「なぜ、そうなる?」どんなことにでも疑問を持ち、理由を解き明かそうとする。納得できる理由や根拠がないと、次に進めない。

マジメで賢く、好奇心、探究心が旺盛な男子ほど、そういった傾向が強いような気がします。

いいことです。とってもいいことだと思います。好奇心と探究心、これがないと何もかも前へ進まないかもしれません。

しかし、ごく稀に、場合によっては、この探究心や好奇心が大きな障害になることもあるのです。特に、恋愛という場面においては……。

世の中には、どういうわけか理論や理屈では説明することのできない、理不尽ともいえる事柄が存在しています。

そのひとつが、男子にとっての女の子という存在であるかもしれません。

たとえば、ここに機嫌の悪いひとりの女の子がいたとします。そばに不機嫌な人がいるせいで(その人が彼女であるせいで)、あなたはどうしていいかわからず、とまどいや困惑、怒りを感じることでしょう。

しかし、理由はわかりません。理由や原因を聞いたら、ますます怒ってしまって、口もきいてくれなくなってしまいました。何を言っても、なだめるように話しかけても、彼女は完全にあなたをムシしている状態です。

どんな理由があろうとも人をムシするなんて、子どもじゃあるまいし、一人前の大人の女性がすることか? とマジメで律儀なあなたは驚きます。でも、彼女はぷんぷん怒って、口をきいてくれないのです。

そんなとき、好奇心や探究心はいらないもの……といっても過言ではありません。

「なんで怒ってるの?」
「どうして口をきかないの?」
「納得できないよ。どうしてそういうことするのかな?」

あなたがそんなふうに言えば言うほど、彼女は不機嫌に口をギュッと結んでしまうのです。

納得できません。理不尽です。しかし、こういうときの正解は、

  1. カフェに入って、甘いもの(ケーキやチョコレート)とお茶を飲み食べさせる。
  2. イスに座る。車のシートに座らせて昼寝させる。

が、正解です。不機嫌な理由や怒って口をきかない理由は、たしかに彼女の心の中にあるのかもしれません。

ですが、理由を問いただす前の応急処置として、食べるか休憩させるかする。これだけで、たいていの女の子は、女の子自身、自分がびっくりするほど、心が落ち着くというか、気分がよくなったりするのです。

すると、彼女もどうして不機嫌になっていたのか、怒っていたのか、その理由を落ち着いて話してくれることでしょう。

このように、人(特に女の子)というものを相手にするときは、すべてが納得できる理由や理屈でどうこうできるわけではないのです。もちろん、そんなふうに不機嫌になったり、ふてくされたりする女の子だって、自分が理不尽なことや八つ当たりしていることに気付いていないわけではありません。

自分でもどうしようもないな、どうしてこんなふうにしてしまうんだろう……という理由をつきつめて考えていくと、心の奥底にしまってあるますます不機嫌になりそうな原因(たとえば、シットやワガママ、ストレス)にいきあたったりして、余計に機嫌が悪くなってしまうという……。

ただ、女の子はどうしても、恋人にはワガママを言ってしまいがちです。甘えて、理不尽な態度を取ってしまいがちです。

そんな女の子に対して、納得のいく理由や説明を求めても、それは、

「空気読めない」「やさしくない」「今はそういう話をしてるわけじゃない」

と返されてしまうだけなのです。

こんなときは、心の中でどんなに(理不尽だ)(納得できない)(理由が知りたい)と思っても、黙って「うんうん」とうなずいて、受け流すのがいちばんなのです。

どうしてそうしなければいけないのか理解できなくても、スルーするべきとき……というものが、人間関係においては存在しているのです。

これは、女の子との関係、恋愛の間だけで起きることではありません。

学校や会社、友人や先生、上司や同僚、先輩後輩、クライアントの担当者、人と人のかかわるところには、どうしてもなぜだか理屈では理解できない、フシギな事柄や納得できない、原因を特定できない感情が行き交ってしまいます。

「なぜ?」「どうして?」と思いつめても、答えを知る機会はなかなか得られないものです。なぜなら、そこには、自分だけでなく、相手の感情もからんでおり、相手の気持ちは、あなたが推測することはできても、心の奥底の見る、本音を探るわけにはいかないからです。

もちろん、相手の気持ちを理解しようとすること、納得のいく説明をしてもらうことはできないことではありません。

けれど、もし、それが自分の思うようにできなかったとき、何だかうまくごまかされてしまったときは、クヨクヨ悩まずに、スルーできるところは受け流して、時には忘れてあげることも大切です。

これからの新しい出会い、新しくはじまる人間関係で、うまくいかないときがあったら、気にしないこと、理由や納得できる説明ばかりを求めないことを意識してやってみてもいいかもしれません。

だって、相手はあなたと同じように、理由や理屈で納得できないと満足できないわけではないかもしれないから。

マジメで律儀で、いつも理由や説明を知りたくて、人間関係で納得できないことが多い気がしている…そんな人ほど、意識的に「忘れたり」「気にしなかったり」しない力を身につけてもいいんじゃないかなと思います。

くれぐれも、人間関係や恋愛関係が苦痛や重荷にならないように、気楽にのんびりかまえてみてほしいです。

*  *  *

酒井冬雪です。新入学、新入社のみなさん、おめでとうございます。新しい生活のスタート、元気に楽しく、ムリしすぎない程度にがんばってほしいです。では、またね。