連載『「老後破産」を回避せよ! - アラサーから始めるマネー対策』では、FPの馬養雅子氏が、貧困により老後の生活が破綻する「老後破産」をどのように回避すればよいのか、アラサーのうちからできる対策法をご紹介します。
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若い世代にとって遠い先のことではあるけれど気になるのが"老後破産"。それを避けるための第一歩が貯蓄である、ということを前回お話ししました。長い人生のいろいろな場面でお金が不足することのないよう、あらかじめ準備していくことが大切です。

「残ったお金を貯金」ではいつまでたってもたまらない

貯蓄にはいろいろなやり方があります。例えば「500円玉貯金」。買い物のしたときのおつりなどでおサイフに入ってきた500円玉をためていくのです。専用の貯金箱や、本のページに500円玉を差し込むようになっていて「全部埋まると2万円!」などというのもあり、楽しみながらお金がためられるのがメリットです。

でも、500円玉がいつおサイフに入ってくるのかは予測できませんよね。ということは、いつまでにいくらたまるかもわからないということです。小学生がおこづかいをためるのにはいいかもしれませんが、大人が計画的にお金をためていくのにふさわしいとはいえません。

貯蓄するというと、お給料などの収入からいろいろなものを支出して、その残りをためようとする人も多いのですが、それが計画的でないのは500円玉貯金と同じです。毎月の支出額は一定ではないので、多く貯蓄できる月もあれば少ししか貯蓄できない月も出てくるからです。

「よし貯蓄するぞ!」と決心しても、毎月、収入のほとんどを支出してしまうようでは、いつまでたってもお金はたまりません。「収入-支出=貯蓄」では駄目なのです。

「残ったお金を貯金」ではいつまでたっても貯まらない

確実にたまる! 「先取り貯蓄」のメリット

毎月一定額を計画的にためていくためには「収入-貯蓄=支出」でなければなりません。お給料などが入ってきたら、まず決まった額を貯蓄して、残りを支出に充てるようにするのです。つまり"先取り貯蓄"です。これなら、支出が多い月も少ない月も、一定額が確実にたまっていきます。

例えば毎月1万円積み立てるなら、お給料が振り込まれたらすぐに1万円を引き出して定期預金にするか、ネットバンキングで普通預金から定期預金に移します。この手間を省けるのが、銀行の自動積立定期預金です。あらかじめ決めた金額が毎月一定の日に銀行口座から引き落とされて定期預金になっていくというものです。最初に引き落とし金額と引き落とし日を決めて手続きすれば、積み立て忘れるということなく、自然にお金がたまっていきます。引き落とし日をお給料日の翌日にしておけば、残高不足で引き落としができないということも防げます。

もし勤務先に財形貯蓄があれば、是非利用しましょう。給与天引きで一定額が積み立てられていくので、お給料が振り込まれたときには、既に貯蓄ができていることになります。

貯金をする上で最も重要なこと

貯蓄で一番大切なポイントは"コツコツ"。少ない金額でもコンスタントに積み立てていけばまとまった金額になります。

自動積立定期預金も財形貯蓄も、最初に手続きさえしてしまえば「収入-貯蓄=支出」がカンタンに、そして自動的にできてしまいます。ほうっておいても"コツコツ"貯蓄ができ、知らず知らずのうちにお金がたまるのですから、人生の強い味方といえるでしょう。

コツコツ貯蓄は早く始めれば始めるほどたくさんお金がたまります。だから、これを読んで「なるほど!」と思った人は、すぐに始めてください。明日にしよう、何て思っていると、いつのまにか数日、数週間、数カ月、とどんどん先送りになってしまいますよ!

執筆者プロフィール : 馬養雅子(まがい まさこ)

ファイナンシャルプランナー(CFP認定者)、一級ファイナンシャルプランニング技能士。金融商品や資産運用などに関する記事を新聞・雑誌等に多数執筆しているほか、マネーに関する講演や個人向けコンサルティングを行っている。『図解 初めての人の株入門』(西東社)、『キチンとわかる外国為替と外貨取引』(TAC出版)、『明日が心配になったら読むお金の話』(中経出版)など著書多数。オフィシャルホームページ「あなたのお金のアドバイザー」。