9月9日で大口需要家に義務づけられていた「前年比15%減」を目指す節電要請が終了した。大停電はなく、計画停電も行わずに済んだということで、結果論としては無事に夏を乗り切ったというところだろう。

かといって、これで終わったと安心してはいけない。すぐに暖房需要が高まる冬が来る。暑さに比べて寒さのほうが電気に頼らずにしのぐ方法が多いとはいえ、油断は大敵だ。それに、こうした特殊状況でなくても節電をしておくに越したことはない。そこで、今回はオフィスでも家庭でも使える寒さ対策グッズを紹介しよう。

まず、近年注目を浴びているのが「湯たんぽ」だ。空気を暖める防寒グッズよりも肌が乾燥せず、頭の辺りだけが暖かくてボーっとしてしまうこともない。ぬいぐるみ型のカバーがついたハンディサイズのものも登場し、オフィスでも使いやすくなった。

椅子に座って使うならば、小さなものを腹部にかかえるようにしたり、背もたれとの間に置いて腰を温めたりするとよい。また、最近では足下を暖めることに特化して、床に置いた湯たんぽに足カバーが取り付けられた製品もある。床置きにする時は、湯たんぽの下に薄い座布団のようなものを置くと暖かさが長持ちする。

さらに、大きめの膝掛けで足下から腰辺りまで覆えば、ちょっとしたコタツのようになって快適だ。今は内部にアルミ層などを入れて反射熱で暖める膝掛けもある。薄型の大判で、巻きスカートのように腰にまきつけてたち歩けるものも存在する。オフィスのひざかけといえば女性が使うものというイメージがあるが、この機会にぜひ男性も使ってみてほしい。「ちょっとカッコ悪いけど、節電のためだから仕方ないよ!」と笑顔で言い訳して、快適な環境を手に入れるチャンスだ。

家庭で就寝時に使うならば、少し大型で樹脂製のものを選ぼう。金属製のものと違って、就寝中にカバーがめくれてしまっても火傷する危険が少ない。寝る少し前に腰辺りの位置に入れておき、寝る時に足下のほうへと押しやると暖かい範囲が広くなる。堅いものが布団の中にあると不快だという人は、ラバー製の柔らかいものもあるから検討してみよう。朝はほどよく温くなった湯で顔を洗えば一石二鳥だ。

屋外で暖を取る時は「ハクキンカイロ」が頼りになる。本家ハクキンカイロはベンジンをゆっくりと中で燃やして金属ボディが温まるという仕組みだ。近年はライターで有名なZIPPOブランドのOEMモデル「ZIPPO ハンディウォーマー」もあり、こちらはZIPPOのオイルを入れて利用する。コンビニでも売っているオイルが使えるから手軽だし、たっぷりオイルを入れれば24時間は暖かく、ゴミも出ないというのがいい。金属ボディだけに火傷に注意は必要だが、カバーをきちんと使っていれば心配ないだろう。

ZIPPO ハンディウォーマー

もっとマイルドな暖かさが欲しいならば、三洋電機のエネループ技術を使ったカイロでもよい。これは充電式だから、夜間に充電しておくなどして使うことになる。温度も段階的に切り替えられるし、コンパクトなので女性にも使いやすいだろう(女性を意識してか、カバーがピンクのモデルも用意されている)。

SANYO エネループカイロ(両面発熱型) 充電式カイロ

防寒の基本は分厚い服を1枚着るのではなく、薄い服の重ね着だ。吸汗性の高い肌着も使って暖まり過ぎて汗をかいた時の冷えも防ごう。さらにレッグウォーマーで足首を、リストバンドで手首を温めるのも効果的。「今年は節電がんばらないと!」を言い訳に、防寒グッズを早めにチェックしておこう。