この連載も回数を重ねてすでにマイコミジャーナルの顔となりつつあると勝手に確信していますが、写真は1枚たりとも売れていません! でも、これまでは栄光への助走だったのです。真のスタートはこれから。というわけで、今回はいよいよ撮影に挑んでみました。これまでの連載で、売れる写真やタグなどの知識を得ていますから、きっといい写真が撮れるでしょう。

さて、前回の記事で「秋」をテーマにした「食材」や「料理」などの写真が売れていることがわかったのだが、逆にその分野ではライバルも多いという事実も判明した。では、なにを撮影しようか。そうボンヤリと考えながら紙に鉛筆で「秋」という字を書き続けた……。何も、何ひとつも思い浮かばない。書き続けること数十分、A4の紙が「秋」という漢字で埋め尽くされそうとしたとき、ふとひらめいた。そうだ、秋葉原を撮ろう(そうだ、京都へ行こう風で黙読プリーズ)。

「秋」から連想される街は「秋葉原」しかない

秋葉原の写真を検索してみると、photolibraryにはまだ191件しか登録されていない。しかもその写真のなかには再開発された現在の秋葉原ではなく、少し古い写真も含まれている。きっと「秋葉原2010」とかタグをつけたら、現在進行形の秋葉原の写真を求めている人たちに歓迎されるはずだ。さらに秋葉原は世界でもっとも有名なオタクの聖地。アニメやゲーム好きの海外の登録者が購入してくれるかもしれない。海外に多くのユーザーを持つiStockphotoに登録する写真としてはうってつけだ(まだ、審査通過してませんが)。勝利を確信した私はカメラを片手に職場を飛び出し、秋葉原に向かった。というか私の事務所は秋葉原だ。

俺にとっては「撮影」じゃなくて「シューティング」(佐藤ポン語録より)

やる気(もしくは売る気)に満ちあふれたテンションをキープしたまま秋葉原の中央通りに到着。テーマは「秋葉原」なので、ひと目見て秋葉原の写真だとわかる写真にしなければならない。電気街の雰囲気がよくわかる万世橋交差点で陣取ってみた。次に考えたのは構図。iStockphotoに落選したときに教わった指南書を思い出しながら、写真を3等分した位置に主要な被写体を置く。うぅ、難しい。机上で考えたときは簡単だと思っていたのだが、いざ実践すると無理が出てくる。静物写真なら被写体を移動させれば比較的簡単に構図を作れるが、今回は秋葉原の風景写真。ここに何十年も前から建っているビルは、どう考えても動かせない。カメラを移動させるしかないのだ。かといって、いまの秋葉原中央通りは歩行者天国ではないので、私が移動できるのは歩道内だけ。構図は少々妥協しなければならなかった。

秋葉原で撮影した写真の一部

最後にもっとも気をつけたのは、一般歩行者が特定できないようにするところ。ストックフォトに販売する写真は、人物が特定できない写真でなければならない。もしも特定できる写真ならば、その人物から許諾を得る必要がある。したがって、人物を撮影したい場合は、許可を得るかプロのモデルを雇うか、どちらかを選ぶのが一般的だ。今回、私はプロのモデルを雇うほど儲かってないため、人物が特定できないようにするしかなかった。写真に入り込む何十人もの歩行者から、正式に許可を得ていたら日が暮れてしまう。そこで使った解決策は、シャッタースピードを落として、人物が特定できないように撮影するという手法。これは、ストックフォトで街の風景写真を販売している人の多くが行なっている撮影方法なので、私もその手法をマネというかリスペクトしつつサンプリングした。何枚も何枚も撮影したら、なんとなくソレっぽく撮れた。これなら私の写真を購入したお客様が大きく引き伸ばして、駅構内の巨大ポスターの素材として使ったり、ビルの外壁を覆い尽くすような看板に使用しても問題なさそうだ。

交差点などで立ち止まっている人は、いくらシャッタースピードを落としてもボケてくれない。なので判別できないくらい遠景で撮るしかない

撮影後、事務所に戻って写真のチェックを行なった。このまま写真を登録したいところだが、ストックフォトで販売するためには加工が必要。キレイに撮れていると思った写真でも、拡大して確認するとレンズについたホコリが写り込んでいる場合があるので、「Adobe Photoshop」のようなツールを使って販売用の写真に仕上げる。地味で時間がかかる作業だが、これをしっかり行なっておかないと販売どころか審査にも通らない。今回のコラムは「写真のゴミ取り講座」ではないので細かいやり方は省くが、「修復ブラシツール」や「スタンプツール」などを使うと効率よくゴミを除去できる。そして、最後に色のバランスを整えたら終了。ここまで作業を終えて、やっとストックフォトに登録できるわけだ。かなり時間がかかってしまったが、今回はきちんと考えてから撮影→調整まで行なったので、審査を華麗にスルーして、「売れる写真」となってくれるはずだ。次回、素敵な報告ができることを願いつつ、今回はここまで!

拡大するとゴミやノイズは必ず見つかる。「UFOか?」とも思ったが、ゴミかもしれないので消去。これらをひとつずつ消していく作業がとても大事