【コラム】

暮らしのサウンドビジュアル

11 マルチメディア用2.1chスピーカーをオーディオ製品として聴く

 

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これは、あくまでも普通のレベルでの話なのですが、PC周りのサウンド環境、とくにスピーカーに関しては、貧弱なケースが多いように思われます(PCで音楽をやっている人は別にして)。かくいう筆者もPCからのサウンドは、液晶ディスプレイに搭載されたスピーカーで鳴らしていますし、その音質は決して褒められたものではありません。

一般的にPCに使われているスピーカーは、アンプ内蔵のパワードスピーカーという形態を取っている製品が多いのですが、鳴ればよいというレベルの製品が多いのは確かです。とはいっても、すべてのパワードスピーカーがダメなのかというと決してそんなことはなく、先日試聴させていただいたBOSE M3や日本エム・イー・ティーのMarty 101(これについては近日中に)、Altec LansingのSLS6221など、そのスピーカーにマッチした専用のアンプを内蔵させるということで、積極的に音作りをしているモデルもあります。

そこまで行かなくても、最近のPC用のスピーカーは、ポータブルオーディオプレーヤーの外部スピーカーとの共用化が進んでいることもあるので、以前よりは音楽を聴くために使えるものになっているのではないかということで(というのも、昔のPC用スピーカーというのは、第一の目的が臨場感のあるゲームサウンドを、というものだったので、いまひとつ音楽を聴くのにはあわなかった)、クリエイティブメディアから、PC/ポータブルオーディオプレーヤー用の、いわゆるマルチメディアスピーカー「I-Trigue L3800」をお借りしてみました。

ネオチタンドライバーを搭載したサテライトスピーカーとサブウーファーの組み合わせの「I-Trigue L3800」。手前にあるコントローラー部分にも入力端子を備える。サブウーファーは部屋の隅などに設置できるので、実際に設置した場合の見た目はもっとすっきりする。クリエイティブオンラインショップでの販売価格は14,800円。

クリエイティブメディアの2.1chスピーカーI-Trigue L3800で音楽を聴く

I-Trigue L3800は、小口径のネオジウムユニット(振動板にチタンを使用しており、同社では「ネオチタンドライバー」と呼んでいる)を複数配置したサテライトスピーカーとサブウーファーの組み合わせで2.1chを構成する、最近はやりのスタイルのパワードスピーカーです。さらに、サテライトスピーカーには、ネオチタンドライバーのほかにLFTと呼ばれるユニットも搭載されており、ネオチタンドライバーが中高音を、LFTが中低音をそれぞれ受け持ちます。また、バイアンプ方式を採用していて、ネオチタンドライバー、LFT、サブウーファーは、それぞれ別のアンプで駆動されます。

スペック的には良さげなのですが、実際に聴いてみるとどうでしょうか。というわけで、CDプレーヤーのラインアウトに接続して、普段聴いているソースをかけてみました。

まず、最初の印象ですが、サブウーファーの音が多き過ぎるという点が気になります。同社の以前のモデルでは、サブウーファーの音量を独立してコントロールできたのですが、どうもこのモデルにはそのような機能はないようです。

本記事におきまして、I-Trigue L3800のサブウーファーの音量をコントロールできないと記載いたしましたが、リモコンの操作によって低音レベルのみの調整が可能でした。お詫びして訂正いたします。「第14回 ポータブルスピーカーはどのくらい聴けるのか(1) - Travelシリーズ編」におきまして、詳しい操作方法と他モデルとの比較試聴を改めて行っておりますので、ご一読下さい。

低音さえもう少し弱ければ何とかなるかなぁ、という感じですので、アンプのヘッドフォン出力に接続し、トーンコントロールのBASS側を絞って聴いてみました。

今度はある程度バランスが取れています。L3800のサウンドは歯切れがよく、高音域の伸びもなかなかよいように感じられました。テクノ系/フュージョン系などはそこそこいけます。しかし、これは2.1ch構成なのである程度はしかたがないのでしょうが、定位や分解能力がやや不足気味な感じはします(エージングも済んでいない状態なので、これだけで判断するのはいくら何でも適切ではないのですが)。また、それほど極端な指向性は持っていません。

サテライトスピーカーに搭載されたネオチタンドライバー。おもに中高音域以上を再生する

サテライトスピーカーのサイドに設置されたLFT。おもに中低音域を再生する

L3800の音を測定する

次の画面は、L3800でホワイトノイズを再生したときのスペクトラムアナライザーの表示です。

L3800でホワイトノイズを再生したときのスペクトラムアナライザ画面

ONKYOのFR-435+JBLのJ520で、同じようにホワイトノイズを再生した場合と比較してみてください。

ONKYOのFR-435+JBLのJ520でホワイトノイズを再生したときのスペクトラムアナライザ画面

L3800のほうが、低音が盛り上がっていて、何カ所か落ち込んでいる部分があります。実際に聴いた感じに近い結果です。続いて、トーンコントロールを標準にしたときの画面です。

L3800でトーンコントロールを標準にしてホワイトノイズを再生したときのスペクトラムアナライザ画面

さらに低域が盛り上がっているのが分かると思います。音楽を再生する場合には、何らかの方法で低音を絞ったほうが(筆者は)良いと思います。もっとも、思い切り低音を鳴らしたい人はそのままでもよいかもしれません。

同社に問い合わせたところ、このスピーカーは音楽だけでなく、ゲームや映画などでの臨場感も追求したスピーカーであるため、このようなセッティングになっているとのことです。

いずれにせよ、トーンコントロールで低音を絞った状態では、聴いていて疲れる感じの音ではないので、音楽を1日中、音楽をかけっぱなしするホームオーディオ機器、といった用途には向いているかもしれません。でも、そうなると、入力が2系統では足りなくなるでしょう。

パワードスピーカーは、それをコアにして、チューナーやディスクプレーヤー、ネットワークメディアプレーヤーを接続すれば、とりあえず一通りのソースは聴くことができるシステムになります。しかし、たいていのパワードスピーカーには入力端子が1系統しか用意されていません(L3800は2系統あるが、それでも足りない)。いちいちプラグを抜き差しして切り替えるというのでは面倒なので、何らかの方法で入力を切り替える必要が出てきます。

そこで登場するのがオーディオセレクターということになるのですが、残念ながら、オーディオセレクターはアナログ専用のものとデジタル専用ものばかりで、デジタルとアナログの両方を切り替えられるという製品はあまり見かけません。そういったことができるのは単体でも動作可能な一部のUSBオーディオということになります。というわけで、先日発表になったばかりの「Sound Blaster Digital Music SX」もお借りしているのですが、それについては、また次回にお伝えしていきたいと思います。

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インデックス

連載目次
第116回 クラッチバッグのようなデザインのBluetoothスピーカー「Beoplay A2」
第115回 デスクトップのリスニング環境に適した「SoundBlaster X7」
第114回 ComplyイヤーチップのPシリーズは使い方を選ぶがスグレモノ
第113回 Complyイヤーチップのプレミアムモデルとスタンダードモデルとの差を探る
第112回 最新ノイズキャンセリングヘッドホンの性能を検証(3)
第111回 最新ノイズキャンセリングヘッドホンの性能を検証(2)
第110回 最新ノイズキャンセリングヘッドホンの性能を検証(1)
第109回 標準付属品のイヤホンから買い替える高"コスパ"イヤホン(7)
第108回 スマートフォンに適したBluetoothスピーカー(8)
第107回 標準付属品のイヤホンから買い替える高"コスパ"イヤホン(6)
第106回 標準付属品のイヤホンから買い替える高"コスパ"イヤホン(5)
第105回 標準付属品のイヤホンから買い換える高"コスパ"イヤホン(4)
第104回 標準付属品のイヤホンから買い換える高"コスパ"イヤホン(3)
第103回 標準付属品のイヤホンから買い換える高"コスパ"イヤホン(2)
第102回 標準付属品のイヤホンから買い換える高"コスパ"イヤホン(1)
第101回 多機能アクティブスピーカー「SoundBlaster Axx」を使ってみた
第100回 手軽なところからスタートするハイレゾ音源再生環境(4)
第99回 手軽なところからスタートするハイレゾ音源再生環境(3)
第98回 手軽なところからスタートするハイレゾ音源再生環境(2)
第97回 手軽なところからスタートするハイレゾ音源再生環境(1)
第96回 Bluetoothスピーカーの置き方(4)
第95回 Bluetoothスピーカーの置き方(3)
第94回 ちょっと便利なBluetoothスピーカー「Creative Airwave HD」
第93回 Bluetoothスピーカーの置き方(2)
第92回 Bluetoothスピーカーの置き方(1)
第91回 いまさらながらのインターネットラジオ(3)
第90回 スマートフォンに適したBluetoothスピーカー(7)
第89回 いまさらながらのインターネットラジオ(2)
第88回 いまさらながらのインターネットラジオ(1)
第87回 ミニマムなデジタル録画環境として「nasne」はあり? なし?
第86回 インドア用のヘッドホンを買い換えた
第85回 スマートフォンに適したBluetoothスピーカー(6)
第84回 スマートフォンに適したBluetoothスピーカー(5)
第83回 スマートフォンに適したBluetoothスピーカー(4)
第82回 スマートフォンに適したBluetoothスピーカー(3)
第81回 スマートフォンに適したBluetoothスピーカー(2)
第80回 スマートフォンに適したBluetoothスピーカー(1)
第79回 キャビネット容積が限られたスピーカーでも高音質を実現するCONEQ技術
第78回 ボーズの1.1chホームシアターシステム「Lifestyle 135」の音を聴いてみた
第77回 チューナー内蔵レコーダーの登場で便利になった「スカパー!HD」
第76回 ヤマハらしいサウンドのヘッドホン「HPH-200」
第75回 実用的なAndroidタブレットプレーヤ「ZiiO」
第74回 ソニー、RM-PLZ530D - 学習機能付きリモコンのマクロ機能を使いこなす
第73回 ウォークマンがiPodを再び抜いた件に関して
第72回 2011年のレシーバー
第71回 3D放送の一般化にはまだ時間がかかるらしい
第70回 年末以降のテレビ需要
第69回 何インチからが大画面か
第68回 圧縮音楽ファイルのエンコード方法とビットレートによる音質の違いを調べる
第67回 ZEN X-Fi Styleを使ってみた
第66回 JBLの最新モデルを聞き比べ(後編)
第65回 JBLの最新モデルを聞き比べる(前編)
第64回 クリエイティブのBluetoothスピーカー「ZiiSound D5」を試してみた
第63回 一から始めるAV機器ネットワーク(3) - もっとメジャーになってほしいDLNA
第62回 ちょっと大きめのパーソナルTVが欲しい - シャープのLED AQUOS「LC-32SC1」を試用する
第61回 一から始めるAV機器ネットワーク(2) - もっとメジャーになってほしいDLNA
第60回 一から始めるAV機器ネットワーク(1) - もっとメジャーになってほしいDLNA
第59回 セカンドテレビを最新仕様にアップグレードするネットワークメディアプレーヤー(2)
第58回 セカンドTVを最新仕様にアップグレードするネットワークメディアプレーヤー
第57回 デジタルノイズキャンセングヘッドホン「MDR-NC300D」
第56回 ウォークマン最高モデル Xシリーズを試す - ノイズキャンセリング効果とサウンド
第55回 ウォークマン最高モデル Xシリーズを試す - 操作性と付属機能
第54回 遅ればせながらBDレコーダーを導入(1)
第53回 高音質タイプの骨伝道ヘッドホンを試してみる - ティアック Filltune「HP-F200」
第52回 HDMI 1.3時代のAVアンプ機能比較(1) - エントリークラス編
第51回 エバーグリーンの低価格メディアリペアキットを試す
第50回 W-ZERO3[es]とクリエイティブ「Xmod」で「どこでも高音質」を実現したい(2)
第49回 マクセルの高音質システムヘッドフォン「Vraison」を試す
第48回 流行の丈夫なDVD-Rはどこまで頑丈か
第47回 小型デジタルハイビジョン液晶テレビ、東芝REGZA 20C2000を使う(2)
第46回 小型デジタルハイビジョン液晶テレビ、東芝REGZA 20C2000を使う(1)
第45回 ドルビーバーチャルスピーカー採用2.1chサラウンドシステムをセッティング
第44回 W-ZERO3 [es]とクリエイティブ「Xmod」で「どこでも高音質」を実現したい(1)
第43回 ICレコーダーを購入
第42回 骨伝導ヘッドフォンを買ってみた
第41回 USBからの電源でも動作する高音質アダプター
第40回 低価格化が進むフルHD37V型液晶テレビ
第39回 ソニー「ネットジューク」最新モデルをチェックする(2) - 新モデルの音質
第38回 ソニー「ネットジューク」最新モデルをチェックする(1) セッティングとUI
第37回 オーディオテクニカの新型インナーイヤーヘッドフォンを聞く
第36回 圧縮音楽の補正技術は本当にうまく働くのか
第35回 ロジクールのマルチリモコン「Harmony」の途中経過
第34回 団塊の世代をターゲットにした製品って
第33回 ロジクールのマルチリモコンを試す(1)
第32回 スピーカーで聴くバーチャルサラウンド
第31回 HD DVDとBlu-ray Disc、ソフトのタイトルは?
第30回 コンパクトなスピーカーの音量は足りる?
第29回 HDDのトラブルに泣かされる
第28回 徹底的に低価格な謎のMP3プレイヤーの試聴にチャレンジする
第27回 ヘッドフォンサラウンドを手軽に試す(2)
第26回 ヘッドフォンサラウンドを手軽に試す
第25回 余ったメディアの再利用
第24回 1年前と最新のポータブルオーディオプレイヤー
第23回 測定したヘッドフォンの音漏れ以外の性能はどうなのか(2)
第22回 測定したヘッドフォンの音漏れ以外の性能はどうなのか(1)
第21回 ポータブルオーディオプレーヤーの音をスピーカーで鳴らす
第20回 ヘッドフォンの音漏れは、言われているほどにうるさいのか(4)
第19回 ヘッドフォンの音漏れは、言われているほどにうるさいのか(3)
第18回 ヘッドフォンの音漏れは、言われているほどにうるさいのか(2)
第17回 ヘッドフォンの音漏れは、言われているほどにうるさいのか(1)
第16回 ビデオ用8倍速のDVD-R DLメディア登場
第15回 ポータブルスピーカーはどのくらい聴けるのか(2) - Travelシリーズ編
第14回 ポータブルスピーカーはどのくらい聴けるのか(1) - Travelシリーズ編
第13回 BauXar Marty101試聴会に行ってきました
第12回 オーディオセレクター+パワードスピーカーでのリスニング環境構築
第11回 マルチメディア用2.1chスピーカーをオーディオ製品として聴く
第10回 精度を要求しない測定環境(2) - 身の回りの機器を測定する
第9回 精度を要求しない測定環境(1)
第8回 DLNAガイダンス準拠機器ではないネットワークメディアプレーヤーを試す
第7回 音楽データをどこに置くかがポイント
第6回 バッファローLinkTheaterでPC内の音楽ファイルを再生する
第5回 PC内のMP3ファイルをNAS-M7HDに取り込む
第4回 今度こそNAS-M7HDでPC内の音楽をストリーミング再生する
第3回 突然、長瀬産業のHMP-100のレビューを行う
第2回 オーディオのネットワークを考えてみる(2)
第1回 オーディオのネットワークを考えてみる(1)

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