【コラム】

暮らしのサウンドビジュアル

26 ヘッドフォンサラウンドを手軽に試す

 

26/116

Dolby Headphoneは、2chのヘッドフォンで5.1chのサウンドに近い表現を実現するための技術です。専用のヘッドフォンも何機種か登場していますし、AVアンプなどを中心に多くの機器で採用されるようになりました。また、ビクター「SU-DH1」のように単体のサラウンドアダプターも登場しています。

さて、そういった機器を使用するというのもよいのですが、とりあえず手軽にDolby Headphoneの効果を試してみたいという場合に便利なのが、DVD再生ソフトです(ハードウェアなどにバンドルされているOEM版などでは、この機能が割愛されているケースもあります)。

単品で販売されているWindows用DVD再生ソフトとしては、「PowerDVD」と「WinDVD」がやはりメジャーです。このうち、PowerDVDの新バージョン「PowerDVD 7」が7月28日に発売されるので、こちらを使用してみたいと思います。パッケージ版は28日の発売ですが、ダウンロード版は18日から先行発売されているので、現時点ですでに購入することが可能です(というか購入しました)。

PowewDVDには、いくつかのバージョンがあり、開発元であるサイバーリンクが販売する「PowerDVD Standard」「PowerDVD Deluxe モバイルシアター」「PowerDVD Deluxe デスクトップシアター」のほかに、ソースネクストが販売する「PowerDVD Personal」「PowerDVD Expert」、さらにOEM版でハードウェアにバンドルされる「PowerDVDne」などさまざまなバージョンがあるのですが、今回は「PowerDVD Deluxe モバイルシアター」を使用しています。「PowerDVD Deluxe モバイルシアター」と「PowerDVD Deluxe デスクトップシアター」との差は、DTS-ES、DTS Neo:6といったcodecが含まれるかどうかという点だけで、これらのcodecは後から追加することも可能となっています。また、ソースネクスト版のほうにはDolby Headphoneやドルビーバーチャルスピーカーの機能は搭載されていません(ただし、2chで5.1chサウンドに近い表現を行う機能の、CyberLink Headphoneは搭載されます)。

今回のバージョンアップでの変更点は、H.264への対応、画質のアップ、ノートPCで使用した場合のバッテリー駆動時間のコントロール、インタフェース/スキンの追加、UPnP機能のサポートと保護技術の実装といったところです。音声に関してPowerDVD 6から変わった点は、2~5chのソースを擬似的にマルチチャンネル化する「CLMEI」が8chスピーカーをエミュレートできるようになったことでしょうか。

ヘッドフォンでの再生に関して、PowerDVDは、「Stereo」「Dolby Surround Compatible Downmix」「Dolby Headphone」「TruSurroundXT Headphone」「CyberLink Headphone」の5種類の方法を選択することができます。このうち、ヘッドフォンだけでサラウンド再生を実現できるのは「Dolby Headphone」「TruSurroundXT Headphone」「CyberLink Headphone」の3種類です。というわけでこれらを聴き比べてみました。素材は、借りてきたDVD Videoに入っていた映画の予告編です(時間が短くてよいので)。

最新版のDVD再生ソフト「PowerDVD 7」

「Dolby Headphone」「TruSurroundXT Headphone」「CyberLink Headphone」の3種類のヘッドフォンサラウンドを使用できる

Dolby Headphone

Dolby Headphoneでは、「DH1:標準的な部屋」「DH2:会議室」「DH3:映画館」の3種類の音場効果を選択することができます。

StereoからDolby Headphoneに変更すると、確かに左右の拡がり感は増します。しかしヘッドフォンなので、上下方向や前後方向への拡がり感が感じられるというわけではありません。音場効果をDH1からDH3に変更すると、残響は増えますが、全体的な音の傾向は変わらないようです。

映画の予告編が自然な感じで再生される「Dolby Headphone」。「DH1:標準的な部屋」「DH2:会議室」「DH3:映画館」の3種類の音場を選択可能だが、赤い部分までエミュレートしているというわけではなく、単に広さだけを変えているようだ

TruSurroundXT Headphone

残響音は、Dolby Headphoneに比べて広がりがあるように聞こえるのですが、セリフや背景音などはTruSurroundXT Headphoneのほうが狭い範囲で鳴っているように感じられます。また、Dolby Headphoneではセリフにも残響がかかる感じなのですが、こちらはかからないか、あるいはかかり方が弱いため、セリフの聞こえ方がはっきりしています。この傾向は「Dialog Clarity Enhancement」をオフにしても残ります。また、重低音は3種類のなかで最大です。

映画ではなく音楽のライブDVDなどなら、こちらの方が感じが出そうなTruSurroundXT Headphone。低音とセリフ重視

CyberLink Headphone

Dolby Headphoneに近い感じのサウンドですが、拡がり感はこちらのほうが少なめです。また、全体の音からセリフ部分が浮き上がっているような感じになります。モードを「リビングルーム」「映画館」「スタジアム」から選択できますが、広くなればなるほど、中高音域の反響が増えるといった感じです。

「CyberLink Headphone」は、Dolby HeadphoneとTruSurroundXT Headphoneの中間ぐらいの感じ

さて、3種類のヘッドフォンサラウンドを試してみましたが、聴きやすさと迫力はTruSurroundXT Headphone、臨場感というか、それらしさが出るのがDolby Headphoneといったところでしょうか。ただ、どの方式でも本来の5.1chのような左右以外の広がりは感じられません。やはりこれはスピーカーを鳴らしてサラウンドを実現する方法でなければ難しいのでしょう。

さて、PowerDVD 7には、2chのスピーカーでサラウンドを実現するバーチャルサラウンドが「Dolby Virtual Speaker」「TruSurroundTX」「CyberLink Virtual Speaker」と、3種類装備されています。これらを聴き比べるとどうなるのか気になるところですが、この原稿を書いているのはすでに深夜です。さすがに大音響でスピーカーを鳴らして、というのはためらわれます。さらに言うなら、ポセイドンアドベンチャーの予告編はもう見飽きました。というわけで、2スピーカーでのバーチャルサラウンドについては、次回試してみたいと思います。

2スピーカーでのバーチャルサラウンドも3種類選択できる

26/116

インデックス

連載目次
第116回 クラッチバッグのようなデザインのBluetoothスピーカー「Beoplay A2」
第115回 デスクトップのリスニング環境に適した「SoundBlaster X7」
第114回 ComplyイヤーチップのPシリーズは使い方を選ぶがスグレモノ
第113回 Complyイヤーチップのプレミアムモデルとスタンダードモデルとの差を探る
第112回 最新ノイズキャンセリングヘッドホンの性能を検証(3)
第111回 最新ノイズキャンセリングヘッドホンの性能を検証(2)
第110回 最新ノイズキャンセリングヘッドホンの性能を検証(1)
第109回 標準付属品のイヤホンから買い替える高"コスパ"イヤホン(7)
第108回 スマートフォンに適したBluetoothスピーカー(8)
第107回 標準付属品のイヤホンから買い替える高"コスパ"イヤホン(6)
第106回 標準付属品のイヤホンから買い替える高"コスパ"イヤホン(5)
第105回 標準付属品のイヤホンから買い換える高"コスパ"イヤホン(4)
第104回 標準付属品のイヤホンから買い換える高"コスパ"イヤホン(3)
第103回 標準付属品のイヤホンから買い換える高"コスパ"イヤホン(2)
第102回 標準付属品のイヤホンから買い換える高"コスパ"イヤホン(1)
第101回 多機能アクティブスピーカー「SoundBlaster Axx」を使ってみた
第100回 手軽なところからスタートするハイレゾ音源再生環境(4)
第99回 手軽なところからスタートするハイレゾ音源再生環境(3)
第98回 手軽なところからスタートするハイレゾ音源再生環境(2)
第97回 手軽なところからスタートするハイレゾ音源再生環境(1)
第96回 Bluetoothスピーカーの置き方(4)
第95回 Bluetoothスピーカーの置き方(3)
第94回 ちょっと便利なBluetoothスピーカー「Creative Airwave HD」
第93回 Bluetoothスピーカーの置き方(2)
第92回 Bluetoothスピーカーの置き方(1)
第91回 いまさらながらのインターネットラジオ(3)
第90回 スマートフォンに適したBluetoothスピーカー(7)
第89回 いまさらながらのインターネットラジオ(2)
第88回 いまさらながらのインターネットラジオ(1)
第87回 ミニマムなデジタル録画環境として「nasne」はあり? なし?
第86回 インドア用のヘッドホンを買い換えた
第85回 スマートフォンに適したBluetoothスピーカー(6)
第84回 スマートフォンに適したBluetoothスピーカー(5)
第83回 スマートフォンに適したBluetoothスピーカー(4)
第82回 スマートフォンに適したBluetoothスピーカー(3)
第81回 スマートフォンに適したBluetoothスピーカー(2)
第80回 スマートフォンに適したBluetoothスピーカー(1)
第79回 キャビネット容積が限られたスピーカーでも高音質を実現するCONEQ技術
第78回 ボーズの1.1chホームシアターシステム「Lifestyle 135」の音を聴いてみた
第77回 チューナー内蔵レコーダーの登場で便利になった「スカパー!HD」
第76回 ヤマハらしいサウンドのヘッドホン「HPH-200」
第75回 実用的なAndroidタブレットプレーヤ「ZiiO」
第74回 ソニー、RM-PLZ530D - 学習機能付きリモコンのマクロ機能を使いこなす
第73回 ウォークマンがiPodを再び抜いた件に関して
第72回 2011年のレシーバー
第71回 3D放送の一般化にはまだ時間がかかるらしい
第70回 年末以降のテレビ需要
第69回 何インチからが大画面か
第68回 圧縮音楽ファイルのエンコード方法とビットレートによる音質の違いを調べる
第67回 ZEN X-Fi Styleを使ってみた
第66回 JBLの最新モデルを聞き比べ(後編)
第65回 JBLの最新モデルを聞き比べる(前編)
第64回 クリエイティブのBluetoothスピーカー「ZiiSound D5」を試してみた
第63回 一から始めるAV機器ネットワーク(3) - もっとメジャーになってほしいDLNA
第62回 ちょっと大きめのパーソナルTVが欲しい - シャープのLED AQUOS「LC-32SC1」を試用する
第61回 一から始めるAV機器ネットワーク(2) - もっとメジャーになってほしいDLNA
第60回 一から始めるAV機器ネットワーク(1) - もっとメジャーになってほしいDLNA
第59回 セカンドテレビを最新仕様にアップグレードするネットワークメディアプレーヤー(2)
第58回 セカンドTVを最新仕様にアップグレードするネットワークメディアプレーヤー
第57回 デジタルノイズキャンセングヘッドホン「MDR-NC300D」
第56回 ウォークマン最高モデル Xシリーズを試す - ノイズキャンセリング効果とサウンド
第55回 ウォークマン最高モデル Xシリーズを試す - 操作性と付属機能
第54回 遅ればせながらBDレコーダーを導入(1)
第53回 高音質タイプの骨伝道ヘッドホンを試してみる - ティアック Filltune「HP-F200」
第52回 HDMI 1.3時代のAVアンプ機能比較(1) - エントリークラス編
第51回 エバーグリーンの低価格メディアリペアキットを試す
第50回 W-ZERO3[es]とクリエイティブ「Xmod」で「どこでも高音質」を実現したい(2)
第49回 マクセルの高音質システムヘッドフォン「Vraison」を試す
第48回 流行の丈夫なDVD-Rはどこまで頑丈か
第47回 小型デジタルハイビジョン液晶テレビ、東芝REGZA 20C2000を使う(2)
第46回 小型デジタルハイビジョン液晶テレビ、東芝REGZA 20C2000を使う(1)
第45回 ドルビーバーチャルスピーカー採用2.1chサラウンドシステムをセッティング
第44回 W-ZERO3 [es]とクリエイティブ「Xmod」で「どこでも高音質」を実現したい(1)
第43回 ICレコーダーを購入
第42回 骨伝導ヘッドフォンを買ってみた
第41回 USBからの電源でも動作する高音質アダプター
第40回 低価格化が進むフルHD37V型液晶テレビ
第39回 ソニー「ネットジューク」最新モデルをチェックする(2) - 新モデルの音質
第38回 ソニー「ネットジューク」最新モデルをチェックする(1) セッティングとUI
第37回 オーディオテクニカの新型インナーイヤーヘッドフォンを聞く
第36回 圧縮音楽の補正技術は本当にうまく働くのか
第35回 ロジクールのマルチリモコン「Harmony」の途中経過
第34回 団塊の世代をターゲットにした製品って
第33回 ロジクールのマルチリモコンを試す(1)
第32回 スピーカーで聴くバーチャルサラウンド
第31回 HD DVDとBlu-ray Disc、ソフトのタイトルは?
第30回 コンパクトなスピーカーの音量は足りる?
第29回 HDDのトラブルに泣かされる
第28回 徹底的に低価格な謎のMP3プレイヤーの試聴にチャレンジする
第27回 ヘッドフォンサラウンドを手軽に試す(2)
第26回 ヘッドフォンサラウンドを手軽に試す
第25回 余ったメディアの再利用
第24回 1年前と最新のポータブルオーディオプレイヤー
第23回 測定したヘッドフォンの音漏れ以外の性能はどうなのか(2)
第22回 測定したヘッドフォンの音漏れ以外の性能はどうなのか(1)
第21回 ポータブルオーディオプレーヤーの音をスピーカーで鳴らす
第20回 ヘッドフォンの音漏れは、言われているほどにうるさいのか(4)
第19回 ヘッドフォンの音漏れは、言われているほどにうるさいのか(3)
第18回 ヘッドフォンの音漏れは、言われているほどにうるさいのか(2)
第17回 ヘッドフォンの音漏れは、言われているほどにうるさいのか(1)
第16回 ビデオ用8倍速のDVD-R DLメディア登場
第15回 ポータブルスピーカーはどのくらい聴けるのか(2) - Travelシリーズ編
第14回 ポータブルスピーカーはどのくらい聴けるのか(1) - Travelシリーズ編
第13回 BauXar Marty101試聴会に行ってきました
第12回 オーディオセレクター+パワードスピーカーでのリスニング環境構築
第11回 マルチメディア用2.1chスピーカーをオーディオ製品として聴く
第10回 精度を要求しない測定環境(2) - 身の回りの機器を測定する
第9回 精度を要求しない測定環境(1)
第8回 DLNAガイダンス準拠機器ではないネットワークメディアプレーヤーを試す
第7回 音楽データをどこに置くかがポイント
第6回 バッファローLinkTheaterでPC内の音楽ファイルを再生する
第5回 PC内のMP3ファイルをNAS-M7HDに取り込む
第4回 今度こそNAS-M7HDでPC内の音楽をストリーミング再生する
第3回 突然、長瀬産業のHMP-100のレビューを行う
第2回 オーディオのネットワークを考えてみる(2)
第1回 オーディオのネットワークを考えてみる(1)

もっと見る

人気記事

一覧

新着記事

山田孝之、映画『ジョジョ』史上最低の殺人鬼役に「たぶん素に近い」
[15:50 9/28] エンタメ
メルセデス・ベンツ、クラス初のオープンモデル「Cクラス カブリオレ」発売
[15:47 9/28] テクノロジー
JPCERT/CC、OpenSSLの脆弱性に注意喚起
[15:46 9/28] 企業IT
トヨタ「C-HR」新型コンパクトSUV、日本仕様の概要を初公開 - 年末に発売へ
[15:42 9/28] ホビー
シスコ、1万円台の無線LAN APなど、「Cisco Start」のラインナップを拡充
[15:40 9/28] 企業IT