夏に恋愛するって、いいなぁと思います。海、キャンプ、バーベキュー、花火大会、夏祭り、テニス、同窓会。目と目が合っただけで、ズキューンとくるふたり。キッス(ズキューンからキッスの間を端折るのは、原稿のボリュームの都合上の問題です。決して、私の想像力の欠如や、もどかしい恋愛のあれこれは省いて先走りしたせいではありません)。

「花火大会っていったって、暑くて汗ダラダラで、人ごみ・ベタつき・においが気になって仕方ないだろう」とか、「紫外線敏感症だ」とか、「水着が似合わない体型だ」とか、「キャンプへ行ってテントなど張ったこともないわ」とか、「テニス? ラケットを握ったことすらないけど」とか、そういったことはどうでもいいんです。ただ「夏」「恋」っていうだけで、「いいなぁ、楽しそうだなぁ」と思ってしまう自分がいる。その気持ちが大切なのです。

しかし、その気持ちが大切とはいえ、実際の自分の行動が、夏の恋から連想されるベタな行動に即しているいるかどうか、はなはだ疑問だったりもします。趣味や嗜好が多様化している現代、100人のうちの大多数が、夏は海に行って、バーベキューをして、花火大会でビールを飲んで、といった行動をしているとは言い難い……かもしれません。

毎年、夏フェスやライブに行っている人もいれば、大恐竜博的な催しに出かける人も。神社仏閣めぐりをする人もいれば、資格のために勉強している人もいて、夏はとんでもなく仕事が忙しい人もいることでしょう。夏の(休日の)過ごし方は、人それぞれなのです。

もちろん、生まれつき人なつっこくて、どんな環境にでも誰にでもすぐに打ち解けてしまうことのできる人は、知らないジャンルや経験したことのない世界へ足を踏み入れても、臆することなく、興味津々で何事にもチャレンジしていけるでしょう。また、冷たい視線や素っ気ない態度、知らないということへの恐怖にも「なるようになるよね」と、あまりクヨクヨせずにいられたりもするはずです。

しかし、ふだんから人見知りで何事も必要以上に気に病んでしまうタイプ、モノゴトには深くのめりこみ、あれもこれもと手を出せないタイプの人が、読者の中にはとても多いのではないかと思います。

そんなタイプの人が手助けしてくれる人なく、いきなり、未知の世界……海水浴やキャンプやテニス等に手を出してしまうと、後々、思い返すたびにつらくなるような記憶をイタズラに増やしてしまう結果になりかねません。「それがわかっているから、夏だからといってウカツに夏イベントに手を出さないんだよ……」と思っている賢い人も多いはずです。

とはいえ、誰にでも「夏の気分」のようなものはあると思います。

いつもならクヨクヨしそうなことも、暑さのせいで忘れやすく(暑すぎて考えてばかりいられなくなる)なりそうですし、なんとなく勢いで何でもできそうな開放的な気持ちなどもあったりしそうなものです。というわけなので、ふだんはやらないようなことにチャレンジしてみるのもいいですし、ふだんやっていることの中から、出会いや女の子と知り合うきっかけをつくってみてもいいのではないかと思います。

いつもは、男友だちと……もしくは一人で出かけているライブに、同じアーティストが好きな女の子と一緒に行ってみる。会場でアーティストの投げるサインやらタオルやら、ボールやらをキャッチできた女の子に、「ごめん、見せてもらってもいい? 」と声をかけて、その後で「よかったね」と言ってあげるなどして知り合いになってみる。

城めぐりに歴史好きな女の子を誘って、ふたりで心ゆくまで、好きな戦国武将について語り合ってみる。同じ資格を取ろうとがんばっている女の子をみつけて、勉強の仕方や参考書の情報を交換してみる。

別に海や花火がなくても、ちょっと開放的な夏の気分に便乗して、気にはなっていたけど話したことのない女の子と話してみることにする。趣味の時間はひとりで行動していたけど、目線を変えて同じ趣味を持つ女の子の友だちをつくってみることにする。

そんなふうに、夏の間に女の子と知り合いになっておくのもいいんじゃないかと思います。そうすると、趣味に関してのうれしい気分や盛り上がった感激の瞬間をわかちあえる女の子友だちができますし、女の子と親しくすることにも慣れてきますし、もしかしたら彼女だってできてしまうかもしれません。

夏のメジャーな土俵で勝負することを考えると気持ちがなえてしまう人は、自分の得意なジャンルで(女の子の)友だちをつくってみることをおすすめします。

「夏の予定? まだ決まってないよ……」という人はぜひ、「趣味や日ごろの生活の中から、気の合う女の子をみつけてみよう」っていうのを予定にしてみてもいいかもしれません。暑いけど、ボーッとしちゃうけど、がんばってみてほしいです。

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酒井冬雪です。昨夜、久しぶりに「どう森」をしたところ、タランチュラとサソリにかまれました。コガネムシすら逃がす私に、どうしろと言うのでしょう。困ります。

さて「理系のための恋愛論」担当さんがかわりました。Iさん、今までありがとう。Hさん、これからよろしくお願いします。読者のみなさま、よい連休をお過ごしください。私は連休中、図書館に入りびたるんだ~。