もう今年もあとわずか。一年をしめくくりたい時期ですので、友人同士、親しい者同士、知り合い同士で集まる機会も増えますし、きっかけもつくりやすい時期です。というわけで、先週は飲み会や合コンの場での会話にかかわる問題について考えてみましたが、今週はおもてなしの心について、考えてみることにします。

たま~にあることです。今度の飲み会についてあれこれ考えすぎて、期待しすぎて、期待してしまっている自分に怒りや悲しみを覚えて、何もかもどうでもよくなってしまうということが。

例えば、何を着ていこうかと悩み、出かける前にシャワーを浴びて髪も洗ってしまおう。仕事帰りに待ち合わせだから、制汗デオドラントスプレーを買ってシューシューしたほうがいいかもしれない。歯磨きもしておいたほうがいいか。ハッ、その前に髪の毛切ったのいつだった? ヒゲは剃ったほうがいいのか?? ワイシャツの色は??? ああっ、ネクタイのこんなところにナゾのシミがっ……とあれこれ悩んでいっぱいいっぱいになること。

そんな風に、身も心もいっぱいいっぱいになって悩んでしまって、悩んだ自分がむなしくなって、必要以上に今度の忘年会に「期待」している自分がいるからこんなに悩んでいるんだと思ってしまったとき。突然、何もかもどうでもよく、投げやりな気持ちになってしまう。そういう人、きっといると思います。もちろん、男性だけではなく、女性も同様です。

このように「もう、どうでもいいや~」と突然、開きおなってしまい、「えええ? それはないよ」というスタイルで、飲み会や合コンに行ってしまう人がたまにいるらしく、時々、「こんなカッコで、きたんだよ~」「こんなふうな態度だったんだよ~」と、ちょっとビックリするような話を耳にすることがあります。

  • 上下中学or高校時代のエンジ色のジャージで飲み会にやってきた男性。胸には刺繍でネームが入っていた。ジャージのズボンのヒザには擦り切れた小さな穴あり。「何着ていこうか考えていたら、ワケがわかならくなった」と開き直って笑っていた。シャレといえばシャレで済むけど、この合コンのために気合を入れて新しいセーターと下着を買ってしまった自分がむなしくなった。

  • 店がお座敷スタイルだったため、靴を脱いで席に着くことに。その際、先に座席に上がった先輩男性の靴と靴下が目に入ってしまったのだが、靴はひどく汚れたテニスシューズっぽいもので、靴下には穴が開いていた。ビックリして、彼のことを横目で見てみると、無精ヒゲに後ろアタマは寝ぐせ、女子もたくさんいる飲み会の席に、少しばかり身づくろいをしてくる気はなかったのかと思った。「もう少し身なりに気を配ったら? 」と言いたかったけど、口が達者な先輩なので、何か言うと10倍くらい言い返されるので、黙っていることにした。

  • 飲み会当日。待ち合わせ場所に早めに着くと、すでに知り合いの男性がきていた。ホッとして近づき「こんばんは」と声をかけたものの、彼の耳にはヘッドフォン、マンガ誌を読んでいて、私が来たことに気づかない。目の前で手をふったり、二の腕あたりを押したりして気づいてもらおうとするほど親しい相手でもないので、黙って横に立って、他のメンバーを待つことにした。こんな集まり、どうでもいいやと思っているのかな~と、その後、お店に入ってからも気を遣ってしまった。

  • 友人と、そのまた友人に声をかけた忘年会の日。ダボッとしたジーンズに、モワモワの髪。すっぴんでマフラー、マスク、モコモコブーツ、ミトン型の手袋、モッズコートと防寒装備をして、原チャリで待ち合わせ場所にあらわれた女子。もちろん「バイクだから飲めない」と言って、毛玉だらけのタートルセーターの毛玉をプチプチむしっており、一次会で早々に帰っていった。女の子同士の中では人気があるらしいが、初対面の男から見ると……どうしても残念な感じが。彼氏がいるから余裕なのか、友だちの友だちの男どもなんてどうでもいいと思っているのか、何が目的で来ているのかよくわからないが、もう少し外見に気を遣ってくれてもいいと思う。

  • 人見知りなのか、恥ずかしがりやなのか、こちらがどんな話題をふっても、ずっと黙って目の前の飲み物と食べ物の皿を見つづけている女の子。私に話しかけているわけではないのかも、と思いたかったのか、横目でオレの隣や向かい側の席の女の子の反応を見ていた。相づちも打ってもらえず、ひとり言を言っているようで恥ずかしいので「返事くらいしてよ」と言ったら、「ごめんなさい、ごめんなさい」と謝ってくれたものの、その後は逃げるように席を代わってしまった。子どものころに飼っていた、ものすごく人見知りな犬メリーを思い出した。

飲み会などの場には、「おしゃれをして来てほしい」「粋な楽しい会話をしてほしい」とは言いません。ただ、人と人とが会うときは、相手を思いやる気持ち、もてなしをする心というのを少し発揮してほしいなと思います。どちらが招待された側、招待した側というのは関係なく、どちら側にも同じ気持ちがあっていいのです。

初対面の人や、普段あまり親しくしていない人と席を同じくするのでしたら、多少は身だしなみにも気を配り、相手も自分と同じように緊張しているかもしれないから、なるべく会話に参加できるようがんばろう。待ち合わせをしているときは、時間に余裕をもって、目と耳を使って全力で相手を待ってみよう。そんな気持ちさえあれば、それで十分。それがいちばん大切なのではないかなと私は思います。

今年も残り少なくなってきましたが、今年最後の1週間、誰かを思いやる気持ち、おもてなしするんだという気持ちで、女の子と(男の子とも)接してあげてみてください。そうすると、来年はきっといいことがあるでしょう! と願っています。はい。

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酒井冬雪です。昨年は、大晦日に更新した当コラムですが、来年は元旦から更新予定。年末年始は編み物をガーッとして、ちょっと仕事をして過ごす予定の私です。肩こりだけは気をつけます。みなさま、お風邪など召されませんよう、元気で年末をお過ごしください。