Rogan: 4千億円位ですね。我々のチャレンジは他社(=Altera以下のFPGAベンダー)ではなく、対ASICですね。今はASICを製造しているそれぞれのカスタマーの事を分析していまして。で、面白いのは、やはりタイミングがいいんですね。家電用のカスタマーと、先程の放送機器のカスタマーですけれども、皆が「なるほど!」と言うんですよ。ですので、我々とカスタマーの関係を良くするために、出来るだけ新組織のエグゼクティブを日本に連れてきて、(カスタマーのところの)トップエクゼグティブを廻っているんです。で、これを非同期にやっています。まず最初の四半期に1回、(米国の)社長が直接指揮する人間を半分くらい連れて廻って、次の四半期に残りの半分位を連れて廻って、次の四半期はまたもとの半分くらいという。これをすることで今、会社対会社の関係を作ろうとしています。で、面白いのは、特にASIC使っているお客さんのところがそうなんですが、このストーリー持って行くと結構盛り上がるんですよね。

Q: なるほど。では丁度マーケットの話に入ったところでもう少し製品の話を。Xilinxさんの場合、トップエンドにVertex-5、ミドルレンジにSpartanという形で製品を出されていらっしゃる。で、まずはトップエンドですが、こちらは65nmだの45nmだの、最近競合のAlteraさんは40nmとか言われていて、ゲート数も500万とかいうレベルに達しています。ASICとしてもかなり大きな規模のサイズになりつつあります。ASICを見ると、確かに通信系などで45nmで作っているベンダーは多いですが、それはASIC全体から見れば一握りで、実際には90nmとか130nmで作っている方が多いわけで。そうなると、ではVertex-5は何を狙うのか? というのが最初の質問なんですが。このクラスになると単価が1個50万円とか100万円になってしまって、採用するといってもなかなか採用しにくい。今までのストーリーであれば、ASICを作る際にまずVertexを使って試作して、完成したらASICに持って行くという話があったと思うのですが、VertexとかはちょっとしたASICの規模を超えている訳で、そうなると今までのストーリーが通用しにくくなる。あと大規模ASICの場合、先ほどもおっしゃった様に、クロスポイントが45nm世代だと数百万個になるから、そもそもASICに持ってゆくという話がなくなりかねない。そうなると、トップエンド製品はどこを狙うのか? ということなんですが。

Rogan: 今の段階でも、100万~200万ゲート程度が綺麗にASICに対応する部分はあるんです。また、色々なMatureな部分はありまして、例えばテレビなんかにも色々入っているわけですが、そうしたところはそのままだろう、と僕は思ですけれどね。ただ新規テクノロジー、つまり新しく開発しているところにはフレキシビリティが必要だと思うんです。入出力なんかは多分そのまま(ASICで)いいんじゃないかと思うんですけれどね。

Q: えーと、それでは例えば液晶テレビの話をすると、現在Xilinxが狙っているのは、高機能とか新機能といった部分に入るのであって、液晶のコントロールなどはもうありものに任せちゃおう、というそういうスタンスと考えて宜しいのですか?

Rogan: 今の段階でも、両方とも入っている所はありますね。

Q: 入っている所はありますね。例えば液晶のコントローラーにしても、ソニーは今回4倍速表示を出しましたけれど、今まで2倍速だったものが4倍速になって、では間はインターポレーションの処理を全部しましょうとか、どんどん高機能化しています。で、片やチューナーの方はと言うと、今までは2画面だったけど今度は4画面扱えますとか、どんどん機能が増えて行くと。その両方を、そのVertex5で狙おう、と?

Rogan: いや、Vertexではなくて、今もうメインはやっぱりSpartanですよね。どうしてもSpartanになります。

Q: となると、Vertexはどこ狙うんですか?

Rogan: Vertexはどちらかと言うとテレコム、Wired to Wirelessですね、あとはメディカルとかテストとか、そういう所ですね。

Q: そのメディカルと言うのは具体的にどういう?

Rogan: CTスキャンとか。

Q: あのクラスはVertexじゃないと間に合わない?

Rogan: あの、結構大きいんですよ、デバイスが。デバイスも大きいですし、スライス数もやっぱり多いですから。

Q: あのCT映像のReconfigureにものすごく演算能力が要るという事はよく知ってるんですが。

Rogan: 基本的には2つの部分に分かれます。一つはフロントエンドで、とにかくデータ収集。で、もう一つはその映像を再構成する部分で。両方とも殆どFPGAですけれど。

Q: それはどっちもVertex?

Rogan: Vertexの一番上のものです。

白: あの計算力が膨大なんですよ。その膨大な計算量を処理するには、やはりVertexクラスでないと。で、製品価格的にも、ちょうどVertexはまだ大丈夫な……。

Q: まあCTスキャナですと億のオーダーですし。

白: まあ大丈夫なレンジなんですね。

(続く)