男の人ってやさしいなぁ……と最近、つくづく思うようになりました。いえ、別に私自身がイロイロな殿方からやさしくされているというわけではありません。男同士の付き合い方や友だち関係などをハタから見ていると、「ああ、男の子ってやさしいわね」と思うのです。

だからといって、女の子がやさしくなくて怖いとか、意地が悪いというわけではありません。女の子の場合は、人それぞれ、グループそれぞれにカラーがあり、"そこから外れるのは「ダメ」という基準"を判断する目があちこちに鋭く配置されているという感じ。

そう、女性は友人関係での間違いを「キズつけられた」「裏切られた」と感じてしまうため、自分の身を守ろうという気持ちが働いて、どうしても相手を見る目が鋭くなってしまう……ともいえます。

というわけで、女性と男性が友だちであれ、仕事の付き合いであれ、恋人未満の状態であれ、知り合ってお互いを知ろうとするときに、女性が男性を見る目はあまりに厳しすぎるのではないか? と思わずにはいられない男子は多いはずです。

たとえば、某製菓メーカーで働く知人のMちゃん(28才)は、同じ部署の先輩Tくん(32才)のことを、

「この間、私服で出社したときに、Tシャツとジーンズの間から、プニッとした横腹の肉がはみだしていた」とか、

「あごにひげのそり残しが1本あった」とか、いちいち周囲の女の子に話しています。そして、

「絶対、ありえない」

とひとりで怒っているのです。MちゃんはTくんと親しいのですが、それにしても……彼氏でもない男性のことをよくまあ見ているものです。

また、某鉄鋼メーカーに勤務する知人のHちゃん(31才、独身)は最近、友人から年上の男性(33才、ゼネコン勤務)を紹介してもらったそうです。Hちゃんは言います。

「設計の仕事をしててね、とてもおしゃれでいい人なんだけど、スーツとくつ下の配色がどうも納得できないんだよね」
「この間、雨の日に会ったんだけど、あのセンスのいいスーツに、ビニール傘はないと思うのよ。それに、腕時計がまたビックリで、趣味がよくわからないんだよね」
「耳の横にかかっている髪の毛の長さと、しゃべる前に『あっ』って絶対言うクセが気になってきた」
「デートしてて、10時を過ぎると必ず誰かから電話がかかってくるんだけど、それが彼のお母さんだと知ったときはドン引きした」

次から次へと、気になる点が出てきて、けっきょくお付き合いするには至らなかったようです。

これが……男同士だったらどうだったでしょう。もちろん、男性の中にも女性のように繊細で、非常に空気が読めて、細かいことも気になる方もいらっしゃると思います。

しかし、たいていの心やさしい男性は、

「ひげのそり残しくらいいいじゃないか」
「ビニール傘の何がいけないんだ?」
「オフクロから電話くらいくるだろう」それに、こう言っちゃなんだけど、
「だいたい女の子だって、腹肉がプニッとしているのではないか……」

そんなの大したことではない、と受け流してしまうはずです。

しかし、女の子はそういった些細なことをどうしても見逃せず、そのうち「そういえば、ここも」「こんなところも気になってきた」と、わざわざ気になるポイントを探し始めてしまう→その結果、あの人とは合わないわ……ということなってしまう。

これは男性に対してだけでなく、女の子同士の付き合いにおいても言えるかもしれません。だからこそ、自分とカラーが合う人を見つけ出して、仲良しグループをつくるのが得意ともいえます。

女性は、このように日ごろから女同士の細かいチェックにさらされて鍛えられていますので、どうしても男性を見極める目も鋭く厳しくなってしまいがちです。

その点、男性は、友人や仲間同士の外見上の問題(ピョンと飛び出た髪の毛の寝ぐせや、くつ下の穴や、ヘンな色のスーツなど)、それから付き合い上の間違いに関して、わりと寛大ですし「しょーがないな」と、すぐにゆるしてあげるやさしさがあるようにみえます。こういう点で、男性って、本当にやさしくて、心が広いなぁと思うのです。

ただ、男同士の付き合いでの「ものさし」を女の子との付き合いにそのまま持ち込むのは、あまりよくないかも……と思わずにいられない私です。

男同士のものさしで「これくらいはOKだろう」ということも、女の子には通用しないこともあるものです。たとえば、男性が初めてのデートのときに、うっかり、穴のあいたくつ下でお座敷のお店に行ってしまったとします(そんなことあるはずないと思うけど、本当にこういう人がいた)。すると、たいていの女の子は、

(ひどい……、私は今日のために、ワンピースも下着も、クツも買って、気合い入れてきたのに。彼ったら、デートなんてどうでもいいぐらいの気持ちだったんだわ)

とショックを受けてしまったりするのです。 男同士のように「ハハハ」と笑い話にしてゆるしてくれるだろう……というわけには、なかなかいかなかったりします。

というわけですので、気になる女の子と会うときは、まずは身だしなみだけでも、どこかにスキがないか? 念入りにチェックしてみてほしいと思います。がんばってる! という姿勢は必ず女の子に伝わりますので、がんばっていれば、もしどこかに抜けていたポイントがあってもゆるしてもらえるはずですので……。

あちこちに気を配るのはたいへんかと思いますが、男女の違いのひとつということで、アタマの片隅で覚えていただけるとうれしいです。


こんにちは、酒井冬雪です。私は……たぶん、穴のあいたくつ下も、ひげのそり残しも、ヘンな色のネクタイも「かわいい」と思ってしまうかも。ただ、人の悪口を言う男性と満員電車で平気で座っちゃうような健康な男子にはチェックいれちゃう傾向があります。人それぞれ、気になるポイントが違うのがこれまた困ったところですね。では、寒い季節ですので、みなさまお体ご自愛ください。