【コラム】

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13 BauXar Marty101試聴会に行ってきました

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日本エム・イー・ティというメーカーの名前を初めて聞いたのは、先日「Marty101」がリリースされたときでした。話によると、光ディスク関連機器のピックアップの開発製造だけでなく、おもにアジアの電化製品を扱う商社でもあるとのことです。そのような同社が何故スピーカーの製造を……? と尋ねてみると、タイムドメインの由井社長と以前から交流があり、タイムドメイン理論に基づいたスピーカーを趣味で制作していたところ、良いものができたので製品化、といった流れだとのことです。

東京・東麻布にある同社で行われた試聴会に、筆者も訪れてみました。試聴会が行われていたスペースは特に専用の試聴室というものではなく、事務用の机やパーテーションで区切られた会議スペースなどがある、ごくごく普通のオフィスの1室です。

以前、Marty101が発表された際にニュースとして取り上げたのですが、簡単にMarty101について説明しておきましょう。Marty101は、タイムドメイン理論に基づいて作られた小型のパワードスピーカーです。タイムドメイン理論に基づいて作られた小型のパワードスピーカーというと、タイムドメイン社のTimedomein Miniや、富士通テンのECLIPS TDシリーズなどのように卵形のエンクロージャーを採用したモデルがよく知られていますが、Marty101は、それらとは異なった独特の形状をしています。高さ約31cm、奥行き約10.5cmの円筒形を多少押しつぶしたような形状で、昔懐かしいゲルベゾルデを巨大なものにした感じといったら分かっていただけるでしょうか。直径5cmほどの小型のユニットがこのエンクロージャーの天面に取り付けられているほか、天面にサランネットを取る付けることも可能です。また、本体の色は、白とシルバーの2色が用意されています。

会場では、iPodにPCM録音されたソースやCDプレーヤーでの試聴が行われました。今回は、筆者1人で試聴したわけではなく、試聴会というスタイルでしたので、ここからは筆者が実際に聴いて見たうえでの、Marty101についての感想をお伝えします。

オフィスの一角に、Marty101をセットして……

試聴会はスタートした。写真のように、白とシルバーの2色がラインナップされている。後ろにおいてあるブラウンは試作品のため、現在のところ市販の予定はない。また、白モデルに使用されているスタンドも、とりあえず作ったというものなので、まだ市販の段階ではない。ただし、エンクロージャーに振動を伝えないTimedomeinスピーカーでは、一般のスピーカーより、スタンドにこだわる必要性は薄いだろう

そのサイズや変わった形状からすると、Marty101は意外なほどノーマルなサウンドです。とくに中音域のクリアさが特徴的で、ボーカルが非常にはっきりと表現されていて聴きやすいという印象です(たんに聴きやすいというと若干語弊があるかもしれません。というのも、聴いていて楽だという聴きやすさではなくて、細部まではっきり聴くことができるという感じです)。また、小口径のユニットを使用したスピーカーではある程度音量を上げないと音のバランスが崩れてしまうことがあるのですが、Marty101では音量を下げても全体的なバランスが保たれているように感じます。この点は、ホームスピーカーとして好感が持てます。

ただし、高音が非常に出るというわけではありませんし、低音も、出てはいますが、それほど強力というわけではありません。低音がブーストされたような音が好みという人には向いていないでしょう。

また、解像度は比較的高いと感じられたのですが、決してモニター的なサウンドではありません。全体にフラットにするというよりも、音楽を聴くときに、なるべくその音楽自体を楽しめるような音作りといった感じでしょうか。

小口径のユニットが、緩衝材を介してエンクロージャーに固定される

ユニットの上に取り付けるサランネット

比較的近い価格帯のパワードスピーカーということもあって、以前レビュー記事として掲載したボーズのM3と比べてどうなのかと気になる方もいるでしょうが、このように両者の性格はまったく違います。近いといえば、Marty101は101MMの方に近いのですが、それでも中音域のクリアなMarty101と、音楽全体の雰囲気を演出する101MMといった感じで、やはり性格は異なるように、筆者には感じられました。

筆者としては、Marty101はもう少し高音の伸びもあれば……という気もするのですが(あくまでも筆者の印象ですが、以前聴いたTimedomein Miniではそのように感じませんでした)、Timedomein Miniには強烈な指向性という、ホームスピーカーとしてはちょっと使いにくい一面を備えています。実際、部屋の中で音楽を鳴らしている際に、常に最適なリスニングポジションをとれるというわけではありません。その部屋に何人もの人がいる場合にはなおさらです。その点Marty101は、その形状からも分かるように、360度の指向性を持ちます。この無指向性という点と、Timedomeinスピーカーの、ある程度音源(この場合スピーカー)から離れた場合でも音のバランスが崩れにくいという特徴を併せ持つMarty101は、ホームスピーカーとして使えば、部屋の中のどこでも同じように良質の音楽を楽しむことができる、なかなかよい感じのシステムになるのではと思いました。

さて、そのような使用法を想定した場合に、1点だけ問題があります。Marty101には入力が1系統しかないのです。CDやFM、DVDなどさまざまなソースを再生させるために、いちいち配線を差し替えるというのはやはり面倒です。前回紹介したSound Blaster Digital Music SXのような製品を使うという手もあるのですが、これはやはりスピーカー側に組み込んでいただきたいと思った次第です。

なお、同社では毎週のように試聴会を行っており、実際のサウンドを体験することが可能となっています。試聴会のスケジュールなどの詳細は、同社のWebサイトに掲載されています。筆者の印象だけではどうもなぁという方は、足を運んでみてはいかがでしょうか。

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インデックス

連載目次
第116回 クラッチバッグのようなデザインのBluetoothスピーカー「Beoplay A2」
第115回 デスクトップのリスニング環境に適した「SoundBlaster X7」
第114回 ComplyイヤーチップのPシリーズは使い方を選ぶがスグレモノ
第113回 Complyイヤーチップのプレミアムモデルとスタンダードモデルとの差を探る
第112回 最新ノイズキャンセリングヘッドホンの性能を検証(3)
第111回 最新ノイズキャンセリングヘッドホンの性能を検証(2)
第110回 最新ノイズキャンセリングヘッドホンの性能を検証(1)
第109回 標準付属品のイヤホンから買い替える高"コスパ"イヤホン(7)
第108回 スマートフォンに適したBluetoothスピーカー(8)
第107回 標準付属品のイヤホンから買い替える高"コスパ"イヤホン(6)
第106回 標準付属品のイヤホンから買い替える高"コスパ"イヤホン(5)
第105回 標準付属品のイヤホンから買い換える高"コスパ"イヤホン(4)
第104回 標準付属品のイヤホンから買い換える高"コスパ"イヤホン(3)
第103回 標準付属品のイヤホンから買い換える高"コスパ"イヤホン(2)
第102回 標準付属品のイヤホンから買い換える高"コスパ"イヤホン(1)
第101回 多機能アクティブスピーカー「SoundBlaster Axx」を使ってみた
第100回 手軽なところからスタートするハイレゾ音源再生環境(4)
第99回 手軽なところからスタートするハイレゾ音源再生環境(3)
第98回 手軽なところからスタートするハイレゾ音源再生環境(2)
第97回 手軽なところからスタートするハイレゾ音源再生環境(1)
第96回 Bluetoothスピーカーの置き方(4)
第95回 Bluetoothスピーカーの置き方(3)
第94回 ちょっと便利なBluetoothスピーカー「Creative Airwave HD」
第93回 Bluetoothスピーカーの置き方(2)
第92回 Bluetoothスピーカーの置き方(1)
第91回 いまさらながらのインターネットラジオ(3)
第90回 スマートフォンに適したBluetoothスピーカー(7)
第89回 いまさらながらのインターネットラジオ(2)
第88回 いまさらながらのインターネットラジオ(1)
第87回 ミニマムなデジタル録画環境として「nasne」はあり? なし?
第86回 インドア用のヘッドホンを買い換えた
第85回 スマートフォンに適したBluetoothスピーカー(6)
第84回 スマートフォンに適したBluetoothスピーカー(5)
第83回 スマートフォンに適したBluetoothスピーカー(4)
第82回 スマートフォンに適したBluetoothスピーカー(3)
第81回 スマートフォンに適したBluetoothスピーカー(2)
第80回 スマートフォンに適したBluetoothスピーカー(1)
第79回 キャビネット容積が限られたスピーカーでも高音質を実現するCONEQ技術
第78回 ボーズの1.1chホームシアターシステム「Lifestyle 135」の音を聴いてみた
第77回 チューナー内蔵レコーダーの登場で便利になった「スカパー!HD」
第76回 ヤマハらしいサウンドのヘッドホン「HPH-200」
第75回 実用的なAndroidタブレットプレーヤ「ZiiO」
第74回 ソニー、RM-PLZ530D - 学習機能付きリモコンのマクロ機能を使いこなす
第73回 ウォークマンがiPodを再び抜いた件に関して
第72回 2011年のレシーバー
第71回 3D放送の一般化にはまだ時間がかかるらしい
第70回 年末以降のテレビ需要
第69回 何インチからが大画面か
第68回 圧縮音楽ファイルのエンコード方法とビットレートによる音質の違いを調べる
第67回 ZEN X-Fi Styleを使ってみた
第66回 JBLの最新モデルを聞き比べ(後編)
第65回 JBLの最新モデルを聞き比べる(前編)
第64回 クリエイティブのBluetoothスピーカー「ZiiSound D5」を試してみた
第63回 一から始めるAV機器ネットワーク(3) - もっとメジャーになってほしいDLNA
第62回 ちょっと大きめのパーソナルTVが欲しい - シャープのLED AQUOS「LC-32SC1」を試用する
第61回 一から始めるAV機器ネットワーク(2) - もっとメジャーになってほしいDLNA
第60回 一から始めるAV機器ネットワーク(1) - もっとメジャーになってほしいDLNA
第59回 セカンドテレビを最新仕様にアップグレードするネットワークメディアプレーヤー(2)
第58回 セカンドTVを最新仕様にアップグレードするネットワークメディアプレーヤー
第57回 デジタルノイズキャンセングヘッドホン「MDR-NC300D」
第56回 ウォークマン最高モデル Xシリーズを試す - ノイズキャンセリング効果とサウンド
第55回 ウォークマン最高モデル Xシリーズを試す - 操作性と付属機能
第54回 遅ればせながらBDレコーダーを導入(1)
第53回 高音質タイプの骨伝道ヘッドホンを試してみる - ティアック Filltune「HP-F200」
第52回 HDMI 1.3時代のAVアンプ機能比較(1) - エントリークラス編
第51回 エバーグリーンの低価格メディアリペアキットを試す
第50回 W-ZERO3[es]とクリエイティブ「Xmod」で「どこでも高音質」を実現したい(2)
第49回 マクセルの高音質システムヘッドフォン「Vraison」を試す
第48回 流行の丈夫なDVD-Rはどこまで頑丈か
第47回 小型デジタルハイビジョン液晶テレビ、東芝REGZA 20C2000を使う(2)
第46回 小型デジタルハイビジョン液晶テレビ、東芝REGZA 20C2000を使う(1)
第45回 ドルビーバーチャルスピーカー採用2.1chサラウンドシステムをセッティング
第44回 W-ZERO3 [es]とクリエイティブ「Xmod」で「どこでも高音質」を実現したい(1)
第43回 ICレコーダーを購入
第42回 骨伝導ヘッドフォンを買ってみた
第41回 USBからの電源でも動作する高音質アダプター
第40回 低価格化が進むフルHD37V型液晶テレビ
第39回 ソニー「ネットジューク」最新モデルをチェックする(2) - 新モデルの音質
第38回 ソニー「ネットジューク」最新モデルをチェックする(1) セッティングとUI
第37回 オーディオテクニカの新型インナーイヤーヘッドフォンを聞く
第36回 圧縮音楽の補正技術は本当にうまく働くのか
第35回 ロジクールのマルチリモコン「Harmony」の途中経過
第34回 団塊の世代をターゲットにした製品って
第33回 ロジクールのマルチリモコンを試す(1)
第32回 スピーカーで聴くバーチャルサラウンド
第31回 HD DVDとBlu-ray Disc、ソフトのタイトルは?
第30回 コンパクトなスピーカーの音量は足りる?
第29回 HDDのトラブルに泣かされる
第28回 徹底的に低価格な謎のMP3プレイヤーの試聴にチャレンジする
第27回 ヘッドフォンサラウンドを手軽に試す(2)
第26回 ヘッドフォンサラウンドを手軽に試す
第25回 余ったメディアの再利用
第24回 1年前と最新のポータブルオーディオプレイヤー
第23回 測定したヘッドフォンの音漏れ以外の性能はどうなのか(2)
第22回 測定したヘッドフォンの音漏れ以外の性能はどうなのか(1)
第21回 ポータブルオーディオプレーヤーの音をスピーカーで鳴らす
第20回 ヘッドフォンの音漏れは、言われているほどにうるさいのか(4)
第19回 ヘッドフォンの音漏れは、言われているほどにうるさいのか(3)
第18回 ヘッドフォンの音漏れは、言われているほどにうるさいのか(2)
第17回 ヘッドフォンの音漏れは、言われているほどにうるさいのか(1)
第16回 ビデオ用8倍速のDVD-R DLメディア登場
第15回 ポータブルスピーカーはどのくらい聴けるのか(2) - Travelシリーズ編
第14回 ポータブルスピーカーはどのくらい聴けるのか(1) - Travelシリーズ編
第13回 BauXar Marty101試聴会に行ってきました
第12回 オーディオセレクター+パワードスピーカーでのリスニング環境構築
第11回 マルチメディア用2.1chスピーカーをオーディオ製品として聴く
第10回 精度を要求しない測定環境(2) - 身の回りの機器を測定する
第9回 精度を要求しない測定環境(1)
第8回 DLNAガイダンス準拠機器ではないネットワークメディアプレーヤーを試す
第7回 音楽データをどこに置くかがポイント
第6回 バッファローLinkTheaterでPC内の音楽ファイルを再生する
第5回 PC内のMP3ファイルをNAS-M7HDに取り込む
第4回 今度こそNAS-M7HDでPC内の音楽をストリーミング再生する
第3回 突然、長瀬産業のHMP-100のレビューを行う
第2回 オーディオのネットワークを考えてみる(2)
第1回 オーディオのネットワークを考えてみる(1)

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