【コラム】

暮らしのサウンドビジュアル

24 1年前と最新のポータブルオーディオプレイヤー

    村田修  [2006/07/13]

    みなさんも多くは、すでに何らかのポータブルオーディオプレイヤーを持っているのではないでしょうか。筆者は「ポータブルオーディオプレイヤー」と呼んでいますが、どうもこの呼び名はマイナーなようで、googleで検索すると126,000件のヒット。それに対して「デジタルオーディオプレイヤー」は2,240,000件のヒットとなっており、どうもこちらのほうが優勢です。しかし、「MP3プレイヤー」で検索すると3,220,000件となっていて、こちらのほうがさらに優勢です。ところが、iPodだと4億件を超えてしまうので、一番普及している呼び名はiPodなのかもしれません。

    カセットテープの時代、ソニーが携帯オーディオプレイヤー「ウォークマン」を発売、この衝撃はすさまじく、巷では携帯オーディオプレイヤーといえば「ウォークマン」。東芝のウォークマン、あるいはAIWAのウォークマンなどと呼ばれて(もちろんメーカーはそんな呼び方はしない)いたのを思い出します(ちなみに東芝の製品はウォーキーで、AIWAの製品はカセットボーイ)。

    さて、筆者が最初に触れたMP3プレイヤー(当時は、その呼び名でまさしく正しかった)は、モデル名は忘れてしまいましたが、確かメモリーが32MBだったように記憶しています。このころは、怪しさ大爆発の激安MP3プレイヤーや自作キットなども登場しはじめていました。その後、PPCをプレイヤー代わりにしたりRIOの「SU10」を使ったりしていたのですが(これの256MBモデル)、現在のところ、クリエイティブメディアの「Muvo TX FM」というモデルに落ち着いています。これは、1年ぐらい前に購入したのですが、FMチューナーとマイク録音機能を備えており、また、本体にUSB端子を備えていてPCに直挿しできるというものです。電源は単四電池×1。メモリーは、筆者の使用しているモデルは1GBです。今でも、問題なく使用できるスペックなのですが、すでに販売されていません。

    さて、このように、使っていてとくに不満がない製品を持っている場合、その分野の製品の情報を積極的に集めたりすることあまりないでしょう。しかし、筆者の場合、新製品の情報を集めることも仕事の一部です。いくら自分が気に入っていようが、避けて通るわけにはいきません。それだけならまだしも、レビュー用に製品が届いたりすることもあります。今回は、6月26日にクリエイティブメディアから発表された新モデル「ZEN V」が、評価用に送られてきました(この方面の物欲を封印していたのに)。

    とはいえ、1年前(発売はもっと前だったはずなので、実際には1年半ぐらい前)のモデルと、最新モデルとでどう違うのか、比較するチャンスではあります。読者の方の中にも、ちょっと前のポータブルオーディオプレイヤーを使っていて、最新のモデルはどうなのか、少し気になっているという人もいるのではないでしょうか。

    ZEN Vと(左)Muvo TXFM(右)。横は広くなったが、縦は短くなった。厚みは同等

    第1のポイント - カラーディスプレイ

    今や当たり前ですが、最新のモデルであるZEN Vでは、ディスプレイがカラーになっています。Muvo TX FMはモノクロの有機ELでしたが、ZEN Vでは画像表示も可能な(ZEN V plusでは動画表示も可能な)カラーディスプレイに変更されています。

    そんなのは当然では、と思う方も多いかもしれませんが、筆者にとっては、携帯電話のディスプレイがカラーになったときと同じような新鮮さでした。もちろん、これ以前にもハードディスク搭載モデルでカラーディスプレイ搭載というモデルには触れたことはありますが、それらは比較的大きいモデルです。それらと比べて圧倒的に小さいこのサイズでカラーというのは、実際に使ってみるとかなりインパクトがあります。

    ZippoとMINTIAの中間ぐらいのサイズでカラー表示を実現というのはかなりのインパクト

    第2のポイント - 音が~

    さて、2台を聴き比べてみます。今回試聴に使用したのは、KRAFTWERKのTOUR DE FRANCE。192kbpsのMP3でエンコードしてあります。また、付属のヘッドフォンはまだエージングが済んでいないのと、この手のプレイヤーを購入した人は、自分の気に入ったヘッドフォンで聴くのだろうということで、ゼンハイザーのPX100とELAGAのDR-592CIIで聴き比べています(もちろん、同じ条件で聴き比べたいというのもあるのですが)。もちろん、どちらのプレイヤーもイコライザーはオフにした状態で聴いています。

    まずはPX100で聴いてみると、2台のプレイヤーのサウンドに、かなり差があることに驚かされます。低域はどちらもさほど差はないのですが、高域の伸びは明らかにZEN V。また、左右の拡がり感もZEN Vのほうに分があります。ヘッドフォンをDR-592CIIに代えてみると、低音部分でも2台の音の違いに気づきます。残念ながら、Muvo TX FMのほうでは、中低音に若干くもりが感じられます。また、音の定位についてもZEN Vのほうがはっきりとしています。

    どうもアンプが違うような感じです。同社に問い合わせてみると、最近のZENシリーズではこのアンプを使用しているが、筆者の使用しているMuvo TX FMとでは世代が違うとのことです。また、音質以前の問題なのですが、Muvo TX FMでは曲と曲の間でノイズが入るという問題があります。もちろんZEN Vではそのようなことはありません。Muvo TX FM完敗。

    第3のポイント - 音楽ファイルの転送

    ZEN Vには、音楽ファイルを転送するための方法が(音楽ファイル以外も転送できる)、3種類用意されています。「ZEN Vメディアエクスプローラー」を使用する方法、「Creative MediaSourceオーガナイザー」を使用する方法、そして、Windows Media Player 10を使用する方法です。

    一方のMuvo TX FMには基本的に2つの方法があります。1つはZEN Vにも用意されている「Creative MediaSourceオーガナイザー」を使用する方法、そしてもうひとつは、単純にファイルコピーするという方法です。

    「ZEN Vメディアエクスプローラー」はWindowsのExplorerライクな操作性で、初めてポータブルオーディオプレイヤーを使うという方にも考慮されているツールです。しかし、WindowsのExplorerで直接音楽ファイルをコピーするということは不可能になりました。以前のポータブルオーディオプレイヤーでは、USBマスストレージクラスに対応していて、普通にファイルコピーというのがスタンダードだったのですが、Internet経由で定額制の音楽配信を考慮すると、DRM10対応ということになり、今後は特定の転送ツールを使用するという方向がスタンダードになっていくのではないでしょうか。

    Creative MediaSourceオーガナイザーは、従来からの(Live!以降のSoundBlasterシリーズと基本的に同じ)UIをそのまま継承しているツールです。そのため、これらに慣れたユーザーには、こちらのほうが使いやすいはずです(筆者もこちらに含まれる)。

    また、ZEN Vに付属するこれらのツールは、ダイレクトにMP3ファイルにエンコードすることができません(とカタログなどに書かれている)。MP3にエンコードする場合には、Windows Media Player 10を使用するということになっています。

    ZEN Vに付属する「ZEN Vメディアエクスプローラー」

    ZEN Vに付属する「Creative MediaSourceオーガナイザー」

    Muvo TX FMに付属する「Creative MediaSourceオーガナイザー」

    第4のポイント - 操作性

    実は、筆者はMuvo TX FMに関しては、目をつぶっていても操作できるぐらいに、慣れてしまっています。そのため、それと比べるとZEN Vが操作しにくく感じるのはしかたがないことですし、実際、この2つの操作性を比べて客観的な評価が行えるとは思えません。

    ZEN Vには4方向+プッシュのスティックが1つとボリュームの上下のボタン、そして独立したマイク録音ボタン、電源ボタンが装備されています。また、電源ボタンにはロック機構付きです。一方のMuvo TX FMには2方向+プッシュのジョグダイヤルが1つと、ボリュームの上下、そして電源ボタンが装備されています。ロック機構はありますが、メニューの中から選択していく方式です。

    機能が多い分(静止画の表示やスケジュール管理など)、ZEN Vのほうがファンクションは増えていますが、これも慣れてしまえば、とくに問題にはならないでしょう。

    ZEN Vの4方向+プッシュのスティック

    ZEN Vはボリュームの上下(オレンジ色のボタン)とマイク録音用のボタン

    ZEN Vの電源ボタンはロック機能付き

    Muvo TX FMは2方向+プッシュのジョグダイヤルと、ボリュームの上下

    Muvo TX FMの電源ボタン。ロック機構はメニューの中から選択する方式

    第5のポイント - そのほかの機能について

    音楽ファイルの転送の部分でも書きましたが、ZEN VはUSBマスストレージクラスには対応していないため、単純にUSBポートに接続してファイルコピー、というわけにはいきません。Muvo TX FMはUSBメモリーとしても使えたのですが。ZEN Vも容量の一部をドライブとして使用することが可能で、その場合にはUSBマスストレージクラスに対応したデバイスとして動作します。ただし、あらかじめディスクとして使用する領域を確保しておき、その上でZEN Vをディスクモードにしておく必要があります。この点は、Muvo TX FMのほうがフレキシブルです。さらに、USBケーブルが必要なデバイスでUSBメモリーとして使えても、そのメリットは半減という気もします。ケーブルは一般的なミニBタイプです。京セラのAH-K3001Vと共用できるので、筆者としては便利なのですが。

    また、ZEN Vのみにある機能として、ダイレクトエンコード、スケジューラ、静止画の表示などがあります。これらは使う人によってその価値は変わるでしょう。静止画の表示はCDのジャケットなどを表示させるのにはよいでしょうが、スケジューラはプレイヤーにまで搭載しなくても、という気もします。ダイレクトエンコードは最近のモデルにはよく搭載されてきているのですが、アナログからの転送になるので時間はかかります。カセットテープなどからの転送には便利なのかもしれませんが、筆者はあまり必要性を感じていません。ダイレクトエンコードには、付属のZEN V側が2.5mmのマイクロプラグというケーブルを使用します。

    電源は、Muvo TX FMが単四電池だったのに対して、ZEN Vはリチウムイオンバッテリーです。USB経由で充電を行います(別売のACアダプターも使用可)。また、充電は必ずしもPCで行う必要はありません。最近のAVアンプやコンポ、ネットワークメディアプレイヤーなどにはUSBポートを備えているものがありますが、そういったものでも充電は可能です。ただし、USBポートに接続しても、そこから音楽を再生させることはできません(USBマスストレージデバイスではないので)。

    USBポートに直挿しできてUSBメモリーとしても使えるMuvo TX FM

    PCとの接続の際にはケーブルが必要なZEN V。ただし、汎用的なケーブル

    一番右がダイレクトエンコード用のマイクロジャック。ヘッドフォン用とサイズを換えているのは、誤差し込みを防ぐ効果あり

    まとめ

    ZEN Vを一言で言うのなら、ハイC/Pモデルということになるのでしょう(2GBモデルが15,800円、1GBモデルが12,800円というのは確かにハイC/P)。もちろん、値段だけではなく、性能面でも充実しています(とくに、今後発売されるZEN V Plusは全部入りという感じ)。しかし何よりも、従来機に比べて、音質面で相当改善されているという部分が、プレイヤーとしては大きいと筆者は感じました。

    ZEN Vはその価格から、エントリーユーザーも視野に入れた広い範囲をターゲットにした製品ではあるわけですが、対象はそれだけに限らず同社の以前のモデルを使用していたユーザーに(ポータブルオーディオプレイヤーのユーザーだけでなく、DOS時代から同社のサウンドカードを使用していたようなユーザーも含まれる)、新しいチョイスとして提供するという面も持ち合わせているそうです。そういった面では、ユーザーによって使い分けられる付属ツールという点も評価できるでしょう。

    ある意味、ターゲットにされ狙われた感のある筆者ですが、どうしようか悩みどころではあります。筆者が購入するとしたら、ZEN VではなくZEN V Plusのほうでしょう。4GBモデルもラインナップされるということですし。

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