これは、私の勝手な想像にすぎませんが、このコラムの読者は、たいていの方が人見知りをしてしまうタイプ……であるような気がします。というか、人見知りで、女の子にうまいこと言えない男性向けに、私はこのコラムを書いている部分がある、ともいえます。

では自分はどうなのか? といえば、私は人見知りであまり社交的ではなく、どちらかというと内向的な性格の持ち主です。私と会ったことのある人には、なかなか信じてもらえませんが、本当に人見知りです。初対面の人と会ったりすると、とても緊張してしまいます。家に帰ると、緊張から解放されるのか、おはしを持つ手がブルブル震えて、食事がちゃんとできなくなったりすることもあるくらいです。

ですから、会社勤めもせずに、ひとりで家にこもって仕事をしているわけです。……幸せです。人と会うのがキライなのか? と聞かれると、決してそういうわけではないと思います。ただ、人と打ち解けるのにものすごく時間がかかってしまうので、出会いから親しくなるまでの時間、スタートがとてもつらいのかもしれません。

とまあ、今ではこんなふうに開き直って、「人見知りだから」と言っていますが、若い頃は、それが常に悩みのタネでもありました。ある意味では、いまだに悩みのタネでもあるのですが、悩みをウイークポイントと捉えていると、それを隠そうとしたりごまかそうとしたりする必要が生じて……ムリな行動やイタイ発言をしてしまうハメに陥るわけです。

現在、会社で働いている人や、学校に通っている人は、新入生や新入社員がきて、後輩や部下ができ、新しく人間関係を築く局面に立っているかもしれません。

そんなとき、どのように彼や彼女と接していいのか? 人見知りな人ほど困ってしまうものだと思います。

社交的で、面倒見のいい兄貴タイプという性格でもないのに、

(ここはやはり、後輩を引っ張っていくお兄さんの役割をしないといけないのか?)とか(後輩に気を遣わせてはいけないから、こちらから積極的に話しかけないといけない)とか、人見知りだけどマジメな人ほど、あれこれ考えてしまうはずです。特に、自分と少し離れた世代の女性、これまであまりしゃべったことのないジャンルに属している年下の女の子には、いったいどうやって接していけばいいか? 困惑してしまう人は多いのではないかと思います。

女性の場合は、人見知りで内向的なせいで黙っていたとしても、時と場合によっては、(おとなしくて、控えめな人だ)と美徳に思ってもらえるかもしれない部分があります。ですから、私などはすっかり開き直って、初対面の男性と会ったときは、ひたすら聞き役にまわり、こちらはあまり話をせず、黙ってやりすごそうとして、

「こっちも話を盛り上げようと努力してるんですから、もう少し、会話に参加してください!」

と注意されたことが何度かあります。しかし、初対面の女性にこのような指摘ができる人は、たぶんとても社交的でそういうことを言ってもゆるされるキャラだと自覚もしている奇特な男性です。フツウは、なかなかそんなふうに女性に言うことはできないものです。話を元に戻しますと、男性は女性のように黙っていればこの場をやりすごせるだろう……という状況は少ないようです。

特にビジネスの場面や、仕事上の人間関係においては、いつも黙っているおかげで、

(あの人は、おとなしくて控えめで好ましい人だ)と思ってもらえるなんてことは、ほとんどないはずです。

自分の意見や考え、取り組み方をわかりやすく冷静に人々に話し、なおかつ、状況がよくわかっていない後輩を導いていかなければならない……そんな局面に立たされる機会がとても多いと思います。

そして、仕事の話ならまだスムーズにできるんだけれど、移動の合い間だとかランチタイムだとか、仕事ともプライベートともいいがたい時間帯に、後輩の女性とどんな会話をすればいいか困ってしまう、という男性もとても多いような気がします。

黙っていても、それが心地よい関係というのもありますが、いつでもそんなふうに気の合う異性と出会えるとは限りません。女の子の中には、緊張すればするほど、何かしらしゃべっていないと不安になる。まだ親しくないからこそ、沈黙が心配のタネになってしまうという女の子は意外と多いものです。

そこで、後輩の女性のほうから、とりとめのないことを絶え間なく話しかけてくるものの、自分としてはその話にはまったく乗ることができず、次第に彼女の心配からくる緊張がこちらにもうつってしまい、ぎこちない会話と合い間にどうしようもない沈黙がやってきて、どうにも気まずくなってしまう。そんな経験をする男性は後を絶たないはずです。

それでは、どうすればムリなくなるべく自然に、先輩男子である自分が後輩女性との会話の主導権を握れるのかというと、まず、こちらから向こうに質問をするという方法があると思います。

「学生時代は、何を専攻していたの?」
「サークルには入ってた?」
「アルバイトしてた? 何のアルバイト?」「就職活動きつかった?」

というように、彼女が最近までしていただろう事柄について、質問をしてみるといいと思います。その中で、たとえば、同じようなアルバイトをしていたなど、自分と共通項があればそのことをあれこれ話し合う中で、お互いの緊張もほぐれてくるはずです。

ただ、あまり親しくない女の子に、

「家族は? 親御さんは何をしているの?」と、あまりプライベートな質問をつづけると、尋問のようになってしまうので、気をつけましょう。

まずは、彼女本人だけのこと、聞いても尋問にはならない類のことを、会話のきっかけとして聞いてみるといいと思います。なかには、男性に質問をされると、

「○○さんは、何かアルバイトとかしてました?」

と質問返しをして、自分のことは極力話さない女性もいますが、そういうときは、

(そうか、この子も人見知りで警戒心が強いんだな)と気づいてあげて、彼女の質問に答えて自分の話をしてあげるといいかもしれません。

女性は賢いので、男性が人見知りでシャイだったりすると、すぐにそのことに気づいてくれます。シャイな男性に、話し上手であることを求めたりはしませんので、あまり気にせず、ありのままの……シャイでかわいい自分で新人さんと接してほしいです。


酒井冬雪です。私はどちらかというと、口がうまくて社交的な男子より、無口でシャイな男子が好きです。ただ、無口でシャイな男性は、口がうまくて社交的な男子の友だちを持つと、何かと助かると思います。私は、あまりに非社交的なので、とんでもなく社交的な人にしかしゃべりかけてもらえず、必然的に、友人はとても社交的な人ばかり……という状況になっています。ありがたいことです。では、またね。