"パソコンがあれば音楽が作れる!"なんて言葉はよく聞くけれど、いざ挑戦しようと思っても何が必要で、どこから手を付けたら良いか分からない…なんて方も多いのではないでしょうか? そんな方に向け、本連載ではパソコンで音楽制作を楽しむためのキホンやノウハウを紹介していきます。

パソコンでの音楽制作を始めていくと、どうしてもパソコンや音楽、デジタル・オーディオに関する数々の専門用語が登場してきます。この連載では、単に音楽の作り方だけではなく、そういった言葉も分かりやすく解説していくので、パソコンを使った音楽制作に興味がある人はもちろん、途中で挫折してしまった……なんて人もぜひ挑戦してみて下さい! 初回はDAWソフトについて紹介していきましょう。

DAWって何?

早速"DAWソフト"という聞き慣れない単語が出てきましたね。"DAWソフト"は、音楽を作るためのコンピューター・ソフトのことで、音楽用のワープロのようなものだとイメージしてください。パソコンで音楽を作るために必須のもので、このDAWソフトを使うことでボーカルやギターを"録音"したり、ドラムやベースを"演奏"させて曲を作ることができるようになります。

パソコンがあれば、自宅がレコーディング・スタジオに

パソコンで音楽というと、"DTM"という言葉を連想する人も多いと思います。DTMというのは、Desk Top Musicの頭文字を取った略語。"パソコンと電子楽器を組み合わせれば、机の上で音楽が作れちゃう!”なんてところでしょうか。DTMという言葉が登場した1990年代初頭では、コンピューターにソフト、そして楽器の音を鳴らすための専用の"ハードウェア音源”を組み合わせることで、ボーカル以外のすべての演奏をパソコン上に再現できるというものでした。少し前の携帯の着メロやカラオケがそうであったように、生楽器の音ではなくすべて機械の音で音楽を再現する、と言い換えても良いでしょう。

しかし、今やパソコンの進化によって、ボーカルやギターなど生の楽器演奏をパソコンのハードディスクに"録音"することができるようになり、また音源もパソコンのソフトとして利用できるようになるなど、出来ることの幅が飛躍的に向上。その他にもレコーディング・スタジオと同等の録音/編集機能が自宅のパソコン内で再現できるようになるなど、DTM時代には考えられなかったことが可能になり、次第にDAWという言葉が使われるようになったのです。ちなみにDAWはDigital Audio Workstationの略称。この言葉からも"オーディオ"(生楽器の演奏)が録音/編集できるシステム……ということが分かりますね。もちろん両者に明確な区別がある訳ではありませんが、本連載ではDAWという言葉を使用していきます。

ちなみに、現在販売されているCDのほぼ100%が、DAWソフトで録音/編集されたものといっても過言ではありません。

DAWソフトでできること

"パソコンで音楽を作る"という抽象的な表現だけでは、具体的に何が出来るのかイメージしにくいと思いますので、代表的な例をいくつか挙げてみましょう。

自分ひとりで曲を作る

通常のバンドでは、ボーカリストとギタリストとベーシストとドラマーが必要で……。なんて具合に、各楽器を演奏するためのメンバーが必要です。しかし、DAWソフトを使えば自分1人でどんなパートだって再現できます。それが、いわゆる"打ち込み"という作業。DAWソフト上に各楽器に演奏させたい音を入力していくことで、一種の自動演奏のような使い方ができます。ポイントは、楽器演奏や音楽の専門知識がなくてもOKということ。詳しくは今後紹介していきますが、演奏できない、または苦手な楽器パートはマウス操作だけでパソコンに"演奏”させることができる。これもDAWソフトの大きなメリットです。さらに言えば膨大な数の楽器音を再現する"ソフトウェア・シンセサイザー"を使えば、あらゆる楽器の音を手に入れることが可能です。音量の関係で自宅では演奏できない生楽器類や、希少価値が高く入手できないようなレア楽器も自由に使えて、しかもスピーカーやヘッドホンを使えば時間や音量を気にする必要もなし! いつでも好きなときに、好きな楽器を自由に組み合わせて曲を作ることができるのです。

バンドの演奏を録音(レコーディング)して、オリジナルCDを作る

バンドを組んでいる人ならば一度は、録音した音声のボーカルの音が小さい、ドラムの音がデカイ。そもそも音が割れて音質的に良くない……。なんて経験があるのではないでしょうか? DAWソフトを使えば、CDのようなクリアなサウンドでレコーディングし、各楽器の音量を聞きやすいようなバランスにしたり、音質を整える……なんて編集が自由自在! 出来上がった曲はオリジナルのCDにしたり、インターネットで配信することもできます。

DAWソフトの代表的なソフト「SONAR」

DAWソフト「SONAR」の操作画面

そんなDAWソフトのひとつであり、本連載でこれから使用していくのがローランドから発売されている「Cakewalk SONAR」というソフトです。ローランドはDTMという言葉を普及させた音楽メーカーであるということもあり、DAW時代になった今でも多くのユーザーから支持を集めている定番のDAWソフトです。また、シンプルで直感的な操作性に定評があり、初めて触れる人には分かりやすく、すでにDAWソフトを触っている人にとっても、よりシンプルな操作で思い通りの編集が行えるので、操作に戸惑うことなく、音楽制作に集中することができます。

さらに、同ソフトには先ほど紹介したような打ち込み機能やレコーディングや編集のための機能、さらにはパソコンを音源として利用できるソフトウェア・シンセサイザーやエフェクターなど、音楽を作るために必要な機能が多数揃っています。そのため、このソフトさえあればアナタのパソコンでイチから音楽制作を行うことができるようになるのです。そんなSONARシリーズの最新版が「SONAR X2」です。現在、3つのグレードが用意されており、自分の用途にあったものをチョイスすることができます。

SONARシリーズの主な機能比較表

これから音楽制作を始めようと考えている方の多くは、最初はエントリー・グレードでも十分かな? と考えてしまいがちです。ですが、曲作りに慣れてくると自然と欲が出て"もっと良い音が欲しい!"となるのが人の常です。そのため、市販のCDのような完成度の高い曲を作るために必要な機能が凝縮されており、一生あっても全部使い切れない程のさまざまな音(シンセサイザー)が入っている同シリーズの最上位版「SONAR X2 PRODUCER」を最初から選んでみてはいかがでしょうか。

ローランドのWebサイトで、実際のサウンドや機能をチェックすることができるので、ぜひ一度ご覧ください。

今月はDAWソフトの概念とSONARシリーズについて紹介しましたが、何となくDAWの世界観が分かって頂けたでしょうか? 来月はDAWソフトで音楽を作るために必要な周辺機器を取り上げていきますのでお楽しみに!