA 20C2000を使う(2)
第46回 小型デジタルハイビジョン液晶テレビ、東芝REGZA 20C2000を使う(1)
第45回 ドルビーバーチャルスピーカー採用2.1chサラウンドシステムをセッティング
第44回 W-ZERO3 [es]とクリエイティブ「Xmod」で「どこでも高音質」を実現したい(1)
第43回 ICレコーダーを購入
第42回 骨伝導ヘッドフォンを買ってみた
第41回 USBからの電源でも動作する高音質アダプター
第40回 低価格化が進むフルHD37V型液晶テレビ
第39回 ソニー「ネットジューク」最新モデルをチェックする(2) - 新モデルの音質
第38回 ソニー「ネットジューク」最新モデルをチェックする(1) セッティングとUI
第37回 オーディオテクニカの新型インナーイヤーヘッドフォンを聞く
第36回 圧縮音楽の補正技術は本当にうまく働くのか
第35回 ロジクールのマルチリモコン「Harmony」の途中経過
第34回 団塊の世代をターゲットにした製品って
第33回 ロジクールのマルチリモコンを試す(1)
第32回 スピーカーで聴くバーチャルサラウンド
第31回 HD DVDとBlu-ray Disc、ソフトのタイトルは?
第30回 コンパクトなスピーカーの音量は足りる?
第29回 HDDのトラブルに泣かされる
第28回 徹底的に低価格な謎のMP3プレイヤーの試聴にチャレンジする
第27回 ヘッドフォンサラウンドを手軽に試す(2)
第26回 ヘッドフォンサラウンドを手軽に試す
第25回 余ったメディアの再利用
第24回 1年前と最新のポータブルオーディオプレイヤー
第23回 測定したヘッドフォンの音漏れ以外の性能はどうなのか(2)
第22回 測定したヘッドフォンの音漏れ以外の性能はどうなのか(1)
第21回 ポータブルオーディオプレーヤーの音をスピーカーで鳴らす
第20回 ヘッドフォンの音漏れは、言われているほどにうるさいのか(4)
第19回 ヘッドフォンの音漏れは、言われているほどにうるさいのか(3)
第18回 ヘッドフォンの音漏れは、言われているほどにうるさいのか(2)
第17回 ヘッドフォンの音漏れは、言われているほどにうるさいのか(1)
第16回 ビデオ用8倍速のDVD-R DLメディア登場
第15回 ポータブルスピーカーはどのくらい聴けるのか(2) - Travelシリーズ編
第14回 ポータブルスピーカーはどのくらい聴けるのか(1) - Travelシリーズ編
第13回 BauXar Marty101試聴会に行ってきました
第12回 オーディオセレクター+パワードスピーカーでのリスニング環境構築
第11回 マルチメディア用2.1chスピーカーをオーディオ製品として聴く
第10回 精度を要求しない測定環境(2) - 身の回りの機器を測定する
第9回 精度を要求しない測定環境(1)
第8回 DLNAガイダンス準拠機器ではないネットワークメディアプレーヤーを試す
第7回 音楽データをどこに置くかがポイント
第6回 バッファローLinkTheaterでPC内の音楽ファイルを再生する
第5回 PC内のMP3ファイルをNAS-M7HDに取り込む
第4回 今度こそNAS-M7HDでPC内の音楽をストリーミング再生する
第3回 突然、長瀬産業のHMP-100のレビューを行う
第2回 オーディオのネットワークを考えてみる(2)
第1回 オーディオのネットワークを考えてみる(1)

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