【コラム】

暮らしのサウンドビジュアル

2 オーディオのネットワークを考えてみる(2)

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前回に引き続き、今回もオーディオとネットワークの話です。ソニーより、DLNAガイドラインに準拠した、HDDコンポ「ネットジューク」シリーズの最新モデル、「NAS-M7HD」を貸し出していただいたので、どんな音で鳴るのか、実際にこれでどのようなことができるのか、そして使い勝手は、といったことを検証してみました。

NAS-M7HDとはどんなシステムか?

さて、NAS-M7HDで一体どんなことができるのでしょうか。ソニーマーケティングのWebサイトSony Driveで、製品情報を見てみます。NAS-M7HDの紹介ページによると、40GBのHDDに、音楽CD、MD、FM放送などの音源から最大で約20,000曲の音楽を取り込むことができ、また、エニーミュージックでの音楽ファイル購入や、PC内のMP3ファイルの高速録音が可能、と書かれています。

さらに、USBホスト機能を備えていて、接続したポータブルオーディオプレーヤーに音楽ファイルを高速転送することができるとも書かれています。この辺りがNAS-M7HDのメインの機能ということなのでしょう。

では、肝心の(と筆者がかってに思っている)DLNAガイドラインに準拠しているという件に関してはどうでしょうか。e-Catalog「特徴・ポイント」のページに移動してみると、2ページ目にホームネットワークの機能とDLNAガイドラインの文字が書かれていました。以下がその全内容です。

離れた部屋などにあるパソコン(*)に保存されている音楽をLAN経由で本機から選曲し、ストリーミング再生することができます。
* ホームネットワークの標準規格「DLNAガイドライン」対応のソフトウェアがインストールされている必要があります。(以下省略)

NAS-M7HDをコンポとしてセッティング

というように、手軽に使えるオーディオ機器としての側面が強調されているNAS-M7HDですので、とりあえず、箱から出して設置してみることにします。

オーディオ機器のリアパネルというと、とんでもなく多くの入出力端子が並んでいるものが多いものです。AVアンプなどではリアパネル全体に端子が並んでいるケースすらあります。ミニコンポでも、アナログ2~3系統にデジタル1系統程度の入力端子を備えているものが多いので、そのリアパネルにはけっこう多くの端子が並びます。それを考えるとNAS-M7HDのリアパネルは非常にシンプルです。

リアパネルは非常にすっきりしている

リアパネル拡大図

リアパネルに装備されているのは、スピーカー接続用の端子と(本体側は特殊形状で、付属のケーブルのスピーカー側は通常のバラ線)、アナログのLine-InとLine-Out、そしてコンポジットの映像出力端子(NAS-M7HDに装備されている液晶ディスプレイの内容をそのまま出力するもの)、そしてEthernet端子のみです。また、フロントにはUSBポートとメモリースティックスロット、ヘッドフォン端子が装備されています。ヘッドフォン端子は3.5mmのステレオミニジャックです

オーディオの入出力が1系統ずつで、デジタル入出力端子などが装備されていないのは、PCとネットワークで繋がるので、ファイルのやりとりなどはそっちで、ということでしょうか。

スピーカーは開口部が背面にあるバスレフタイプ。10cmのフルレンジユニットと2cmのバランスドームユニットが使用されています。

設置作業はスピーカーを繋ぐぐらいしかないので非常に簡単

設置が終わったので、実際にNAS-M7HDの音を聴いてみる

筆者は、オーディオ評論家ではないので、正確なデータに基づいた客観的な評価は書きませんが、普段聴いている音楽がNAS-M7HDでどのように聴こえるのか(普段聴いていない音楽を聴いても違いがわからないので)、レビューしてみたいと思います。

実は、筆者が普段聴いているのは80'sものが中心なので、今回もそういったラインナップを聴いてみました。The Style Councilの「Cafe Bleu」から「The Paris Match」、Spyro Gyraの「Point Of View」から「Swing Street」、Devoの「Shout」から「Here To Go」、Bruce Woolley And The Camera Clubの「English Garden」から「Goodbye To Yesterday」、Penguin Cafe Orchestraの「Music From The Penguin Cafe」から「Penguin Cafe Single」といった感じです(偏りに関してはご容赦ください)。

Goodbye To Yesterdayなどのドライブ感がポイントになる曲では、なかなかよい感じの表現力です。また、Here To Goのようなテクノ系も切れ味があってよい感じです。一方、The Paris Matchでは、ボーカルの表現力は良いのですが、かすれた感じが完璧に表現できていない感じです(40'sっぽいエフェクトがかけられている)。さらに、Swing StreetやPenguin Cafe Singleでは、音の拡がり感や定位、分解能力が不足している感じがします(どの楽器がどこで鳴っているのかをうまく表現できていない感じ)。

ということで、聴いてみた結果ですが、NAS-M7HDの音を一口でいうと、非常に元気のよいサウンドという感じになります。低音の強さと、歯切れのよい高音、ドライブ感の感じられる、メインターゲットとしている若年層好みのセッティングといったところでしょうか。その性格からも、なるべく音量を上げて聴くというのがNAS-M7HDの楽しみ方でしょう。

このように書くと、「つまりドンシャリなのね」という読者の方も居ると思います。実際その傾向はけっこう強く、低音と高音が強調された感じがします。好みや聴く音楽のジャンルにもよりけりですが、筆者の場合は低音のブースト機能は使用しません。

しかし、NAS-M7HDをヘッドフォンで聴いてみたところ、スピーカーで聴いたのとは若干違い、比較的フラットな感じのサウンドが聴けました(とはいえ、使っているヘッドフォンがモニター的性格の強いELEGAの「DR-592C2」なので参考までに)。アンプは比較的フラットなのでは、という感じもします。

NAS-M7HDに付属しているスピーカーの重さは約2.3kg。重さだけで判断するわけにはいかないのですが、近いサイズの単品スピーカーの質量はたいてい3kg以上あります。ドンシャリの原因はこのスピーカーにあるのではないかということで、本来のスピーカーではなく、単品のスピーカーを接続してみました。JBL製の「J520M」というモデルです(JBLの普及モデル。12.5cmのウーファーと2cmチタンツイータの2WAYで、ブックシェルフ型のバスレフ。1995年発売、すでに生産は終了している)。

すると、ドンシャリ感はほとんど感じられなくなりました。J520M自体、その特性はかまぼこ(高低音はそこそこで中音が豊かなタイプ)なので、お互いが相殺しあってフラットな感じになったのかもしれません。また、標準のスピーカーでは不足していた拡がり感、定位や分解能力もかなり向上しました。ただし、NAS-M7HD本来のよさである元気さは若干スポイルされたような気がします(これは明らかにJ520Mの性格)。

少々脱線しましたが、NAS-M7HDはオーディオ機器として、思ったよりもしっかり鳴ります。明らかに普通のPC+2.1chスピーカーの組み合わせよりも、よい音がします。また、なかなか素性のよいアンプが搭載されているように思えます。

おっと、今回は、DLNAガイドライン準拠がどうなのか、つまり、NAS-M7HDの便利さがどうなのかという話で、音質うんぬんという話ではありませんでしたね。というわけで、次回はNAS-M7HDのネットワークに進んでいきます。

スピーカーを変えると性格が激変

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インデックス

連載目次
第116回 クラッチバッグのようなデザインのBluetoothスピーカー「Beoplay A2」
第115回 デスクトップのリスニング環境に適した「SoundBlaster X7」
第114回 ComplyイヤーチップのPシリーズは使い方を選ぶがスグレモノ
第113回 Complyイヤーチップのプレミアムモデルとスタンダードモデルとの差を探る
第112回 最新ノイズキャンセリングヘッドホンの性能を検証(3)
第111回 最新ノイズキャンセリングヘッドホンの性能を検証(2)
第110回 最新ノイズキャンセリングヘッドホンの性能を検証(1)
第109回 標準付属品のイヤホンから買い替える高"コスパ"イヤホン(7)
第108回 スマートフォンに適したBluetoothスピーカー(8)
第107回 標準付属品のイヤホンから買い替える高"コスパ"イヤホン(6)
第106回 標準付属品のイヤホンから買い替える高"コスパ"イヤホン(5)
第105回 標準付属品のイヤホンから買い換える高"コスパ"イヤホン(4)
第104回 標準付属品のイヤホンから買い換える高"コスパ"イヤホン(3)
第103回 標準付属品のイヤホンから買い換える高"コスパ"イヤホン(2)
第102回 標準付属品のイヤホンから買い換える高"コスパ"イヤホン(1)
第101回 多機能アクティブスピーカー「SoundBlaster Axx」を使ってみた
第100回 手軽なところからスタートするハイレゾ音源再生環境(4)
第99回 手軽なところからスタートするハイレゾ音源再生環境(3)
第98回 手軽なところからスタートするハイレゾ音源再生環境(2)
第97回 手軽なところからスタートするハイレゾ音源再生環境(1)
第96回 Bluetoothスピーカーの置き方(4)
第95回 Bluetoothスピーカーの置き方(3)
第94回 ちょっと便利なBluetoothスピーカー「Creative Airwave HD」
第93回 Bluetoothスピーカーの置き方(2)
第92回 Bluetoothスピーカーの置き方(1)
第91回 いまさらながらのインターネットラジオ(3)
第90回 スマートフォンに適したBluetoothスピーカー(7)
第89回 いまさらながらのインターネットラジオ(2)
第88回 いまさらながらのインターネットラジオ(1)
第87回 ミニマムなデジタル録画環境として「nasne」はあり? なし?
第86回 インドア用のヘッドホンを買い換えた
第85回 スマートフォンに適したBluetoothスピーカー(6)
第84回 スマートフォンに適したBluetoothスピーカー(5)
第83回 スマートフォンに適したBluetoothスピーカー(4)
第82回 スマートフォンに適したBluetoothスピーカー(3)
第81回 スマートフォンに適したBluetoothスピーカー(2)
第80回 スマートフォンに適したBluetoothスピーカー(1)
第79回 キャビネット容積が限られたスピーカーでも高音質を実現するCONEQ技術
第78回 ボーズの1.1chホームシアターシステム「Lifestyle 135」の音を聴いてみた
第77回 チューナー内蔵レコーダーの登場で便利になった「スカパー!HD」
第76回 ヤマハらしいサウンドのヘッドホン「HPH-200」
第75回 実用的なAndroidタブレットプレーヤ「ZiiO」
第74回 ソニー、RM-PLZ530D - 学習機能付きリモコンのマクロ機能を使いこなす
第73回 ウォークマンがiPodを再び抜いた件に関して
第72回 2011年のレシーバー
第71回 3D放送の一般化にはまだ時間がかかるらしい
第70回 年末以降のテレビ需要
第69回 何インチからが大画面か
第68回 圧縮音楽ファイルのエンコード方法とビットレートによる音質の違いを調べる
第67回 ZEN X-Fi Styleを使ってみた
第66回 JBLの最新モデルを聞き比べ(後編)
第65回 JBLの最新モデルを聞き比べる(前編)
第64回 クリエイティブのBluetoothスピーカー「ZiiSound D5」を試してみた
第63回 一から始めるAV機器ネットワーク(3) - もっとメジャーになってほしいDLNA
第62回 ちょっと大きめのパーソナルTVが欲しい - シャープのLED AQUOS「LC-32SC1」を試用する
第61回 一から始めるAV機器ネットワーク(2) - もっとメジャーになってほしいDLNA
第60回 一から始めるAV機器ネットワーク(1) - もっとメジャーになってほしいDLNA
第59回 セカンドテレビを最新仕様にアップグレードするネットワークメディアプレーヤー(2)
第58回 セカンドTVを最新仕様にアップグレードするネットワークメディアプレーヤー
第57回 デジタルノイズキャンセングヘッドホン「MDR-NC300D」
第56回 ウォークマン最高モデル Xシリーズを試す - ノイズキャンセリング効果とサウンド
第55回 ウォークマン最高モデル Xシリーズを試す - 操作性と付属機能
第54回 遅ればせながらBDレコーダーを導入(1)
第53回 高音質タイプの骨伝道ヘッドホンを試してみる - ティアック Filltune「HP-F200」
第52回 HDMI 1.3時代のAVアンプ機能比較(1) - エントリークラス編
第51回 エバーグリーンの低価格メディアリペアキットを試す
第50回 W-ZERO3[es]とクリエイティブ「Xmod」で「どこでも高音質」を実現したい(2)
第49回 マクセルの高音質システムヘッドフォン「Vraison」を試す
第48回 流行の丈夫なDVD-Rはどこまで頑丈か
第47回 小型デジタルハイビジョン液晶テレビ、東芝REGZA 20C2000を使う(2)
第46回 小型デジタルハイビジョン液晶テレビ、東芝REGZA 20C2000を使う(1)
第45回 ドルビーバーチャルスピーカー採用2.1chサラウンドシステムをセッティング
第44回 W-ZERO3 [es]とクリエイティブ「Xmod」で「どこでも高音質」を実現したい(1)
第43回 ICレコーダーを購入
第42回 骨伝導ヘッドフォンを買ってみた
第41回 USBからの電源でも動作する高音質アダプター
第40回 低価格化が進むフルHD37V型液晶テレビ
第39回 ソニー「ネットジューク」最新モデルをチェックする(2) - 新モデルの音質
第38回 ソニー「ネットジューク」最新モデルをチェックする(1) セッティングとUI
第37回 オーディオテクニカの新型インナーイヤーヘッドフォンを聞く
第36回 圧縮音楽の補正技術は本当にうまく働くのか
第35回 ロジクールのマルチリモコン「Harmony」の途中経過
第34回 団塊の世代をターゲットにした製品って
第33回 ロジクールのマルチリモコンを試す(1)
第32回 スピーカーで聴くバーチャルサラウンド
第31回 HD DVDとBlu-ray Disc、ソフトのタイトルは?
第30回 コンパクトなスピーカーの音量は足りる?
第29回 HDDのトラブルに泣かされる
第28回 徹底的に低価格な謎のMP3プレイヤーの試聴にチャレンジする
第27回 ヘッドフォンサラウンドを手軽に試す(2)
第26回 ヘッドフォンサラウンドを手軽に試す
第25回 余ったメディアの再利用
第24回 1年前と最新のポータブルオーディオプレイヤー
第23回 測定したヘッドフォンの音漏れ以外の性能はどうなのか(2)
第22回 測定したヘッドフォンの音漏れ以外の性能はどうなのか(1)
第21回 ポータブルオーディオプレーヤーの音をスピーカーで鳴らす
第20回 ヘッドフォンの音漏れは、言われているほどにうるさいのか(4)
第19回 ヘッドフォンの音漏れは、言われているほどにうるさいのか(3)
第18回 ヘッドフォンの音漏れは、言われているほどにうるさいのか(2)
第17回 ヘッドフォンの音漏れは、言われているほどにうるさいのか(1)
第16回 ビデオ用8倍速のDVD-R DLメディア登場
第15回 ポータブルスピーカーはどのくらい聴けるのか(2) - Travelシリーズ編
第14回 ポータブルスピーカーはどのくらい聴けるのか(1) - Travelシリーズ編
第13回 BauXar Marty101試聴会に行ってきました
第12回 オーディオセレクター+パワードスピーカーでのリスニング環境構築
第11回 マルチメディア用2.1chスピーカーをオーディオ製品として聴く
第10回 精度を要求しない測定環境(2) - 身の回りの機器を測定する
第9回 精度を要求しない測定環境(1)
第8回 DLNAガイダンス準拠機器ではないネットワークメディアプレーヤーを試す
第7回 音楽データをどこに置くかがポイント
第6回 バッファローLinkTheaterでPC内の音楽ファイルを再生する
第5回 PC内のMP3ファイルをNAS-M7HDに取り込む
第4回 今度こそNAS-M7HDでPC内の音楽をストリーミング再生する
第3回 突然、長瀬産業のHMP-100のレビューを行う
第2回 オーディオのネットワークを考えてみる(2)
第1回 オーディオのネットワークを考えてみる(1)

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