人見知りが激しくて、彼女を不愉快な気持ちにさせてしまったかもしれない……と思ったことのある人見知り男子はけっこう多いものです。運動神経がよくないのと人見知りは、それが女の子だと、なんとなく「かわいい」とか「おとなしい」とか、長所にかえてしまうこともできるようですが、男子の場合そうもいかないみたいです。

SEをしている私の友人男子は、なんだかとっても人見知りです。クライアントに出向いて仕事をすることが多いので、人見知りじゃいけない! と思って、あれこれ努力したそうです。

彼の場合、彼のお父さんがちょっとびっくりするくらい社交的で明るい人で、初対面の相手をいきなり下の名前で呼んだり、初めて入った飲食店で、「いつものやつ、よろしく!」と言ってしまったりするのです(ちなみに私は両方とも実体験させてもらいました)。しかも、それがなんとなくゆるされてしまうような外見の持ち主なのです。

友人男子は幼いころから、そんな父をみてきて、非常にコンプレックスを感じてきたといいます。「親父は趣味で骨董品を集めているのだけれど、オレが子どものころ、夏休みになると親父が蔵の中に逸品があるというウワサの家を車でまわるんだけど、知り合いでもない初対面の家に『いやー◯◯さん、どうもどうも』ってズカズカ上がっちゃうんだよね」……。「向こうもさ『奥様もお元気でしたか?』なんて言われて、あれ? 知り合いだっけ?って、とまどいながらもお茶を出してきて」……。

「ひとしきり骨董品をみせてもらったあとで、その家の奥さんが恐る恐る『あの、どこでお会いしましたかしら?』と切り出すと『いや、初めてお会いしますよ』とか平気な顔で親父が答えて、みんな大爆笑して、でもオレはその間中ずっと、助けてーっ! と心の中でさけんでいたんだよ」

友人男子のお父さんの逸話はいろいろあるのですが、ここではその話はおいておきます。とにかく、そんな父をもったせいで、余計に人見知りが加速した気がすると友人男子はいいます。

「親戚とか親父の知り合いに会うと、絶対にいやー、似てない息子だね。もっとハキハキしゃべりなさいだの、お父さんは男らしいのに息子はうじうじしているだの言われるし、自分はどうして親父に似なかったんだろうと思ったよ」

というわけで、友人男子はできるところはお父さんのマネをすればいいのだ! と思い、人見知りを克服するために、お父さんの話し方や人との接し方をマネてみるようにしたそうです。さすがに、知らない人の家にあがるのと、初めて入った飲食店で「いつもの!」と言うのはマネしないと言っておりました。

ところで、女の子はどんなところで、相手の男の子を人見知りかも? と思うのかと言いますと……。

●私の友だちに紹介したとき、下を向いてしまって、ろくにアイサツもできなかった。友だちからも「目を見て話せない人なんだね」と言われてしまった。

●メールでは饒舌で、短くてもおもしろい文章や写真を送ってきてくれるのに、実際に会って話すと別人のようにおとなしい。

●休日に突然、声が聞きたくなって彼に電話をかけたら「はい、もしもし」のあとは、ずっとげほげほとむせたり、声がかすれてしゃべれなかったりしていた。日ごろから、誰とも電話で話したりしていないのかもと思った。

●職場の飲み会に出席しているのをあまり見たことがないなぁと思っていたけれど、彼自身が異動になったので、幹事の私が送別会の案内をメールで送ったら「それ、行かなきゃダメかな?」と聞かれた。主役は君です。

●彼氏を実家に招いて、自分の親に紹介したとき、彼がまったく話そうとしないので、うちの親が気をつかってあれこれ話しかけていた。小学生じゃないんだから…とちょっと思ってしまった。

このようなことがあると、あ、彼って人見知り…と女の子は思ってしまうものです。

そういう私も人見知りですので、人見知りな自分とは、若いときからずいぶん格闘してきた気がします。あえて、接客業のアルバイトをしてみる。後輩に(笑)アドバイスされて、自分がどんな表情で話しているか鏡の前で練習してみる。飲み会や何かの集まりに積極的に参加して、初対面の人にも話しかけるようにしてみる。こういった努力を重ねても、家に帰ってくるとぶるぶる震えている自分がいたりして、(やめた、やめたー。本来の性格をかえようなんてムリな話だー)と開き直って、しばらくはまた人見知りのままで過ごす……という状態の繰り返しです。

とはいえ、大人になるとどうしても、がんばって初対面の人と話をしなければならない場面や、大切な人のためにクリアしなくてはならない場面などが発生してきます。大好きな彼女の親御さんに、オレが悪い印象をあたえたら、彼女が悲しむだろうなぁと思ったら、人見知りな自分はちょっとワキへ追いやって、親御さんの目をみてハキハキとさわやかに会話をし、「いい人をみつけたのね」と思ってもらいたいところです。

大切な彼女の、親しい女友だちに紹介されたオレは、できれば彼女の友だちにいい印象をもってもらいたいし、彼女を大事にしているんだと友だちに安心してもらいたいところです。そのためにはやはり、おもしろい話ができなくても、気のきいたことが言えなくても、相手の目を見て相づちをうつ。返事だけでも「はい」ときっぱり言う。むすっと無愛想な顔をせず、笑顔で相手を見る、というようなことができるといいと思います。

人見知りなオレ……にもかかわらず、おもしろいと思ってもらいたい。気のきいた会話ができると思われたい、となるとハードルがいきなり上がってしまいますから、まずは目を見て笑顔でというところからはじめてみましょう。

それだけでもじゅうぶん、女の子から好印象をもたれるはずです。ムリして背伸びをせず、大事な彼女のために、人見知りだとしても、できるところから頑張ってみてほしいです。

酒井冬雪です。恋愛って、自分にないものを求めがちなので、人見知りな人に限って、社交的な人を好きになり、社交的な人は意外と人見知りな人を好きだったりします。というか、こちらが人見知りなせいで、よっぽど社交的な人でないと話しかけてくれない…せいかもしれません。では、またね。