Q: それにもうひとつ関係するのが、Competitorが出てきた事です。FPGAのベーシックパテントが切れた関係で、そのベーシックパテントを使ってQuickSilverとかSiliconBlueといったベンダーが良く似た製品を出しています。勿論全く同じだと差別化できないので、低消費電力だったり規模が大きかったり。勿論大きいといってもまだVertexの域まで行ってませんが、SpartanのCompetitorという気がします。これが段々大きくなっているのかな、と。ハイエンドはハイエンドで、例えばAchronixの様にGHzオーダーで動作するFPGAとか。まぁあちらは必ずしもうまく行っているとも言えないのでしょうが(笑)、そうした製品があります。

で、もう一つはReconfigurable。日本ならばIPFlex、アメリカならStretchとか、他にも色々なベンダーが渡来しています。これらはFPGAよりも遥かに高速に、リアルタイムで設定を変更できるので、回路規模そのものはFPGAに比べてずっと小さいのですが、4つとか8つのプレーンを切り替えることで、見かけ上はゲート数が数百万個のオーダーのFPGAと同等のことができるぞ、と。

Rogan: バーチャルに。

Q: バーチャルに、ですね。で、こうしたCompetitorに対して、Vertexのマーケットではどういう形で戦ってゆくのか、と。

Rogan: OK。まず小さいCompetitorから順に話をします。そうすると、Siliconの話もあるんですが、それよりもIPとかソフトウェアといった話の方が問題なんですよ。FPGAは、元々のコンセプトはそんなに難しいものじゃないんですよね。ですから、もう真似できれば真似でもいいんですが、ポイントはIPの集まりとか、あとソフトウェアの集まりなわけです。これはどうなのか、と。それで、エンジニアって基本的に忙しくて、余裕が全然ないじゃないですかと。そうするとエンジニアにとって見たとき、決まっているプラットフォーム数で安定しているのに、わざわざ小さいベンダー(の製品)に変えるのは、本当に安全なのか、と。やっぱり1年後に「まだ居るのか」というのは重要ではないかと思うんですね。

例えば医療機器はいい例だと思うんですよね。例えばeASICさん。eASICさんという会社は、特にメディカル関係を廻っているんですよ。で、やはりメディカルのお客さんと話していると、「サム危ないよ~、彼らに取られちゃうよ~」と(言われる)。ただeASICさんは、は会社としては安定していないので。あー、また悪いこと言っちゃった(笑)。でも現実的に言うと、メディカルの場合開発サイクルが2年じゃないですか。で、フィールドトライアルが1年、そこから量産10年。つまり13年ですね。Xilinxは会社としては25年ですので、もう我々は2サイクル位やった事になるんですね。これに対して、来たばかりのベンダー、例えばeASICさんなどの小さいベンダーさんが、本当に13年後も「居る」のか、というのはクエスチョンだと思うんですよね。それと、例えば問題があった場合に、技術的にどの程度まで技術支援できるのか、あるいは解決できるのか。更に言えば、最悪の場合。つまり納入した製品が動かない場合とかを考えると、(納入製品の引き取りとかペナルティといった)色々なダメージとか、そういう事がありえますよね。そうしたクリティカルな状況を彼らが吸収できるのか、と。こういう事(が大事だ)と僕は思うんですけどね。ですから、(ベーシックパテントの失効で)ビジネス面で緩和されて、小さな会社からいろいろ面白い話が出てきていると思うんですけれど、Toolがあるのかとか、IPがあるのかとか、サポートはどうか、とか。あるいは長期間に渡って存在し続けられるのか、こうしたことが問題なんじゃないか、と。

Q: 製品とはまた別の問題だと。

Rogan: はい。

Q: eASICさんも微妙にFPGAとは違う製品ですし。

Rogan: そうそう。現在eASICさんはビジネスコンセプトが変わったんですよね。最初はeBeamだったんですけれど、今は何か変わってきて。

Q: プロセスも今回は45nmになって、以前の90nmに比べてゲート数が4倍の規模になって。なので前より複雑な回路が構成できて、でもFPGAよりは安いよ、と。問題はですからワンタイムという事なのでしょうけれど。

白: 逆に言うと安いという事は、ボリュームの大きい所を狙わないと自分たちの売上にはならない。で、ボリュームの大きい所っていうのはコンシューマーだったりして、かなりクオリティとかバックアップの体制が要求される所なんですよ。そうした場合に立ち上がったばっかりのベンチャーでそこまでカバーできるのかって言う話はありますね。

Q: まあ立ち上がったばっかりというとちょっと失礼かも知れないですけど(笑)。eASICさんはずっとやってらっしゃいますし。

(続く)