その昔、「三高」という結婚(恋愛)するにあたって、女性が男性に求める3つの理想の要素がありました。

  1. 身長

  2. 収入

  3. 学歴

この3つの要素が高ければ高いほど彼氏としてはよい。こんな風に考えられている時代があったわけです。ところが、現在のように経済や社会の状況が先行き不安になってくると、このようなことは言っていられなくなりました。現実的な女の子は、すぐさまそのことに気が付いたので、三高といった条件を持ち出す女の子はごく少数になっているものです。なぜかと言えば、三高というものは時と場合によっては、かえって足を引っ張る要素にもなりかねないからです。

例えば身長。男性は背が高いほうがカッコいい、と思う女の子は少なくないことでしょう。しかし、高齢化が進む社会において、高身長でガタイのいい男性を介護するとなると、それはとてつもない重労働になりかねません。実際に、そういった経験で苦労したおばあちゃんを持つ孫娘は、「男の人の背が低くてもいいかもしれない……」と考えるようになっていくかもしれません。だからといって、高身長を否定するわけではないのです。背が高い男性が背が高い女性と結婚して、カッコいいカップルになるのもとても素敵です。

高収入に関しても、付き合って最初の頃、結婚して間もないころは高収入だったのに、時間の経過とともに収入が減っていったり、不景気で賃金やボーナスがカットされたりということが、まったくないともいえません。そうなってくると、女性としては、なんだか最初よりマイナスな感じを受けてしまう。いっそのこと、最初からそんなに収入がなかったら「2人でがんばろう」って思えたのに、最初は彼の稼ぎがよかったからすっかり依存心ができてしまったじゃないの! と不満になってしまう。そんなことも起こりかねないのです。

そして、高学歴。高学歴が悪いことだなんて、私はこれっぽちも思いません。よほどの天才型でもない限り、小さいころからコツコツとどれほど勉強を怠けずにやってきたことか……。その努力とマジメさ、時間のやりくりのうまさ、効率よく勉強する方法について考えてきた頭脳は、社会に出てからもきっと役に立つことでしょう。

ですが、1つのことしかやってこなかったゆえのメンタルの弱さのようなものがある、という可能性もないことはないわけです。

例えば、ちょっと予想外のことが起きたり、自分の思い通りに事が運ばなかったりしたときの落ち込み具合や、自分よりできない相手をバカにしたり責めてしまったりという場面が出てくることも。そういうところがあると、女の子としては「やさしくないなぁ」「もう少し、心が広くてもいいんじゃないかな」と思ってしまう部分もなきにしもあらずです。

10代、20代は、若さと勢いと元気さで、本人も周囲もなんとなくこういった部分を見過ごしたり、やりすごしたりできます。しかし、30代も後半になってくると、大抵の人の勢いと元気が減ってきます。20代のときは、仕事で逆境に立たされても先輩や上司が助け舟を出してくれることでしょう。ところが、30代も後半となると、今度は自分で問題を解決して、後輩や部下を助けなくてはならなくなる。そうなったとき、己の打たれ強さや度量の広さが前面に出てきてしまうわけです。

そういった場面で、問題をうまくかわしたり、誰かのせいにして「バカじゃねーの」と責めたり、自分のせいだと落ち込んで出社拒否症になったりせず、辛いときこそ踏ん張れる人なのかどうか。女性は意外と男性のそういう面をシビアに見極めています。

高学歴で、自分と同じくらい優秀でトラブルも起こさない家族や友人に囲まれてきたせいで、ちょっとした問題でも相手をバカにしたり、責めたりしてしまう。いくら高学歴でも、女の子を「バカじゃないの」と責めたり、「彼の家族も高学歴で、結婚したら私の学歴のことであれこれ文句を言われて面倒くさそう。だったら普通の人でいいや」と考える。今の女の子には、野心や野望に勝るそういった賢さが出てきた、というわけなのです。

ところが、一部の男性はいまだに「女の子って、どうせ金がある男がいいんだろう」とか、「背が高いイケメンがモテるよな」とか、「うわK大を出てるんだ、こりゃ太刀打ちできない……」とかそんな風にアタマから決め付けている人が少なからずいるようです。つきつめてしまうと、高身長・高収入・高学歴でもそうでなくても、彼にはいざというときに自分を守ってくれるやさしさと強さ、へこたれても立ち上がってきてくれるガッツがあるかどうかを見極めたいと考える女の子が増えているのかもしれません。

女の子的には、「三高なんて言わない。彼自身を見てるから! 」というわけです。でも、いっそのこと「三高」って言ってくれたほうがわかりやすい。男としての度量とか、ガッツとか、人間的おもしろさとか言われるよりは……と思う男性もいるやもしれません。その場合、もちろんそういった要素を男性に求めている女性は、減りつつあるといっても少しはいますので、そんなわかりやすいやさしい願いを言ってくれる女の子を探してみてほしいなと思います。好きだけでなく、合っている相手をみつける。それがいちばん大切なことですから。

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酒井冬雪です。好きなタイプって、年齢と共にだんだん変わっていくものですが、気が合うタイプはきっと変わらないのかなぁと思います。好きなタイプに関しては、許容範囲というか、ストライクゾーンが広くなるという説もありますが……。では、またね。