Q:ちょっと話が戻るんですが、バタフライ演算でも何でもそうですが、割とこう、縦横になめるという演算が多いですね。で、例えばアメリカのベンチャーさんだったりすると、2D-DMAとか言ってRowとColumnの両方でDNAかけられるとか、あるいはIBMさんだと最近CellとかにSPP、あれは中味は完全なDSPだと思うんですが、要するにローカルにストレージ持たせて高速にアクセスできる、と。

要するにランダムアクセスを高速化する方法を色々模索されているんですが、その辺りは如何なんでしょう? DAPDNAを見ると、今は割と単純に、つまりメモリコントローラーが1個あるだけですし、キャッシュと言っても要するに32個のデータキャッシュがあるだけなので、データを保持するという観点からすると、まだちょっと不十分と言うか、ぎりぎりなのかなとも思えるのですが。

A:RAMのファンクション自体ですが、次の奴はRAMのファンクションのモードも上げています。ですので単純なRAMとは見えず、RAMの中で一つのアドレスに対するアクセスやなんかの自由度が上がるような仕掛けとかをやっています。例えばあのJPEGなんかでHuffman CordingとかDecodingとかがあった場合に、そういったものに対するランダムアクセスが来た場合でも、コードがすぐ取り出せる仕掛けですとか、そういうのを入れています。

おっしゃる様なRAMに対する要求は当然あるんですが、今まではちょっと外側の演算機使ったりして色々いじったんですけど、簡単なアクセスがあればそんなに効率が下がらないと言うべきか。逆にそれはではどうやって解決するかという時に、今後の課題かもしれませんが、やはり複数アクセスが有った方が並列度は上がるので、効率は良いのですよね。問題は一度入れてしまったものを、別の目的で違う方向からアクセスしたい(時にどうするか)と。我々の中で言ってるのはデュアルポートとかマルチポート化するとかですね、後同じものを二つコピーしてゆっくりそこで同期取らせるとか、そういう話になると思います。

マルチポートパックは実際次の奴でやっています。トランジスタの効率とかサイズから見ると、あまり効率的では無いので、限られていますけれど。そういった自由度を持たせるRAMを皆さん待ってまして、それを許される範囲で入れています。こうした目的のものは、さっき言ったJPEGの話もそうですが、入り口でやった方が多分良いと思います。

こうしたものは、アプリケーションに対して、汎用性を高める方向に行きたいのですが、ユーザー側から見て「これだったら使える」(というものを作るための)コストは物凄く限られているので、そこに合わせこもうとすると、どうしてもあるマーケットに対してかなり有効な仕掛けを特化して入れる必要があります。それは、汎用性を上げるって仕掛けを残しながら、効率を上げるという仕掛けを同時にやる必要があり、そこのトレードオフになっていますね。

Q:するとIMSの場合、Huffman-Codeというか、画像を扱う関係でJPEGやその辺のものに特化したものを入れるという事で、それがそのままDAPDNA-3に入るかどうかはまた別の議論という話ですか?

A:入れようとした時に、かなり効率よく専用回路で組んだようなものに近いようなものになるという事です。

Q:ああ。

A:実装効率が得られるように。でもそれは、元々想定してたものに対してはすごくフレキシビリティがあるわけですね。でも想定しない場合、つまり違うお客さんの要求が来た時に、やっぱりそれは組み合わせでカバーしないといけないんですね。そこの部分のオーバーヘッド分はやはり存在します。それはターゲットにするマーケットがずれてるので、カバー範囲は広いんですけど、やはり「ここの目的に使っていただけると、すごく効率上がりますよ」というところを出さないと、コスト競争で勝てない。その広げる努力とピーク性能を上げる努力を同時にやっている、そういうイメージですね。

広げる(事で獲得できる)お客様というのは、ターゲットが(本来のIMSから)ずれている領域のお客さんから見ても、まあそこそこ効率が高いじゃないかとか、違うデバイスを持って来てって言うよりは、競争力あるんじゃないかと。今お客様から見た場合、FPGAとか、すぐ作れるASIC、あるいはStructured ASICなどが最近注目されてます。ただ今はお客様が図面を置いて、所定の固定されたハードウェアの解が出てくれば満足という世界ですが、先ほどもお話した様に、その回路とか中味のファンクションが瞬間瞬間で、走ってる最中でも変わった方が良いねという、そう言った仕掛けが出てくると、(次は)そう言う特徴を持ったデバイス同士の戦いになって来る訳です。今はそうしたデバイス同士の戦いになってないのでまだ競争は緩やかですけど、方向としては「そういったものじゃないとダメだ」という仕掛けに持って行きたいです。(つづく)