男の人は、あまり男同士で悩みを相談しあったり、グチを言い合ったりしないようです。悩みがあると、自分自身と対話し、問題に向かっていく。もしくは、運動で思いっきりカラダを動かしたり、がむしゃらに仕事に集中して後ろを振り返らないようにする。そんなふうに、悩みを解決する男性はとても多いかと思います。

もちろん、女性もスポーツでストレス解消だとか、仕事にのめりこんで悩みを忘れる(忘れるわけではないけれど、何かを一生懸命やっていると自分に自信が持てるようになるので、必然的に悩みも軽くなったりする)ことはあります。

しかし、女性にはそれ以外にも「女同士でおしゃべりをしてストレスを発散させる」という問題解決方法があります。

女同士は、幼少のころから、

「○○ちゃんに、こんなこと言われちゃった……」
「えー、ひどいね。かわいそう。でも、みんなにそういうこと言ってるみたいだから、気にしないほうがいいよ」
「そうなの? うん、気にしないようにするね」

と、何でも話し合うことで、悩みをスッキリさせてきたという歴史があるのです。

ところが、男性であるみなさんは、誰かから相談をされたり、悩みを打ち明けられたりした経験が少ないことが多いようです。中には、やたらと秘密を打ち明けられたり、悩みを相談されたりする男子もまれにいるようですが、そういう方は少数派かと思います。

ですので、彼女や親しい女の子から悩みを相談されると、

(そうか、オレのことをそんなに信用してくれていたんだ……。これはぜひ、いいところを見せないといけない。彼女がもっともだと思うような、気の利いたことを言わないと)

とやたらと気合いが入ってしまう男性はとても多い。で、

「△△ちゃんの立場からしか話を聞いていないから何とも言えないけど、そういうときは間違ってるって相手にハッキリ伝えるべきじゃないかな」とか、

「□□さんの意見も、論理が飛躍しすぎという気がするし、お互い感情的にならず、冷静に話し合ったほうがいいんじゃないの」とか、もっともな意見を言う男性は後を絶たない のです。

ところが、彼(自分)としては、公平で論理的で、的確なアドヴァイスをしたつもりなのに、相談を持ちかけてきた女の子のほうは……すっかり機嫌が悪くなってしまい、

「そういう話をしてるわけじゃないし……」
「私の気持ちをぜんぜんわかってくれない」とか、もっとひどいと、
「冷たい」「意地悪」とまで言われてしまうわけです。

これはいったいどうしたワケなのか? 説明してみようと思います。女性には、話をしながら自分のアタマの中を整理していけるという特殊能力があります。

ですから、女友だちや時には彼氏とか親しい男性に、悩みや相談、グチを言いながら、起こった出来事と問題点を整理し、その問題の解決策や対処方法をつかんでいけるのです。女の子は、そのことをよく理解しているので、女友だちから悩みを相談されたときは、

「えー、かわいそう。タイヘンだったでしょう」
「わかる、わかる。その気持ち、私もそういう経験あるから」
「ひどいね。キズついちゃうよね。大丈夫だよ、わかってくれる人はいっぱいいるから」 というように、相手に同情し、共感している相づちを打つわけです。

悩みを相談されたら、基本は相づちと共感。相談相手から「強く」求められない限りは、その問題に関しての自分の意見やアドヴァイスを言うことはほとんどないのです。

的確なアドヴァイスができそうにないときは、これは黙っておいたほうがいいなというときは、

「どうすればいいんだろうね。何も言ってあげられなくてごめんね」
「うまく何か言えないけど、私は絶対に○○ちゃんの味方だから」
「○○ちゃんは間違っていないと思う。自分の信じた道を進んでいったほうがいいよ」

と言います。これだけでも、相談をした相手はじゅうぶんに安心できたりするものなのです。

なぜなら、先ほども言ったとおり、女性には誰かに話をすることでアタマを整理していけるという特殊能力があるわけで……話をした! というだけで、問題や悩みの半分くらいは解決していることが多いから。

というわけですので、新入学、新入社の季節ですが、女性の後輩ちゃんや新人さんから悩みを相談されたときは、聞き上手になり、ひたすら相手を肯定する……という姿勢を貫いてあげてほしいと思います。

「公平に考えて」とか「相手の立場になってみると」とか、そういうことはひとまずワキに置いて、ただひたすらに相談をしてきた女の子の側についてあげる。

公平で、論理的なあなたからすると、ちょっと納得いかない部分もあるかもしれませんが、ぜひぜひただひたすらに彼女の味方になってあげてみてほしいと思います。


酒井冬雪です。電車に乗ると、リクルートスーツの新人さんの姿をあちこちで見かけます。私も、仕事をはじめたばかりの初々しかった気持ちを思い出し……、もう少しがんばろうかなと……。では、またね。