恋に駆け引きはつきものです。男性のみなさんの中には、「恋愛というのは、人と人との気持ちのやりとりなんだよ。対等でいないといけないよ。だから、駆け引きなんてしたくない。駆け引きするなんてよくないよ!」と思う男性も、きっといらっしゃることでしょう。

ところが実際には、人と人との関係が対等であるというのは、なかなかどうしてむずかしい部分があるものです。たとえば、上司と部下、先輩と後輩、先生と生徒となると、どうしてもそこに、お互いの気持ちの中に、上下関係ができてしまうのですし。そういった上下関係というのも、よくないよ。平等であるべきだよ!と思う方もいらっしゃるやもしれません。

がしかし、自分が後輩や部下や生徒の立場であるとき、尊敬するカッコいい、仕事も勉強もできちゃう先輩に対しては、丁寧にスナオに接したいという気持ちが生まれてしまうのは自然ななりゆきというものです。

恋愛も同じように、こちらは彼女のことをとってもとってもとってもとってもとってもとっても大好き!なのだけれど、向こうが自分をどれくらい好いてくれているのか……いまいちわからない。

そんなときは、相手の気を引こうと躍起になってつくしてしまうのに、向こうは素っ気ないつれない態度である。というように、なんだか対等とは程遠い、ほれた弱みってこういうことなんだなーという状況が発生してしまうこともよくあるものです。

というわけで、ほれた弱みで相手の思い通りになんでもいうことを聞いてしまう、都合のいい女になっちゃいけない!と考える女の子は、恋に駆け引きをもちこみます。駆け引きなんて、よくないかもしれません。できれば、使いたくない手段、したくないことかもしれません。でも、そうすることで大好きな人が少しでもこちらに興味をもってくれるなら、自分に気持ちを向けてくれるなら、がんばってやってみる価値はあるかも……そう考えるのが女の子という生き物です。

それでは駆け引きというものはどのような場面でどういったことをするものなのかというと……

○本当は家でゴロゴロとヒマにしていたのだけれども、気になる彼からメールや電話がきた際は「今、外ー」「友だちといるー」などと見栄を張った言動をしてしまう。なおかつ「友だちって、女の子?」と聞かれたら、女の子じゃなくて男の子といるふうに思ってもらいたいために、その質問をスルーしたり返答をにごしたりする。こうすることによって、私は忙しい女、男の子から誘われちゃう女=ほうっておいたら他の人にもっていかれちゃうか的なさりげないアピールをすることが目的です。

○彼に誘われたら、ふたつ返事で即座にほいほいとOKするのもどうかと思い、とりあえず最初は断ることにしたい……のが女の子の本音です。が、近年はこれをしてしまうと心がキズついて二度と誘ってくれない男子が多いので、すごくもっともらしい理由、たとえば、おじいちゃんの法事があるとか、友だちの結婚式の二次会に出ないといけないとか、休日出勤になっちゃったのでとか言って、だからまた今度絶対誘ってねと前置きをしつつ、とりあえずけっきょく断る。

○彼との約束やお誘いに、ホントはいそいそとついていきたいのだけど、3回に1回、5回に1回(この比率は相手の男性の性格によって変動する)は女同士の友情を優先させてお断りをする。こうすることで、自分はなかなかなびかない女、120%彼にメロメロっていうわけでもないのかなーとちょっと不安にさせるくらいの女と思ってもらいたい、という気持ちです。

○本当はそんな人、ぜんぜんいないのだけれども、架空な感じで別の男性のカゲをちらつかせてみる。職場の上司や同僚など、他の男性をやたらとほめまくったり、その人の話ばかりしたりしてみる。そうすることで、最近、△△とかいう男の話ばっかりしてる……と彼がシットしてくれれば、少しは私に脈があるって思えるかも? と、そこの辺りを確かめたい女心。

というような駆け引きの手法があるものです。

ひどい、こんな駆け引きするなんて!と思う男性もいるかもしれません。とはいえ、男の子というものは、どうしても、すぐに自分になびいてくる女の子にはちょっと冷たくなったり、すぐに熱が冷めちゃったりしがちなものです。

でもって、追いかけられるよりも追いかけるほうがいい部分がなきにしもあらずな男子がほとんどですので、少しくらい突き放したり、放っておいたりしたほうが、こちらに興味をもってもらえる可能性があるかもと考えてしまうのが女の子というものです。

そしてまた、ハタからみていると、男の子のほうも少し駆け引きをしたほうがいいのではなかろうか?と思わずにいられない場面、状況もあるというものです。

たとえば、「そこは押さないで、引いたほうがいいよー」「そこで言いなりにならずに、NOって言ってもいいよー」「今は、帰りを引きのばそうとせずに、サラリと自分から帰ってしまったほうがカッコいいよー」と、いうような場面。男友達をみていると、よく目の当たりにするものです。

恋愛というのはえてして、他人事だとハッキリとよく見えてしまうのに、自分のこととなるともやがかかったように見えてこないものです。自分の恋愛だけでなく、友人の恋愛や女子友だちの恋愛話にも耳を傾けるようにすると、恋の駆け引きというものはハッキリとみえてくることでしょう。

さらには、それを自分に置き換えて「もしかすると……」と考られるようになると、恋の駆け引きもみえてくるはずですし、自分も好きな女の子に一歩引いた大人な対応で接することができるように、な、なるやもしれません。

そんな自分を目指して、恋の駆け引きをまったく否定するのではなく、恋愛ってそういう部分もひっくるめておもしろいんだなーと考えてみる。そんな男子が増えてくれるとうれしい、それもまた女心です。ぜひぜひ、恋愛の楽しいところだけではなく、ちょっと切ないところや理屈じゃ納得できないところも楽しんでみてほしいと思う今日このごろです。

酒井冬雪です。女の子が一生懸命、ちょっとした駆け引きをしている姿を見ると「かわいい!」「くーっ、こいつめー」と思ってしまう自分がいます。小さい、なんだろう……お、おっさんが私の中に住んでいるのかも。では、またねー。