友だちの紹介や合コンなどで、気になる女の子、いいなぁと思う女性と知り合うことができたけれど、次に会う機会をつくる、そのセッティングをするのは非常にむずかしい……という経験をした男性はとても多いと思います。そんなとき、女の子には奥手そうな……さほど恋愛経験を積んでいない男友だちに、

「どうすればいいかな?」と相談すると、たいていは、

「今こそ積極的になるべきだ」とか「とりあえずメールで連絡取ってみろよ」的なアドヴァイスをしてくると思います。

というわけで「そうだな、連絡してみるか……」とメールを送ったり、電話をしてみたりする男性は多いことでしょう。自分自身だって「彼女と連絡を取りたい。今ががんばる時なんじゃないか」と思っていたわけで、そこに友人が背中を押してくれたら、誰だってたいていは勇気を出して前に進もうとするはずです。

それが悪いとは言いません。男の子が積極的になってくれないと、女の子にも幸せ(トキメキとかドキドキとか……)がやってこなかったりしますから。でも、ちょっと待って。行くぞ! といっちゃう前に考えてみてほしいのです。

(自分はそもそも、マメにメールや電話をするタイプだろうか? 特に女性に……)

ということを。


某地方銀行で働くEちゃん(26才)は会社の友人にTくん(自動車メーカーの研究所勤務、28才)を紹介してもらいました。

Eちゃんから見たTくんの印象は、

(背も高いしカッコいいけど、いまいち性格がつかめない人だな)というもの。冷静沈着で、表情があまり変わらないTくんを冷たい人なのか、それとも感情をあまり表に出さないけど、やさしい人なのか、判断しかねていました。

今後はどうしよう……と迷うEちゃんでしたが、Tくんからは早速、

「昨日はありがとうございました。よかったらまた飲みにでも付き合ってください」という誘いのメールが届きました。

「どうしよう?」と友人に相談すると、

「迷っているなら、また会ってみてどんな人か見極めてみたら?」ともっともな意見を言われ、EちゃんはTくんに返事を出しました。

「こちらこそ、先日は楽しい時間をありがとうございました。お時間があるときに、声をかけてください」

すると、Tくんからは、

「魚のおいしい店をみつけたんですけど、来週の金曜日の夜はお時間がありますか? 都合がつかないようでしたら再来週以降で、時間のあるときでも……」

すぐに返事がきたのです。

Eちゃんが「金曜日は大丈夫です」と返信すると、またまたすぐに「それではお店を予約しておきます。待ち合わせ場所なんですが……」と、メールが届きました。

その後も、金曜日がくるまで、毎日のようにTくんから「仕事が忙しいけど、がんばってやっつけます」とか「寒い日がつづいてますから、風邪など引かないように気をつけてください」とか、やさしいメールが届きました。Eちゃんは、彼のメールにきちんと返信をし、

(冷たい人かと思ってたけど、女の人に気を遣ってくれるやさしい人なんだな)と、Tくんに好感を抱きはじめていたのでした。

……そういうわけで、無事に付き合い始めたふたりでしたが、Eちゃんは最近「?」と疑問に思うことがあります。それは、Tくんがまったくメールをくれなくなってしまったこと。それどころか、Eちゃんが送ったメールに対しても、ほとんど返事もくれません。また、電話をかけると、とても困ったような声でボソボソと返事をするだけですぐに会話を終わらせてしまいます。聞けば、

「電話が苦手なんだ……」というので、

「それじゃ、メールに返事をくれる?」

とEちゃんがお願いすると、

「……わかった」

と返事はしてくれたものの、やはり以前のようにマメにメールをくれたりしないのです。 Eちゃんが、

「前はよくメールをくれたのに、今では会う約束をするのに『わかった』って返事をくれるだけだね」

と文句を言うと、

「うーん、もともとメールにそんなにマメなほうでもないんだよ」

と困った顔で返事をするTくんなのでした。

会えばやさしくないわけではないし、彼女のことを好きという気持ちは伝わってくるのですが、やっぱり出会ったばかりのころのように、こちらを気遣うメールをひんぱんに送ってきてくれるとうれしいな、とひとりタメ息をつくEちゃんなのでした。


男の子の立場になってみましょう。女の子がデートに来てくれるか? 来てくれないのか? それがわからない不安定な状態のときは、必死な思いでマメに連絡を取り、やさしく彼女を気遣うことでしょう。

けれど「彼女はオレのところに来てくれる」ということがわかると、徐々にフダンの自分に戻り、マメでなくなったり、無精をしたりしてしまう。

しかし、女の子は、メールの返信のスピードや頻度、会う日数や時間の長さ、デートの回数など、いろいろな角度から「彼の私への愛情」をはかろうとします。

だから、以前はひんぱんにメールをくれた彼が、あまりメールをくれなくなった……ということは、彼の愛情が減ったのではないか? もう、以前のように私を好きではなくなったのではないか? というふうに考えてしまうのです。

そこで、恋愛のスタート地点に立ち戻ってみます。もともと、マメな性格ではないのに、最初だけマメに女の子に連絡を取ったりするのは「アリ」なのか……。と、考えたとき、やっぱり本来の自分で勝負してほうがいいんじゃないかなと私は思います。

もちろん、連絡を取ってみないことには、恋愛ははじまりません。けれど、ふだん慣れないこと、いつまでもできるとは思えないことをムリにして、あとで「前はやさしかったのに」と言われてしまったら、けっきょく困るのは自分です。メールにマメでなかったら、電話が苦手だったら、

「ごめん、あんまりマメじゃないんだ」「電話って緊張しちゃうんだよ」と、不器用な男の子っぽいところをアピールしておいたほうが得策だと思うのです。そう言っておけば、そんな彼が私にはけっこうちゃんとメールをくれる、私には電話してくれる……とちょっとのことでもヨロコんでもらえるかもしれません。自分に正直になることで、後々かえって楽になることもあるというわけです。

そうすると、付き合ってしばらくしてから「釣った魚にエサはやらないってわけね」「最近やさしくない」と、彼女から責められる機会も減るような気がします……たぶん。


酒井冬雪です。寒い日がつづいています。「やっぱり、冬はこれくらい寒くないと」と思います。寒いの……やっぱりけっこう好きです。今のうちに冬を満喫することにします。では、またね。