【コラム】

理系のための恋愛論

272 どうして"そんな昔の話"を持ち出すの?

    酒井冬雪  [2008/02/15]

    女性とケンカをすると、

    (いや、これはケンカじゃないよ。一方的に彼女がワケのわからないことを言っているだけじゃないか。それにしても、そもそものケンカの原因は今日観に行った映画の選び方が気に入らないって話だったはずなのに、彼女はどうして今、2カ月前の晩メシの話をしているのだろうか……)

    (どうして女の子は、ケンカをすると半年前、1年前のこちらが忘れていたようなことまで持ち出してくるのだろうか。しかも、そうすることによって、自分の怒りが倍増してしまうことに気づかないのか?)

    と、困惑したり、やりきれない怒りを感じたりしてしまう男性は多いと思います。

    ええ、私も一応女性なので、そんな女の子の気持ちはとてもよくわかります。

    なんでしょう、女性って、彼氏や好きな男子のこととなると、記憶力がどんどんよくなっていってしまうのです。

    それで「あのとき、こんなことを言った」「以前言ったあの言葉にはどんな意味があったのかしら」と、彼を想うときに、ついでにあれこれ悩んだりもしてしまうわけです。もちろん、時間の経過とともに、考えているうちに、記憶に誤りが生じてしまうこともあります。私も最近、年のせいか記憶違いが起こるようになってきたわ……と思うようになってきました。

    ところが、女性の中にはツワモノがいて、彼が言った気になるひと言。今日、彼とどこで何を食べた……彼とどんなことをした、ということを、手帳や日記やPC入力で書き留めている人もいるのです。

    「えー、そんなことまでしてるの!」

    と驚いてしまいますが、「書き残しておく」女性の割り合いは、意外と多いのです。私の周囲にも、3名ほど、かなり詳細に彼とどこへ行って何をして、彼からこんなことを言われて……と手帳や何かに書いている女性がおりますが、そんな彼女たちは、

    「彼とのあれこれを、いつも手帳に書き留めてるんだぁ」

    と自分から私に教えてくれた人たちです。で、ということは……思うに、女友だちにも話さず、密かに彼との○○を書き留めている人もいるはず。もしかしたら、女性のうち2割くらいがこういったことをしているかもしれません。

    そんな女の子が彼女だったら、

    「あなたは半年前、いっしょに水族館へ行ったとき、帰りの車の中で私にこんなことを言いました!」

    と言われて、

    「いや、それは勘違いっていうか、記憶違いじゃない?」

    と反論しても、向こうにはけっこう有効な証拠があったりするという……ちょっと怖い状況に置かれてしまうこともあるわけです。

    このように、女の子というものは記憶力や筆力を駆使して、大好きな彼の情報を蓄積していますから、ふとしたことでケンカになると、今、ケンカしている事柄以外にも、

    (以前、これと似たようなことでケンカしたケースが3例ある。また、それに類似した事柄で、彼の性格的に起こりうるケンカの原因も2例あったはず)

    とデータ検索して前例をピックアップするわけです。

    そうすることによって、より「私はあなたのそういうところに困っている」ということを強調したいわけです。

    「以前もこういうことがあった。あのときも、あなたは私の話を聞き流しただけだから、また同じようなことが起きたのだ。だから、また同じことで、私はあなたに言いたくないことを何度も言わされるハメになって、本当にいやなのよ」

    という話をすることで、より説得力がますただろうと予想し、前例を持ち出しているのです。

    ところが、男性のほうは、

    「その話は、前にあやまって許してくれたんじゃなかったのか」
    「今の話とは関係ないことを持ち出す必要はないだろう」

    と、余計にカッカしてしまうことが多いようです。

    すると、女子も「んまあ、スナオにごめんねと言うならまだしも、自分が悪いのに開き直って逆ギレしたわね~」とカッカしてしまい、またさらにデータを検索して、彼を責められる情報、以前はガマンして黙っておいたけれど、いつか言わなくちゃと思って取っておいた「怒り」ネタ(こういう秘密兵器もわざわざ取ってあったりするんです)まで引き出しから出してきてしまうという。きっとこうして、恋人同士のケンカは悪循環に陥っていくのだと思います。

    男性としては、そういうケンカの仕方はやめてほしいなと考えるかもしれませんが、女性にはきっとやめられないし、やめるつもりもないことと思われます。実際、私なぞは、「えっ。だって私、間違ってないもん」と思っていたりします。

    また、周囲の男性、友人・知人・仕事相手などを見ていて思うのですが、些細なことから大事なことまで、自分の言ったことを覚えていないらしい人があまりに多い。

    どんなに賢くて、性格がよくて、やさしい人でも、

    (へええ、この話は前にも言っていたのに、すっかり忘れているんだ)
    (えっ、これはあなたから聞いた話なのに「そんなこと言ってないよ」だって。自分で言って忘れてるんだ)と驚かされることは何度もあります。

    もちろん、男性でも人の言動をよく記憶している細やかな方はいますが、全体的に、本当に自分で言ったこと忘れちゃってるみたい(自分に都合の悪いことは)……という人は多いような気がします。

    恋人同士のケンカ法の違いを乗り越え、解決するのはなかなかむずかしいかもしれませんが、とりあえず男性も女性も、

    「女の子というものは、イロイロなことをよく記憶し(書き残し)、覚えていて、その情報を引き出して、ケンカするときに有効的に使ってくるものだ」

    「男性というものは、小さなことや自分にとって都合のよくないことは、どうやらキレイさっぱり忘れたりもできるらしい」

    ということを理解はできなくても認識しておくと、ケンカの規模を最小限に食い止めたり、心のキズの被害を拡大させずに済んだりするのではないかと思います。

    とりあえず、女の子に怒られたら、

    「ごめんね、そんなつもりはなかったんだけど」
    「かわいそうに、つらかったね、ごめんね」

    と、ひたすらあやまりつづけ、怒りがおさまるまで、台風が通りすぎるのを待つような気持ちで……切り抜けてほしいものです。苦しいとは思いますが、がんばってみてほしいです。


    酒井冬雪です。ここ数年、私は黒髪です。ショートカットで黒髪……非常に楽チンです。ところが、近ごろ無性に茶髪にしたくなってきました。どんな色にしようかなと考えるだけで楽しいので、まだ実行には移していません。こうして書いていると、書いただけで満足で、実行には移さないかもしれないという気もしてきました。では、またね。

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