暦の上ではもう秋。秋が深まれば1年の中でわずかな冷暖房が不要な電力事情に優しい季節の到来だ。しかしそこで気を抜いてはいけない。あっという間に暖房が必要な時期がやってくる。今回は、少し早いが暖房需要に向けて冬の節電に目を向けてみよう。

深刻な節電が呼びかけられていた関東圏において、屋内にいる時に冷暖房を使わなかったら、命の危険があるのは圧倒的に夏だろう。冬は厚着をしたり、布団をかぶったりで何とか対応できる。乾布摩擦ではないが、健康な人ならば、ちょっとがんばってみるのもよいだろう。

冬の節電でも真っ先に目の敵にされるのはエアコンだ。確かに温度を変えるために電気を使う機器はかなり電力を消費する。夏と違うのは、単純に室温を上げるものならば選択肢がいろいろあるということ。ガスファンヒーター、石油ファンヒーター、石油ストーブ、薪ストーブ、床暖房と簡単に考えただけでバラエティに富んでいる。

これらの中からトータルで安いものはというと、灯油を使う石油ファンヒーターや石油ストーブが挙げられる。特に電気を使わない石油ストーブは節電という意味では最も注目したいところだ。しかも、昔ながらの石油ストーブならばヤカンや鍋をかけておくことができる。水を入れたヤカンをかけておけば加湿器の代わりにもなるし、いつでも熱湯が使えるのはありがたい。電気ポットで保温するのもやめられると考えると、かなりの節電だ。鍋でコトコト煮込む料理にもぴったりというメリットもある。

ただし、温風を出すのではなく直接火を燃やす石油ストーブはエアコンに比べて換気の必要性が高い。換気と言っても窓を開け放って外気を入れる必要はなく、ある程度トイレに行くなどしてドアが開閉されていれば問題はない。暖めた部屋に根を張って閉じこもっていたり、そのまま眠ってしまったりしないようにだけは気をつけよう。

また、子供や老人がいる家庭では火傷の心配もあるし、いくら節電によいとは言ってもオフィスで石油ストーブを使うのは難しいだろう。そういう場合はムリをせずに、ファンヒーターやエアコンを使えばよい。各人ができる範囲で取り組むのでなければ、息切れして節電は続かない。

オフィスや家庭に後づけで簡単には設置できないものの、ちょっと気になるのは薪ストーブだ。灯油ではなく木材を燃やして起こす火は見た目にも暖かだし、料理への活用幅も広いらしい。薪の調達が必要となるが、今は震災で出たガレキから再生した薪が登場している。ガレキ整理をしながら暖も取れ、電気が来なくなろうが灯油が切れようが使える薪ストーブ。もし、気になっている人がいるならば、薪ストーブの導入を考えてみてはどうだろう。

鍋やヤカンをかけておける「薪ストーブ」。被災地のガレキから再生した薪を使えば被災地のサポートにもなり、電力消費も抑えられ、一石二鳥だ