前回は電子工作に必要な工具をご紹介したが、他に機械加工に必要なものとして、

  • 電動ドリル(Photo01)

Photo01: 本体はもう7~8年使っている。ちなみにチャック(先端の、ドリルをくわえ込む部分)のみ壊れてしまい、これは別に買ってきたものを組み合わせている。ドリルセットはこちら。別に鉄工用でなく木工用で普段は十分の筈だが、まぁDIYショップで安かったので(確か1,000円しなかった)。

ケースの加工から猫シェルターの、台所の食器棚まで幅広く利用できるもの。プロじゃないので、別に高価なものではなく、ドリル本体に歯やドライバーなどがセットになった安いものでも十分である(例えばこれ)。筆者の所有するものは、ダイエーでセット販売されていた、確か3,000円を切って売られていたものだと記憶している。ちなみに左隣のドリルセットは後で追加購入したもの。普段から色々な用途で使っているので、刃先が舐めたり、折れて使えなくなったものとかがあるため、追加の意味もあってまとめて購入した。とりあえず今回の場合は、

  • 2mmφ前後
  • 3mmφ(これのみきっちり3mmφ)
  • 5mmφ前後

の3本のドリルが電動ドリルセットに含まれていれば、買い足しの必要は無い。

あと、この手の選び方ではコードありとコードレス式のどちらが良いか、で迷う人も居られようが、筆者のお勧めは断然コード式。コードレス式は、要するにバッテリーを本体にぶら下げて使うことになるので、どうしても重くなり、慣れないと正確にドリリングをするのが難しい。電源が無いところで使う、というのならともかく、家庭内で使うのであればコード式が圧倒的に便利だと思う。

  • ホットボンド(Photo02)

Photo02: 大小2種類が流通しており、それぞれスティックの大きさが異なる。広い範囲には大きなほうが便利だが、小回りは効きにくい。そんな訳で筆者は2種類を用途に応じて使い分けている。

「ホットボンド」ないし「グルーガン」と呼ばれているもの。120℃程度で溶ける樹脂を先端のヒーターで溶かし、液状になった状態で対象に付着させると数分で温度が下がり、固着するという便利なもの。さすがに欠いたお茶碗をつけるとかには強度や温度耐性の観点で難があるが、例えばダンボールの固定とかであればこれで十分である。今回も、配線をまとめるのにホットボンドを使っている。

図1

ということで、工具がそろったら実際に加工である。まず最初はケースのフロントパネル加工である。まず図1で黄色で示したような型紙を(レポート用紙か何かを使って)作ろう。寸法は34mm×105mmで、この中に端から5mm離して3×19のマスを書く。一マスのサイズは8mm×5mmなので、マス全体では24mm×95mmとなる計算だ。これをPhoto03の赤枠の場所に貼り付ける(これはセロテープか何かでよい)。ついでマスの交点にあたるところに傷をつける。これが金属だと、ポンチを打ち込むなどの方法が一般的だが、今回は相手がプラスチックなので、1.5mmφのドリルを指で持ち、交点の場所に軽く傷をつけた。

Photo03: 内部を色々検討の結果、両端はケース取り付けようのダボがあって配線がうまくいかないので、この場所にまとめて取り付けることを考えた。見栄えを考えればもう少し密接して実装するのが良いのだが、配線が難しくなるのでこのあたりが限界である。

さて、これを使って穴を開けるのだが、手順は図2の様になっており、

(1) 傷をつけた箇所に2mmφ程度のドリルを使って穴を貫通する。ここで正しく傷をつけた位置に穴を開けないと歪むので注意(図2-1)。
(2) 2mmφ程度の穴が開いたところに、今度は3mmの穴を開ける。これも無理にやると位置がずれるので、うまくドリルの中心が穴にあうように気をつける(図2-2)。
(3) 3mmφの穴が開いたら、5mmφ程度のドリルを使い、穴の両側から面取りをする(図2-3)。これは必須ではないが、やらないとバリが残ってちょっとみっともない。あくまで面取りなので、深くえぐる必要はない。
(4) 完成(図2-4)。

という具合だ。

図2

Photo04が実際に穴を開け終わったあとの様子である。ご覧の通りだいぶ出来不出来があるし、そもそもまっすぐにあいていないのだが、ボール盤などを使わずに電動ドリルだけでやるとこのあたりが筆者的には精度の限界だった。ちなみにボール盤というのは例えばこういうもので、きちんと位置決めをして固定した上で垂直に穴あけが可能である。時間はより掛かるが、精度を出したいときには便利である。もっとも置き場所が無いので筆者はあきらめたが。

Photo04: 面取りが終わっているので、全ての穴がやや斜めになっているのが判る。もっとも手作業なのでムラがあるのはご愛嬌。ちなみにこの時点でフロントパネルの配線類を邪魔にならないように、端に寄せる作業も行っている(Photo03と配線や留め具の位置が変わっていることがお分かりだろうか?)。で、赤白の配線をダボに取り付けるのにホットボンドを使っている。

これが終わったら、一応全部の穴にLEDを装着し、問題なくつくことを確認しておく(Photo04では左下に1つだけ装着しているのがお分かりだろうか)。これがOKだったら、いよいよ実際にLEDの設置と配線開始である。

(続く)