恋愛において、「タイミング」はとても大切な要素です。この「タイミング」を逃してしまったり、なかなかつかめなかったりすると、2人の未来がまったく別のものに変わってしまうことすらあります。

一口に「タイミングがつかめない……」といっても色々なパターンがあります。1つは、どういうわけか、元々タイミングが合わない2人だったという場合。例えば、自分がお風呂で髪を洗っていて、シャンプーの泡まみれのどうしようもないときや、残業中、しかも取引先との大事な打ち合わせ中だというときなど、これはもう絶対に出られない! というタイミングでしか電話をかけてこないという相手。

誰のせいでもないけれど、どうしてもタイミングがかみ合わない場合は、時の流れに身を任せて風向きが変わるのを待つくらいしかできないかもしれません。しかし、どうしても受け身な自分や、遠慮しがちで気を遣いすぎな性格のせいでタイミングを逃してしまっているのでしたら、それは自分で改善できる余地があるというものです。

某薬品メーカーで働くEくん(29才)は、細やかな性格でとても気がきくタイプの男子です。ある時、Eくんは学生時代の友人の紹介で合コンに参加することになりました。合コンなんて参加するのは2回目で、とても緊張していたのですが、幸いなことに趣味が同じでとても気の合うAちゃん(27才)がいたので楽しく時間は過ぎていきました。

とはいうものの、この合コンで男としてのEくんが密かに「いいな」と思った相手は、Aちゃんの友人のBちゃんでした。Bちゃんは控えめで、あまり男性慣れしていない様子で、EくんとAちゃんの近くで2人の会話を聞きながら、時折笑顔を見せたり相づちを打ったりするだけ。特に他の男性と親しくしている様子はありませんでした。

Aちゃんは帰り際、Bちゃんを目の前にしてEくんにこう言いました。

「ねぇ、Bのこと気になってるんでしょ? メルアド交換しちゃいなよ」

焦ったEくんは顔を赤らめてシドロモドロになりましたが、Bちゃんも同じくらい顔を赤くしていたので、恥ずかしさも何とか我慢することができました。Aちゃんのおかげで2人は連絡先を交換し、Eくんはドキドキしながら家に帰りました。

帰りの電車の中で、Eくんは考えました。

今すぐBちゃんに「今日は楽しかった、ありがとう。今度一緒に食事でもどうでしょう」とかメールを送りたい。でも、焦りすぎてBちゃんにプレッシャーを与えはしないだろうか。さっきの今ですぐに連絡を取るなんて、ガッついてる男みたいに思われないだろうか、と。

それに、もしかしたらBちゃんは友人のAちゃんが「連絡先を交換しなよ」と言ったから、自分にメルアドを教えてくれただけで、本当はオレに連絡先を教えるつもりなどサラサラなかったのかもしれない。

そう考えると、ほんの30分~1時間前に別れたBちゃんにメールを送るのはおこがましいというか、迷惑になるだけかもしれない。やはりここはもう少し日をおいて、何気ない感じで連絡したほうがいい。そう思い直しました。

その後、合コンから3日ほど経ってからBちゃんに連絡を取ることにしました。ところが、合コンから3日が経つと、まだ3日しか経っていないのに、いきなりまた会えませんか的なメールをするなんて、あまりにも図々しいんじゃないか。と、心配になってきました。

ここはやはり、1週間くらいしてから「あっ、そういえば前に合コンで会ったよね? 元気? 」ぐらいの感じでメールをしたほうがいいのかもしれない。そんな気がしてきて、1週間後にメールすることに決めたのです。

とはいえ、1週間が経つと今度はメールをするのに勇気を出さなければいけない! と気付き、4日ほど悶々と悩んでからようやくBちゃんに「先日会ったEです。よければ今度食事でも」というような内容のメールを送信。結局、合コンから11日が経過していたのでした。

Bちゃんからは数時間後に返信がきて、次回会う約束を取り付けることができたのですが、そのかわりAちゃんも交えて3人で食事に行くことになったのです。もちろん、気がきいて面倒見のいいAちゃんが一緒の3人での食事は楽しいものでしたが、Bちゃんが化粧室へ行ってしまったときに、Eくんはこんなことを言われてしまいました。

「ねぇ、何なの? 合コンから10日以上も経ってからようやくメールって……。Bはモテるんだからさ、合コンの後、すぐに私のところに連絡先を教えてほしいとか、もう一度会うセッティングしてくれって男の子達から連絡がきたよ」

ガーン。Eくんにとっては、衝撃の事実でした。

「私も、そういうのを無視するわけにもいかないから、Bの耳には入れておいたけど。Bは気にしてたんだからね、Eくんから連絡が来ないんだけどって」。

Eくんは何も言えません。

「Bはね、私に迷惑かけちゃいけないからって、積極的なヤツには自分の連絡先を教えちゃっていいからって言うんだよ。健気だよね。なんでEくんは、間髪入れずすぐに連絡しなかったかな~。なんか、変に気を遣ってそうだよね。そうやってチャンスを逃すタイプだよね」。

ショックで何も言えないEくんなのでした。

このように、気がききすぎて相手にかえって気を遣わせてしまう部分がある人。あれこれ頭の中で考えすぎて動けなくなってしまう人。断られると、後でクヨクヨ悩んでしまうのでこちらから声をかけられない人。

色々なタイプの男性がいるかと思いますが、とりあえず、タイミングは早めにつかんでしまったほうがいいということだけは断言できます。気を遣いすぎる傾向があるなと自覚している人は、気を遣い過ぎなくていいから、ちょっと気遣いをみせるぐらいでとどめるようにして、タイミングだけは逃さないようにしてほしい。当たって砕けるぐらいの気持ちで、断られてしまってもクヨクヨせずに「ま、いいか」と忘れてしまえばいいという気持ちで先手先手で動く。恋愛には、それぐらいの力というか、パワーが必要です。

逆に考えると、恋愛ですべてを女性に仕切られてもいいというのでしたら、受け身で動かずにいてもいいかもしれません。でも、恋愛ではやはり、男からアクションを起こし、自分で選んで、自分で決めたんだ! と実感したいというのであればなおのこと、早めにタイミングをつかむことが大切だと思います。

気がききすぎる自分に気付いている方は、チャンスがきたときには先手を取って、タイミングをつかまえましょう。タイミングを早くつかまえられると、女の子から、〔タイミングがいい→相性がいい→この人といると運がいい〕と思ってもらえるはずです。きっと。

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酒井冬雪です。私も「もう少ししたら」「あとちょっとで」と先延ばしにするタイプです。でも、女だったおかげで受け身でも多少は何とかなってきたところがあるなぁと最近気が付きました。男性は、自分からアクションを起こさなければいけない分、大変ですね。でも、苦労をした分、願いがかなったときの喜びは大きいと思います。がんばってほしいところです。では、またね。