先日、知人のRくん(職業SE、30才)が自分の初恋の話をしてくれました。

「小学校1年のとき、同じクラスの女の子を好きになりました。思えば、それが初恋だった」

恋をするまで、彼はどうしても指しゃぶりのクセをやめられず、親御さんも困っていたそうです。

「幼稚園でも『小学校に上がるまでになおさないと』と注意され、親も学校で指しゃぶりしないで! とすごく怒ってたんですけど、自分的にはまったく恥ずかしいという自覚もなく、気にもしていなかったので、授業中も親指をくわえてたんです」

ところが、席替えでとなりになった女の子の顔を見ると、そのかわいらしさに驚き、胸がドキドキ……。緊張して、いつものクセで指しゃぶりをすると、そのかわいい女の子が真っ赤な顔をしてためらいがちに、

「……まだ、指しゃぶりしてるの?」

と彼に聞いてきたのでした。そう言われて、今度は彼の顔が真っ赤になりました。

「生まれて初めて『恥ずかしいっ!!!』と思いました。その日から、スッパリ指しゃぶりはやめることができたんですけど。初めて、かわいい、好き、と思った女の子から自分の恥ずかしいクセを指摘されて、悔しいやら困るやらで、それから彼女にイジワルをはじめてしまいました」

勉強のデキる子、特に算数が得意だった彼からみると、彼女はちょっと計算が苦手なタイプだったようで、ついつい、

「そんなカンタンな問題なのに、まだやってるの?」

とか、

「バーカ、バーカ」

とか言ってみるという、ベタな感じのイジワルです。

「彼女は、指しゃぶりのことを自分に指摘するときも、すごく遠慮がちにやさしく気を遣う言い方をしてくれたから、それがムカツイたっていうことはなかったんですけど。でも、今にして思えば、好きという気持ちがバレないためにはイジワルをするしかない! と思ってたんですよ、きっと」

と、彼は言います。すると、彼女はとうとう学校に来なくなってしまいました。そして、3日後、Rくんの家に担任の先生から電話がかかってきたのだそうです。

「ボクが彼女をいじめているから、彼女は学校に来なくなってしまった、ということで、親も学校に呼ばれました。彼女にあやまるための反省作文を原稿用紙に2枚書かされて……、けっきょく初恋の相手にいじめっこと思われて、ボクの恋は終わったんです」

と、彼は言うのでした。


このように、好きな女の子にはついついイジワルをしてしまう……というのは、男性の特徴ともいえます。そう、男の子のときだけでなく、大人になってからも、好きな女の子にはイジワルをしたり、やけにキツい態度を取ったり、必要以上に厳しく接する男子が後を絶たないような気がします。

女性の場合は、ほとんどの人が、好きな男子にはわかりやすいくらいにコビたり、やさしくしたりするのに。もちろん、やさしくしたり、感じのいい態度を取ったからといって恋愛がうまくいくとは限りませんが、イジワルをするよりは成功率も高まりそうな気がします。

というか、好きな人にイジワルをしているとうまくいく、いかない以前に、大好きな当の本人から、

「あの人、イジワル。苦手かも……」と思われてしまうと問題があるような。

それと比べると、周りから(ああ、気持ちがバレバレ)と思われても、(あそこまでロコツでなくても)と、見ているほうが照れてしまっても、大好きな人にはやさしく、かわいいところを見せようとする、そういうほうが感じがいい、と思わずにいられません。

女性は、男性からイジワルをされて、それが好意からきているものだ……とは、なかなか気がつかないものです。ときどき、気がつく女の子もいますが、その人は恋愛経験豊富なモテるタイプの女性だといえます。

たいていの女の子は、男性からイジワルをされると「私は彼に嫌われている」と思ってしまうものなのです。

男性同士でしたら、女性に冷たく当たっていても「ああ、アイツは○○さんのことけっこう気になっているんだな」と理解してもらえるかもしれませんが、そういった好意は女性には通用しないのです。

ですから、やっぱり……好きな女の子、気になる女の子には、やさしい態度を取ってあげてほしいです。

自分の気持ちが周囲にバレるのは困る、というときは、自分が気になる彼女にも、職場にいるおばさま達と同じ態度で接しているかどうか? そのあたりを気にかけておくと、誰もあなたの彼女への好意には、気がつかないはず……だと思います。たぶん、きっと。


酒井冬雪です。私は好きな男性を前にすると、より早口になるタイプです。若い頃、自分の好意は同性同士……女の子の友だちにはバレなかったけれど、男性にはすぐにバレていました。カンのいい人を好きになってしまう……そんな自分に気づいたのはつい最近です。では、またね。