【コラム】

暮らしのサウンドビジュアル

14 ポータブルスピーカーはどのくらい聴けるのか(1) - Travelシリーズ編

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筆者が最近気になっているアイテムの1つ、それがパワードスピーカーです。以前から利用されてきたデバイスではあるのですが、最近のモデルでは、それなりに音質に気を遣って作られている製品が増えてきているようです。やはり、このところのポータブルオーディオプレイヤーのヒットによるところが大きいのでしょう。

もちろんパワードスピーカーにはさまざまな製品があり、全部を一緒くたにしてしまうことはできません。たとえば価格面で見ても、先日発売されたサンワサプライのMM-SPL1だと1,344円といった価格が付けられていますが、BoseのM3だと49,980円、先日紹介した日本エム・イー・ティのMarty 101だと29,400円という価格が付けられています。これらの(パワードスピーカーとしては)ハイグレードなモデルは、すでにゼネラルオーディオの範疇の製品ではありませんし、特性を理解したうえで、そのサウンドとスタイルの両方を楽しむためのモデルでしょう。

一方、そこまでは高くない、10,000円前後で売られているクラスのパワードスピーカーにも変化が現れています。数年程前まで、このクラスのパワードスピーカーでは、2.1ch方式か、あるいはブックシェルフタイプに近いサイズのエンクロージャーを使用した製品が多く見られました。それに対して、最近ではよりコンパクトなモデルが主流となっています。これら最近の製品に共通している特徴は、バッテリー駆動が可能でポータブルオーディオプレイヤーと一緒に持ち歩けるということなのですが、多くのモデルで小型のネオジウムユニット+デジタルアンプという組み合わせが採用されています。

実際の所、ポータブルオーディオプレイヤーで外部スピーカーが必要なケースというのは、部屋でも使うという場合か、あとは旅行などに持っていくといったことぐらいしか筆者には思いつきません。部屋で使うという場合、ポータブルオーディオプレイヤーのライン出力を一般のオーディオ機器のライン入力に放り込んでやっても良いわけです。音質的には、こちらのほうが有利なケースが多いでしょう。しかし、すべての部屋にオーディオ機器を設置しているというわけではありませんし、メインの機器を設置していない部屋で音楽を聴くという場合に、これらのコンパクトなスピーカーはどれだけ使えるのでしょうか。気になるところです。

というわけで、これから何回かに渡って、持ち運び可能なパワードスピーカーをいくつか試聴していきたいと思います。

クリエイティブメディアのTravelシリーズ

第1回目は、たまたま筆者の手元にある、クリエイティブメディアのTravelシリーズ「TravelDock 900」と「TravelSound 400」を試聴してみたいと思います。

まずは、Travelシリーズについて簡単に紹介しておきましょう。Travelシリーズは、ポータブルオーディオプレイヤーを接続して使うことをメインに考えられた、バッテリー駆動が可能なポータブルスピーカーです。現在の主力モデルが、今回取り上げるTravelDock 900とTravelSound 400で、いずれもネオジウムユニット(振動板にチタンを採用しているため、同社ではネオチタンドライバーと呼んでいる)とデジタルアンプを採用した、ある意味、現時点ではスタンダードな仕様のポータブルスピーカーです。

TravelDock 900は、Dockという名前が示すとおり、ポータブルオーディオプレイヤーをダイレクトに接続することが可能なモデルです。とはいっても、USBなどで接続するのではなくて、本体にステレオミニプラグが装備されていて、そこにダイレクトに接続するという仕様になっています。そのため、ポータブルオーディオプレイヤーとの接続にケーブルは必要ありません。一方のTravelSoundは、プレーヤーとの接続にケーブルが必要となります。また、バッテリー駆動時の連続使用時間は、最大で単四電池4本でTravelDock 900が約32時間、TravelSound 400が約35時間と公表されています。

Travelシリーズはクリエイティブメディアの製品なので、iPod用というよりはZen / Muvo用という側面が強いのですが、アナログライン入力なので、どのプレイヤーで使ってもとくに問題はありません。

コンパクトなTravelシリーズはどんな音か

というわけで、実際に聴き比べてみたいと思います。この2モデルだけで聴いても判断しにくいと思うので、比較対象として前回取り上げたL3800も再び鳴らしてみます。

ここで、お詫びと訂正をしておかなければならないことがあります。このコラムの11回目で取り上げたI-Trigue L3800で、サブウーファーの音量をコントロールできないと書きました。しかし、実際にはリモコンにある「Select」ボタンを押すとボリュームの「+-」とBASSレベルの「+-」が切り替わるようになっていて、低音レベルのみの調整も可能だとのことです。実際に低音を調整すると、BASSを絞りきっとあたりでは、かなりフラットに感じられます。

低音のレベル調整はワイヤード/ワイヤレスのどちらのリモコンでも可能

「Select」ボタンを押すと、BASSレベルのコントロールモードになり、「BASS」インジケーターが点灯する

どちらのモデルも、あくまでポータブル向けのスピーカーですので、これで誰でも満足できるようなオーディオ性能を求めるというのは間違っているのですが……それでも試してみたく、早速試聴スタートです。

こんな感じで試聴をスタート

まずは、TravelDock 900から。L3800と比較すると、中域の表現能力やダイナミックレンジでやはり苦しいものがあります。同じソースをL3800で聴いた場合、それぞれの音が一つ一つはっきりと区別できるのですが、TravelDock 900の場合、それらが全部まとまってやって来るといった感じになります。低域は(L3800が豊かすぎるという面もあるのですが)、サイズなりのものです。高域はかなり歯切れのよいサウンドだと筆者には感じられます。高域に限らず、全体的に歯切れのよいサウンドというのがTravelDock 900の特徴と言えるのかもしれません。また、セパレーションもそれほど優れているとはいえません(このサイズのスピーカーにそんなことを求めるのは酷という気もしますが)。コンパクトなスピーカーでステレオ感を出すためのワイドステレオエフェクト機能も搭載されているのですが、この機能をオンにすると、高音部の出方が若干不自然に感じられます。

本体に装備されたステレオミニプラグにダイレクトにポータブルオーディオプレイヤーを接続できるTravelDock 900。たたむとメガネケースサイズになる

続いて、TravelSound 400です。価格的にはTravelDock 900よりも下のレンジの製品であるTravelSound 400ですが、それはDockなどの付加機能がないというせいで、決してサウンド的に下のグレードの製品というわけではありません。もちろん、レンジが広かったり解像度が高かったりするわけではありませんが、中域が自然に表現されており、それなりにまとまっているように筆者には感じられました。また、さきほどのTravelDock 900と比較した場合に、音の定位や音の広がりもこちらのほうが優れているように感じられます。バランスの良さという面からすれば、(ボーカルものなどの)一部のソースでは、L3800よりもいいのでは? と思わせる部分ももっています(もちろん、この2台は基本性能がまったく違うので、すべてのソースでそのような印象を受けるわけではありません)。

程よいバランスがなかなか聴かせるTravelSound 400

というわけで、今回は軽く試聴してみた上での感想でしたが、いくつか気になる点があります。というのは、クリエイティブメディアに問い合わせたところ、400のほうが若干高音が伸びる傾向にあるのではないか、また社内では「中音域は900のほうが……」という意見が多かったようなのです。筆者の感想とはまったく逆の結果です。もちろん、聴いているソースによっても変わるのでしょうが、一番考えられるのは、手元にあるTravelシリーズのうち、どちらかがエージングが済んでいない状態のものだということです。また、使用しているバッテリーの状態によっても、若干音が変わるようです。

というわけで、1週間ほど鳴らし続けてみて、もう1度レポートしてみたいと思います(次回に続く)。

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インデックス

連載目次
第116回 クラッチバッグのようなデザインのBluetoothスピーカー「Beoplay A2」
第115回 デスクトップのリスニング環境に適した「SoundBlaster X7」
第114回 ComplyイヤーチップのPシリーズは使い方を選ぶがスグレモノ
第113回 Complyイヤーチップのプレミアムモデルとスタンダードモデルとの差を探る
第112回 最新ノイズキャンセリングヘッドホンの性能を検証(3)
第111回 最新ノイズキャンセリングヘッドホンの性能を検証(2)
第110回 最新ノイズキャンセリングヘッドホンの性能を検証(1)
第109回 標準付属品のイヤホンから買い替える高"コスパ"イヤホン(7)
第108回 スマートフォンに適したBluetoothスピーカー(8)
第107回 標準付属品のイヤホンから買い替える高"コスパ"イヤホン(6)
第106回 標準付属品のイヤホンから買い替える高"コスパ"イヤホン(5)
第105回 標準付属品のイヤホンから買い換える高"コスパ"イヤホン(4)
第104回 標準付属品のイヤホンから買い換える高"コスパ"イヤホン(3)
第103回 標準付属品のイヤホンから買い換える高"コスパ"イヤホン(2)
第102回 標準付属品のイヤホンから買い換える高"コスパ"イヤホン(1)
第101回 多機能アクティブスピーカー「SoundBlaster Axx」を使ってみた
第100回 手軽なところからスタートするハイレゾ音源再生環境(4)
第99回 手軽なところからスタートするハイレゾ音源再生環境(3)
第98回 手軽なところからスタートするハイレゾ音源再生環境(2)
第97回 手軽なところからスタートするハイレゾ音源再生環境(1)
第96回 Bluetoothスピーカーの置き方(4)
第95回 Bluetoothスピーカーの置き方(3)
第94回 ちょっと便利なBluetoothスピーカー「Creative Airwave HD」
第93回 Bluetoothスピーカーの置き方(2)
第92回 Bluetoothスピーカーの置き方(1)
第91回 いまさらながらのインターネットラジオ(3)
第90回 スマートフォンに適したBluetoothスピーカー(7)
第89回 いまさらながらのインターネットラジオ(2)
第88回 いまさらながらのインターネットラジオ(1)
第87回 ミニマムなデジタル録画環境として「nasne」はあり? なし?
第86回 インドア用のヘッドホンを買い換えた
第85回 スマートフォンに適したBluetoothスピーカー(6)
第84回 スマートフォンに適したBluetoothスピーカー(5)
第83回 スマートフォンに適したBluetoothスピーカー(4)
第82回 スマートフォンに適したBluetoothスピーカー(3)
第81回 スマートフォンに適したBluetoothスピーカー(2)
第80回 スマートフォンに適したBluetoothスピーカー(1)
第79回 キャビネット容積が限られたスピーカーでも高音質を実現するCONEQ技術
第78回 ボーズの1.1chホームシアターシステム「Lifestyle 135」の音を聴いてみた
第77回 チューナー内蔵レコーダーの登場で便利になった「スカパー!HD」
第76回 ヤマハらしいサウンドのヘッドホン「HPH-200」
第75回 実用的なAndroidタブレットプレーヤ「ZiiO」
第74回 ソニー、RM-PLZ530D - 学習機能付きリモコンのマクロ機能を使いこなす
第73回 ウォークマンがiPodを再び抜いた件に関して
第72回 2011年のレシーバー
第71回 3D放送の一般化にはまだ時間がかかるらしい
第70回 年末以降のテレビ需要
第69回 何インチからが大画面か
第68回 圧縮音楽ファイルのエンコード方法とビットレートによる音質の違いを調べる
第67回 ZEN X-Fi Styleを使ってみた
第66回 JBLの最新モデルを聞き比べ(後編)
第65回 JBLの最新モデルを聞き比べる(前編)
第64回 クリエイティブのBluetoothスピーカー「ZiiSound D5」を試してみた
第63回 一から始めるAV機器ネットワーク(3) - もっとメジャーになってほしいDLNA
第62回 ちょっと大きめのパーソナルTVが欲しい - シャープのLED AQUOS「LC-32SC1」を試用する
第61回 一から始めるAV機器ネットワーク(2) - もっとメジャーになってほしいDLNA
第60回 一から始めるAV機器ネットワーク(1) - もっとメジャーになってほしいDLNA
第59回 セカンドテレビを最新仕様にアップグレードするネットワークメディアプレーヤー(2)
第58回 セカンドTVを最新仕様にアップグレードするネットワークメディアプレーヤー
第57回 デジタルノイズキャンセングヘッドホン「MDR-NC300D」
第56回 ウォークマン最高モデル Xシリーズを試す - ノイズキャンセリング効果とサウンド
第55回 ウォークマン最高モデル Xシリーズを試す - 操作性と付属機能
第54回 遅ればせながらBDレコーダーを導入(1)
第53回 高音質タイプの骨伝道ヘッドホンを試してみる - ティアック Filltune「HP-F200」
第52回 HDMI 1.3時代のAVアンプ機能比較(1) - エントリークラス編
第51回 エバーグリーンの低価格メディアリペアキットを試す
第50回 W-ZERO3[es]とクリエイティブ「Xmod」で「どこでも高音質」を実現したい(2)
第49回 マクセルの高音質システムヘッドフォン「Vraison」を試す
第48回 流行の丈夫なDVD-Rはどこまで頑丈か
第47回 小型デジタルハイビジョン液晶テレビ、東芝REGZA 20C2000を使う(2)
第46回 小型デジタルハイビジョン液晶テレビ、東芝REGZA 20C2000を使う(1)
第45回 ドルビーバーチャルスピーカー採用2.1chサラウンドシステムをセッティング
第44回 W-ZERO3 [es]とクリエイティブ「Xmod」で「どこでも高音質」を実現したい(1)
第43回 ICレコーダーを購入
第42回 骨伝導ヘッドフォンを買ってみた
第41回 USBからの電源でも動作する高音質アダプター
第40回 低価格化が進むフルHD37V型液晶テレビ
第39回 ソニー「ネットジューク」最新モデルをチェックする(2) - 新モデルの音質
第38回 ソニー「ネットジューク」最新モデルをチェックする(1) セッティングとUI
第37回 オーディオテクニカの新型インナーイヤーヘッドフォンを聞く
第36回 圧縮音楽の補正技術は本当にうまく働くのか
第35回 ロジクールのマルチリモコン「Harmony」の途中経過
第34回 団塊の世代をターゲットにした製品って
第33回 ロジクールのマルチリモコンを試す(1)
第32回 スピーカーで聴くバーチャルサラウンド
第31回 HD DVDとBlu-ray Disc、ソフトのタイトルは?
第30回 コンパクトなスピーカーの音量は足りる?
第29回 HDDのトラブルに泣かされる
第28回 徹底的に低価格な謎のMP3プレイヤーの試聴にチャレンジする
第27回 ヘッドフォンサラウンドを手軽に試す(2)
第26回 ヘッドフォンサラウンドを手軽に試す
第25回 余ったメディアの再利用
第24回 1年前と最新のポータブルオーディオプレイヤー
第23回 測定したヘッドフォンの音漏れ以外の性能はどうなのか(2)
第22回 測定したヘッドフォンの音漏れ以外の性能はどうなのか(1)
第21回 ポータブルオーディオプレーヤーの音をスピーカーで鳴らす
第20回 ヘッドフォンの音漏れは、言われているほどにうるさいのか(4)
第19回 ヘッドフォンの音漏れは、言われているほどにうるさいのか(3)
第18回 ヘッドフォンの音漏れは、言われているほどにうるさいのか(2)
第17回 ヘッドフォンの音漏れは、言われているほどにうるさいのか(1)
第16回 ビデオ用8倍速のDVD-R DLメディア登場
第15回 ポータブルスピーカーはどのくらい聴けるのか(2) - Travelシリーズ編
第14回 ポータブルスピーカーはどのくらい聴けるのか(1) - Travelシリーズ編
第13回 BauXar Marty101試聴会に行ってきました
第12回 オーディオセレクター+パワードスピーカーでのリスニング環境構築
第11回 マルチメディア用2.1chスピーカーをオーディオ製品として聴く
第10回 精度を要求しない測定環境(2) - 身の回りの機器を測定する
第9回 精度を要求しない測定環境(1)
第8回 DLNAガイダンス準拠機器ではないネットワークメディアプレーヤーを試す
第7回 音楽データをどこに置くかがポイント
第6回 バッファローLinkTheaterでPC内の音楽ファイルを再生する
第5回 PC内のMP3ファイルをNAS-M7HDに取り込む
第4回 今度こそNAS-M7HDでPC内の音楽をストリーミング再生する
第3回 突然、長瀬産業のHMP-100のレビューを行う
第2回 オーディオのネットワークを考えてみる(2)
第1回 オーディオのネットワークを考えてみる(1)

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