【コラム】

暮らしのサウンドビジュアル

21 ポータブルオーディオプレーヤーの音をスピーカーで鳴らす

 

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このところヘッドフォンの比較ばかりやっていたので(しかもノイズの)、その反動というわけでもありませんが、今回は「思いっ切りスピーカーで鳴らす」ということをやってみたいと思います。といっても、一般的なポータブルオーディオプレーヤー向けの外部スピーカーなら誰でもやっていることですし、音の傾向もなんとなく分かります。ですので、今回は、あまりオーディオ的ではないデバイスに接続して、どのように鳴るのかを聴いてみたいと思います。

ノートPCで鳴らす

ノートPCで音楽を聴くぐらいは誰でもやっていると思いますし、AV機能を重視したノートPCなら、それなりの音質で音楽を楽しむことができます。しかし、そういった機種は、ノートPCとしては、やはり異質な製品だと筆者は思います(筆者が異質なのかもしれませんが)。筆者は、仕事柄もあり、やはりノートは1kgを切らないと、買う気にはなかなかなれません。

さて、というわけで、現在筆者の手元には、日本ビクターのInterLinkシリーズ最新モデル(といっても、2年ぐらい前の製品で、その後、新モデルが出ていないだけなのですが)、XP-741があります。このXP-741は、1kgを切るA5ファイルサイズのボディの中にステレオスピーカーを装備しています。実際、筆者は今までまともにこのスピーカーから出る音を聴いたことがありません。このマシンで音楽を聴く場合にはヘッドフォンを使用するでしょう。XP-741には光学ドライブは装備されていないので、ほかのPCでリッピングしたファイルをネットワーク経由でXP-741に持ってきているのですが、デジタルオーディオプレーヤーの母艦としては非常に便利です。ですが、デジタルオーディオプレーヤーがあるばかりに、よりいっそうXP-741で音楽を再生する機会が減っているようにも思えます。では、早速聴いてみたいと思います。

予想通りあまり良い音はしない。ノートとしては良いのだが

結論としては、やっぱり予想したとおりでした。音は薄いし、ボリュームを大きくすると聴きにくくなるしといった感じです。とはいえ、ヘッドフォンで聴いている分には、けっこう良いサウンドなので、あくまでもスピーカー(とアンプ)の問題だと思われます。またこれも予想していたことですが、このサイズにステレオスピーカーというのには無理があると思われます。

ラジオで鳴らす

ラジオで音楽を聴くというと非常に当たり前のように思えます。なので、ここでは、その非常に当たり前のことをやってみようと思います。

筆者の手元にある家電製品の中で、おそらく1、2を争う古さなのが、このラジオ、三菱電機製の「5P-468」というモデルです。周波数の表示がまだHzではなくてC(サイクル)だし、当然真空管式です。詳しく説明すると、これはトランスレス式の5球スーパーで、中波帯と12MCまでの短波帯(あくまでもサイクル)とが受信できるモデルで、おそらく1956~58年あたりの製品だと思います。

この50年も前の製品は、現在でもちゃんと動作しています(もちろん、壊れそうな部品は換えてありますが)。この手の製品は、オークションなどでわりと手軽に入手できるのですが、それなりのレストアを請け負ってくれる業者などから入手するか、あるいは自分でなんとかできる(あるいは自分でなんとかできる範囲で使う)場合以外は、手を出さないほうが無難です(燃えたり感電したりする可能性がある)。もちろん、メーカーに問い合わせても、そんな昔の製品の資料はないでしょうし、製品について知っている人間も残っていないでしょう。

50年前の製品とは思えないデザイン。このプラスチッキーなチープさがインテリア的に楽しい

さて、普通にラジオ放送を聴くことはできるのですが(ラジオなので当然ですが)、今回はこれとデジタルオーディオプレーヤーとを接続して鳴らしてみたいと思います。

方法は2あります。1つは中波帯、あるいは短波帯のトランスミッターを使用する方法です。これは、離れた部屋にデジタルオーディオプレーヤーをおいて掛けっぱなしにするような場合には向いているでしょうが、残念ながら、そういった帯域のトランスミッターの市販品は見かけません。もちろん自分で作ればいいのですが、今回は単純にデジタルオーディオプレーヤーの音を再生したいだけですので、そこまで手をかけたくはありません。

もうひとつの方法が、PU端子を使用する方法です。当時のラジオにはたいていPU端子というレコードプレーヤーを接続するための端子が付いているので、これを利用するというわけです。現在のレコードプレーヤーは、MMやMCタイプのカートリッジが主流です。これらのカートリッジからの信号は出力電圧が低いため、フォノイコライザーなどを経由して昇圧してからアンプに入力されますが(もしくは、アンプにフォノイコライザーが内蔵されている)、当時のレコードプレーヤーに付いていたのはセラミックカートリッジなどの出力電圧の大きいカートリッジです。ですので、そういったプレーヤーを接続するための端子なら、デジタルオーディオプレーヤーをダイレクトに接続しても大丈夫なのではと思います。

親切なことに、5P-468の背面パネルに接続のための方法が書かれている。筆者の持っているほかのメーカーのラジオではそんなことはない

5P-468のPU端子は、よくアンテナなどを接続するのに使われるような、ねじ止め式の端子です。ここにデジタルオーディオプレーヤーを接続するには、片方が3.5mmのミニプラグで、もう片方がバラ線というケーブルが必要になります。こういったケーブルはあまり市販されていないので、自分で作るしかありません。ミニプラグの手持ちがあれば話は簡単です。ない場合には、100円ショップなどでイヤフォンを買ってきて、ミニプラグとケーブル部分だけを使用すればOKでしょう。

こんな感じのケーブルを作ればOK。しかし、コストを考えたら、100円ショップでイヤフォンを買ってきて分解したほうが安上がり

よく、「真空管の温かいサウンド」などということがいわれますが、それはちゃんとしたオーディオ製品についていわれることで、こういった製品ではそんなことは当てはまらないでしょう。とはいえ、早速再生してみたいと思います。

デジタルオーディオプレーヤー「Muvo TX FM」を接続して再生。景色的にはすごい違和感

このラジオの最終段は30A5です(というか、この当時のトランスレスの最終段は30A5というのが定番)。そしてこの30A5というのは、オーディオ的にはほとんど見向きもされない球なのです。

しかし、デジタルオーディオプレーヤーを接続した5P-468はなかなか悪くない印象です。ラジオを鳴らしているときとはまったく違った音質です。もちろん、高域の伸びはあるわけではないし、豊かな低域というのとはかけ離れています。さらにノイズも多めです(トランスレスだからなぁ。でもラジオの受信時に比べるとクリア)。ただ、聴きやすい音であることは確かです。とくに小音量でボーカル物とかをかけた場合にはなかなか聴かせます。

1つ問題だったのは、PU端子に接続した場合、5P-468側のボリュームが機能しなくなることです。そのため、音量の調節はデジタルオーディオプレーヤー側で行う必要があります。また、そのデジタルオーディオプレーヤーがライン出力端子を持っていても、そちらで接続してはいけません。これはインピーダンスの違いによるものだと思うのですが、ラインアウトからの出力をPU端子に入れると、音が極端に大きくなって、しかもボリュームの調整が効かないという状態になります(夜中にびっくりした)。ヘッドフォン端子を利用して接続するようにしましょう。

というわけですが、このシステムはけっこう気に入ってしまいました。しばらくの間、筆者のデスクサイドで稼働させる予定です。

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インデックス

連載目次
第116回 クラッチバッグのようなデザインのBluetoothスピーカー「Beoplay A2」
第115回 デスクトップのリスニング環境に適した「SoundBlaster X7」
第114回 ComplyイヤーチップのPシリーズは使い方を選ぶがスグレモノ
第113回 Complyイヤーチップのプレミアムモデルとスタンダードモデルとの差を探る
第112回 最新ノイズキャンセリングヘッドホンの性能を検証(3)
第111回 最新ノイズキャンセリングヘッドホンの性能を検証(2)
第110回 最新ノイズキャンセリングヘッドホンの性能を検証(1)
第109回 標準付属品のイヤホンから買い替える高"コスパ"イヤホン(7)
第108回 スマートフォンに適したBluetoothスピーカー(8)
第107回 標準付属品のイヤホンから買い替える高"コスパ"イヤホン(6)
第106回 標準付属品のイヤホンから買い替える高"コスパ"イヤホン(5)
第105回 標準付属品のイヤホンから買い換える高"コスパ"イヤホン(4)
第104回 標準付属品のイヤホンから買い換える高"コスパ"イヤホン(3)
第103回 標準付属品のイヤホンから買い換える高"コスパ"イヤホン(2)
第102回 標準付属品のイヤホンから買い換える高"コスパ"イヤホン(1)
第101回 多機能アクティブスピーカー「SoundBlaster Axx」を使ってみた
第100回 手軽なところからスタートするハイレゾ音源再生環境(4)
第99回 手軽なところからスタートするハイレゾ音源再生環境(3)
第98回 手軽なところからスタートするハイレゾ音源再生環境(2)
第97回 手軽なところからスタートするハイレゾ音源再生環境(1)
第96回 Bluetoothスピーカーの置き方(4)
第95回 Bluetoothスピーカーの置き方(3)
第94回 ちょっと便利なBluetoothスピーカー「Creative Airwave HD」
第93回 Bluetoothスピーカーの置き方(2)
第92回 Bluetoothスピーカーの置き方(1)
第91回 いまさらながらのインターネットラジオ(3)
第90回 スマートフォンに適したBluetoothスピーカー(7)
第89回 いまさらながらのインターネットラジオ(2)
第88回 いまさらながらのインターネットラジオ(1)
第87回 ミニマムなデジタル録画環境として「nasne」はあり? なし?
第86回 インドア用のヘッドホンを買い換えた
第85回 スマートフォンに適したBluetoothスピーカー(6)
第84回 スマートフォンに適したBluetoothスピーカー(5)
第83回 スマートフォンに適したBluetoothスピーカー(4)
第82回 スマートフォンに適したBluetoothスピーカー(3)
第81回 スマートフォンに適したBluetoothスピーカー(2)
第80回 スマートフォンに適したBluetoothスピーカー(1)
第79回 キャビネット容積が限られたスピーカーでも高音質を実現するCONEQ技術
第78回 ボーズの1.1chホームシアターシステム「Lifestyle 135」の音を聴いてみた
第77回 チューナー内蔵レコーダーの登場で便利になった「スカパー!HD」
第76回 ヤマハらしいサウンドのヘッドホン「HPH-200」
第75回 実用的なAndroidタブレットプレーヤ「ZiiO」
第74回 ソニー、RM-PLZ530D - 学習機能付きリモコンのマクロ機能を使いこなす
第73回 ウォークマンがiPodを再び抜いた件に関して
第72回 2011年のレシーバー
第71回 3D放送の一般化にはまだ時間がかかるらしい
第70回 年末以降のテレビ需要
第69回 何インチからが大画面か
第68回 圧縮音楽ファイルのエンコード方法とビットレートによる音質の違いを調べる
第67回 ZEN X-Fi Styleを使ってみた
第66回 JBLの最新モデルを聞き比べ(後編)
第65回 JBLの最新モデルを聞き比べる(前編)
第64回 クリエイティブのBluetoothスピーカー「ZiiSound D5」を試してみた
第63回 一から始めるAV機器ネットワーク(3) - もっとメジャーになってほしいDLNA
第62回 ちょっと大きめのパーソナルTVが欲しい - シャープのLED AQUOS「LC-32SC1」を試用する
第61回 一から始めるAV機器ネットワーク(2) - もっとメジャーになってほしいDLNA
第60回 一から始めるAV機器ネットワーク(1) - もっとメジャーになってほしいDLNA
第59回 セカンドテレビを最新仕様にアップグレードするネットワークメディアプレーヤー(2)
第58回 セカンドTVを最新仕様にアップグレードするネットワークメディアプレーヤー
第57回 デジタルノイズキャンセングヘッドホン「MDR-NC300D」
第56回 ウォークマン最高モデル Xシリーズを試す - ノイズキャンセリング効果とサウンド
第55回 ウォークマン最高モデル Xシリーズを試す - 操作性と付属機能
第54回 遅ればせながらBDレコーダーを導入(1)
第53回 高音質タイプの骨伝道ヘッドホンを試してみる - ティアック Filltune「HP-F200」
第52回 HDMI 1.3時代のAVアンプ機能比較(1) - エントリークラス編
第51回 エバーグリーンの低価格メディアリペアキットを試す
第50回 W-ZERO3[es]とクリエイティブ「Xmod」で「どこでも高音質」を実現したい(2)
第49回 マクセルの高音質システムヘッドフォン「Vraison」を試す
第48回 流行の丈夫なDVD-Rはどこまで頑丈か
第47回 小型デジタルハイビジョン液晶テレビ、東芝REGZA 20C2000を使う(2)
第46回 小型デジタルハイビジョン液晶テレビ、東芝REGZA 20C2000を使う(1)
第45回 ドルビーバーチャルスピーカー採用2.1chサラウンドシステムをセッティング
第44回 W-ZERO3 [es]とクリエイティブ「Xmod」で「どこでも高音質」を実現したい(1)
第43回 ICレコーダーを購入
第42回 骨伝導ヘッドフォンを買ってみた
第41回 USBからの電源でも動作する高音質アダプター
第40回 低価格化が進むフルHD37V型液晶テレビ
第39回 ソニー「ネットジューク」最新モデルをチェックする(2) - 新モデルの音質
第38回 ソニー「ネットジューク」最新モデルをチェックする(1) セッティングとUI
第37回 オーディオテクニカの新型インナーイヤーヘッドフォンを聞く
第36回 圧縮音楽の補正技術は本当にうまく働くのか
第35回 ロジクールのマルチリモコン「Harmony」の途中経過
第34回 団塊の世代をターゲットにした製品って
第33回 ロジクールのマルチリモコンを試す(1)
第32回 スピーカーで聴くバーチャルサラウンド
第31回 HD DVDとBlu-ray Disc、ソフトのタイトルは?
第30回 コンパクトなスピーカーの音量は足りる?
第29回 HDDのトラブルに泣かされる
第28回 徹底的に低価格な謎のMP3プレイヤーの試聴にチャレンジする
第27回 ヘッドフォンサラウンドを手軽に試す(2)
第26回 ヘッドフォンサラウンドを手軽に試す
第25回 余ったメディアの再利用
第24回 1年前と最新のポータブルオーディオプレイヤー
第23回 測定したヘッドフォンの音漏れ以外の性能はどうなのか(2)
第22回 測定したヘッドフォンの音漏れ以外の性能はどうなのか(1)
第21回 ポータブルオーディオプレーヤーの音をスピーカーで鳴らす
第20回 ヘッドフォンの音漏れは、言われているほどにうるさいのか(4)
第19回 ヘッドフォンの音漏れは、言われているほどにうるさいのか(3)
第18回 ヘッドフォンの音漏れは、言われているほどにうるさいのか(2)
第17回 ヘッドフォンの音漏れは、言われているほどにうるさいのか(1)
第16回 ビデオ用8倍速のDVD-R DLメディア登場
第15回 ポータブルスピーカーはどのくらい聴けるのか(2) - Travelシリーズ編
第14回 ポータブルスピーカーはどのくらい聴けるのか(1) - Travelシリーズ編
第13回 BauXar Marty101試聴会に行ってきました
第12回 オーディオセレクター+パワードスピーカーでのリスニング環境構築
第11回 マルチメディア用2.1chスピーカーをオーディオ製品として聴く
第10回 精度を要求しない測定環境(2) - 身の回りの機器を測定する
第9回 精度を要求しない測定環境(1)
第8回 DLNAガイダンス準拠機器ではないネットワークメディアプレーヤーを試す
第7回 音楽データをどこに置くかがポイント
第6回 バッファローLinkTheaterでPC内の音楽ファイルを再生する
第5回 PC内のMP3ファイルをNAS-M7HDに取り込む
第4回 今度こそNAS-M7HDでPC内の音楽をストリーミング再生する
第3回 突然、長瀬産業のHMP-100のレビューを行う
第2回 オーディオのネットワークを考えてみる(2)
第1回 オーディオのネットワークを考えてみる(1)

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