連載『「老後破産」を回避せよ! - アラサーから始めるマネー対策』では、FPの馬養雅子氏が、貧困により老後の生活が破綻する「老後破産」をどのように回避すればよいのか、アラサーのうちからできる対策法をご紹介します。
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老後破産しないためには計画的にお金を貯めることが大切。でも、「わかっているけど、なかなかできない!」という人が多いようです。同じように、「体重を減らすためには食事の量を減らして運動量を増やす必要がある」というのも「わかっているけど、なかなかできない!」という人が多いですよね。

貯蓄とダイエットには共通する点がありそうです。

ダイエットできない人は老後破産する?!

「貯蓄」と「ダイエット」の共通点とは?

貯蓄やダイエットがうまくいかないのは、「将来のために、今我慢する」ということができないのが大きな原因でしょう。ダイエットしなきゃいけないのについお菓子を食べてしまう、とか、ムダ遣いを減らさなきゃいけないのに欲しい物があるとつい買ってしまう、というように、将来のことより目の前のことを優先してしまうのです。

「ダイエットは明日から」と自分でいいわけして食べてしまったり、「貯金するのは来月から」といって買い物してしまったりする人もいますね。こんなふうに、自分にとってイヤなことは先送りし、ラクな方に流れてしまうのも、ダイエットや貯蓄ができない原因の一つでしょう。

ということは、「食べたい!」とか「欲しい!」と思ったときに、「だけどやめておこう!」と一歩踏みとどまれるかどうかが、ダイエットや貯蓄に成功するかどうかの分かれ目になるわけです。

成功させるにはどうしたら良いか?

踏みとどまるには、強い意志の力が必要。といっても、急に意思を強くすることは難しいので、例えば、食べたくなったり買いたくなったりしたら、太った自分や老後破産した自分を頭に思い描くとか、あるいは逆に、やせてスリムになった自分の姿や、お金にゆとりがあるリッチな気分を思い浮かべるなど、自分なりの方法を工夫するとよいでしょう。

ダイエットや貯蓄がなかなかできないと、「ラクしてできる方法はないか」と考えがちですが、そんな都合のいい話はありません。ダイエットに関して「○○するだけでやせられる」といった広告は山のようにあるけれど、それでやせられたらダイエットに苦労する人はいなくなるはずです。

貯蓄も同じ。お金が貯められない人ほどラクしてもうけようとする傾向があって、ギャンブルや「おいしいもうけ話」で一獲千金を狙いがちです。でも、もちろんうまくいくはずがないし、ギャンブルにのめり込んだり、インチキなもうけ話にひっかかったりして大金を失うリスクがあります。

ダイエットも貯蓄も、成功させるには「地道にコツコツ」しかないのです。

無理し過ぎは禁物!

貯蓄とダイエットのもう一つの共通点は、「ムリしすぎるとリバウンドする」ということ。ダイエットしようと一大決心して、急に食事の量を減らしたりいきなり激しい運動をしたりしても長続きしません。やせるどころか、かえって健康を損なう可能性もあります。

同じように貯蓄も、それまでほとんどお金が貯められなかった人が、いきなり毎月5万円ずつ貯めようとしてもムリです。急に支出を切り詰めるとストレスがたまって、その反動で買い物に走ってしまうことになります。

ムリのないところから少しずつ始める――これが、ダイエットや貯蓄を長続きさせるコツです。

執筆者プロフィール : 馬養雅子(まがい まさこ)

ファイナンシャルプランナー(CFP認定者)、一級ファイナンシャルプランニング技能士。金融商品や資産運用などに関する記事を新聞・雑誌等に多数執筆しているほか、マネーに関する講演や個人向けコンサルティングを行っている。「図解 初めての人の株入門」(西東社)、「キチンとわかる外国為替と外貨取引」(TAC出版)、『明日が心配になったら読むお金の話』(中経出版)など著書多数。オフィシャルホームページ「あなたのお金のアドバイザー」。