同性の気持ちは手に取るようにわかるし、相手を思いやり気遣って、手助けもできるのに、異性のこととなるとまったくのお手上げ! という人は多いと思います。某コンピューターメーカーで働く知人のSくん(32才男性)は、「自分の場合、気にしぃというか、わりと同僚や後輩たちといった周りをよく見てしまうほうだと思います。後輩が困っていたりすると、何とかフォローしたいし、上司の機嫌が悪い理由やクライアントが今求めていることも、なんとなく予測できると思う。その相手が男なら…ね」と言います。

たしかに、Sくんは非常に繊細でよく気がきいて、周囲に気配りを忘れない、やさしい性格の持ち主です。ある意味、ズボラでぶっきらぼうタイプの女子よりは、余程女の子らしいといってもいいかもしれません。

そんなSくんに、「相手が女性の場合はどうなの? 」と聞いてみると、「女性だと、虫の居所が悪そうだな、いいことがあったみたいだと思っても、そこで『何かあった? 』と聞いたりホメたりできないんですよ。詮索しているように思われても困るし、『プライベートに首をつっこまないで! 』と怒られたくもないし」と言うのです。そんなに深く考えなくても、男同士の要領で気軽に話せばいいんじゃないのと思うのですが、Sくんはこのような見解です。

「女の子って、同じことを言われてもイケメンならOKだけど、そうでないヤツだと冷たくあしらうみたいな、そういうところがありますよね。男同士は、容姿で態度を変えるとか……たまに、そういうヤツもいるかもしれないけど、ほとんどないので」

それでは、男同士だと上手に楽しく付き合えるけど、女の子にはどうしていいかわからない男子は、女の子とどんなふうに付き合っていけばいいのでしょう。この件に関して、Sくんはこんな意見を持っていました。

「ボクの友人で、やっぱり男同士でツルんでばかりいて、ここ数年彼女もいないヤツがいます。彼は、『女の子にはどう思われても、嫌われてもかまわない! 』というような感じ。男同士でいるときもサバサバした裏表のないヤツなんですけど、女の子にも同じように強気なものいいをしてしまったり、自分の意見をキツく言ったりしてしまうんです」。

たしかに、男性だけでなく女性でも、そういうタイプの人はいます。

「女の子にそんな言い方しなくても……とこちらはハラハラするときもあるけど、それでも彼は、女の子にはわりと人気があるんです。怒られたい願望がある女の子とか、キツく言われても『ひど~い』って笑って言い返せるタイプの子とか、けっこうニーズがあるんですよね」。

ニーズはじゅうぶん、あると思います。

「女の子ってけっこう、強気でハッキリした男とか好きですよね。ボクもああいう兄貴キャラだったら、男同士の感覚で何でも思ったことを言えたかもしれないけど、ちょっと自分には似合わないやり方だから、彼のことがうらやましいです」。

お兄さんキャラで、男同士の中ではふだんから強気でズケズケものを言えるタイプの人は、女の子にも同じように接してしまっても大丈夫かもしれません。ただし、ホメるのもふくめて、容姿のことにはふれないのが無難かと思います。

さて、私が思うに、Sくんのようなタイプの人こそ、その気遣いとマメさを女の子にも発揮してあげれば、十二分に女の子とも仲良くできる気がします。「女の子って、気分がコロコロ変わりそうで怖いから、こちらから何かアプローチをするのはむずかしい……」と思うのであれば、女の子に話を合わせてしまえばいいのです。

たとえば、仕事で女の子と外出したり、何人かでランチや飲み会に行く機会があったとします。そんなときは、女の子が「これ、おいしいね」と言ったら、「うん、すごくおいしい」と同調してみる。「今日はけっこう歩いたから疲れた」と言われたら、「オレも足が痛い。帰ったら平目貼りする」と答えてみたり。

相手の意見に「うん」と言ってみると、女の子のほうも、「この人とは意見があった」と思ってくれます。そうすると、話がしやすくなりますし、他にも話題がみつけやすくなったりするかもしれません。女の子のファッションの話や、流行の店の話、ミーハーな話にはどう対処すればいいかわからなかったら、「それって、どこにあるの? 」と質問をしてみたり、「○○○ね、○○○……。よし、今、覚えた」と、知らないことが聞けて勉強になったとアピールしてみたりすればいいのです。

こちら(男の子)から何かを言って反感を買われたら困る……と思うのでしたら、向こうの出方を見て、それに便乗して話を合わせ、流れに身を任せてみるのもいいことかなと思います。男同士、友だち同士でうまく付き合えている人ならば、相手が女の子にかわったとしても、きっと人と上手に付き合えるコツがカラダに染み付いているはずです。あまり「女の子だから」と意識せず、ふだんの自分のままで話をしてみるといいと思います。

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酒井冬雪です。学校や仕事上でかかわりのある女性みんなに好かれたい(嫌われたくない)と思うより、的を絞って「○ちゃんと話が合えばそれでいいや」と考えてみると、気が楽になるかもしれません。では、またね。