よく「見た目が大事」と私は言います。何度も何度も言っているような気がいたします。中には「見た目って言われるとミもフタもない…」と暗くくもった気持ちになる方もいるかもしれません。しかし、暗い気持ちになるのは、見た目=美醜……と考えるからであって、私は決してそういう意味で「見た目」と言っているのではないのです。

「人は見た目じゃない。大事なのは心だ」

と考える人もいらっしゃるやもしれません。しかし、その「心」は、けっこう「見た目」にあらわれてしまうものではないかと私は考えているわけなのです。私としては、見た目が大事なのは、そこに自分の心があらわれてしまうから……と言いたいわけです。特に男性の場合、女性のように器用でないため「心」→「見た目」が直結しています。

ですから、心をいい状態に保っていると見た目も、「あの人、感じがいい」「カッコいいよね」ということになってくると思います。

といっても「心をいい状態に」の、いい状態とはどういう状態なのかわからず、とまどう殿方は多いはずです。個人的には「誠実で、マジメで、何をするにも一生懸命がんばっていればいいんじゃない」と思うのですが、「それだけじゃないのよ」と言いたい女の子もいるようです。

某電子機器メーカーで働くAちゃん(29才)は、同僚のJくん(29才)から、恋愛相談をされました。それは、煎じ詰めると職場の後輩のCちゃん(25才)が好きなんだけど……というような内容です。

テキパキとして姉御肌のAちゃんが「好きなんだけど…どうしたいの?」とズバッと聞いてみると、Jくん、

「どうしたいのかって言われると、考えたことがなかったなぁ。ううん、どうしたいのかもわからない状態だね」

とやけに煮え切らない態度です。

「わかった。まずは相手を知るところからはじめようよ。どうせろくにしゃべったこともないんでしょう?」

「いや、そんなことはないよ。いっしょに仕事してるし」

「それじゃ聞くけど、Cちゃんはどこに住んでるの? 彼女に彼氏がいるかどうか知ってる?」

「…そう言われると、いつも仕事の話ばっかりで、個人的なことは知らないかも」

「でしょう? そうしたら、私がCちゃんを飲みに誘うから、いっしょにきてイロイロ話を聞いてみよう。ただし、尋問みたいに質問攻めにしちゃダメだからね」

というわけで、気のいいAちゃんのはからいで、3人は飲みに行くことになりました。

が、けっきょく、照れてしまったJくんは、黙ってお酒を飲んでいるだけで、かわりにAちゃんがCちゃんと話をし、

「彼氏とかいるの?」

「…それがいないんですよね。1年前に学生時代から付き合ってた人と別れて、それから何もないんですよー」

とあれこれ聞き出してくれたのです。Jくん的には、自分は何も聞かずに、Cちゃんのことを知ることができて「よかった~」とホッとしたのでした。

さてその翌日、Cちゃんの誘いを受けて、Aちゃんは女同士でランチを食べに行くことになりました。お昼ごはんを食べながら、二人で仕事の話やグチをもらしていると、突然Cちゃんがこう切り出してきたのです。

「そういえば、Aさんて、Jさんと仲がいいんですか?」

「えっ、仲がいいっていうか、同期だしね」

「そうなんですかぁ」

Cちゃんのほうから、Jくんの話を持ち出してくれたので、チャンス! とばかりにAちゃんは聞いてみることにしました。

「Jくんってどう? 後輩からみるとどんな感じ?」

「んんと、それって仕事の面で? それとも男としてどう見えるかってことですか?」

なかなか鋭いところをついてくるCちゃんです。

「両方の面でどう?」

「そうですねぇ…アタマがいいし、いつも冷静で忙しいときもあせったりイライラしたり、そういうことがない人ですよね。だから、信頼できるタイプかな。男としては、あんまり話したことないからわかんないんですよね。昨日もぜんぜんしゃべらなかったじゃないですか。私たちふたりでベラベラしゃべっちゃって」

「そうだよね」苦笑しそうになるAちゃん。

「Jさん、たぶん、彼女いないですよね?」

「うーん、いないみたいだね」

「そう、なんか、見た目でもう、彼女いないなっていうのがわかるんですよね。そういうのを感じさせないっていうか」

「そういうのっていうと?」

「女の匂いっていうか、女のカゲ? 色気みたいなものかな? そういうのが感じられないから」

「じゃあ、Cちゃんは、男の色気みたいなものがある人が好きなの?」

「いえ、別にセクシーでムンムンした見かけの人が好きっていうわけじゃないんですけど、多少はそういうのがあってもいいかな」

「なるほどねぇ」

このように、女性は男性の「見た目」だけで、彼に恋人がいるかいないか? といったことまでわかってしまったりするものです。そして、別に「色気」がある人がいいというわけではないけれど、多少なりとも女の匂い、女のカゲを感じられる見た目がいいといいます。

それでは、その「女の匂い」「女のカゲ」というのはどういうものなの? と聞いてみると、

「この人には、かつて彼女がいた、ちゃんと恋愛していた痕跡があるなーみたいな匂い」

「彼女もいないみたいだし、素知らぬフリをしているけど、けっこう友だちの女の子と出かけてそうという雰囲気」

「要するに、いつも男だけでつるんでるわけじゃなくて、彼女がいない時期でも、友だちの女の子と飲みにいったり、女の子といっしょにいることに少しは慣れていて、それが苦ではない…ぐらいの感じでもいいんだよね。とにかく、そういう雰囲気は見た目だけでわかるし」ということです。

たしかに、恋人がいなくても、多少なりとも女の子と出歩いたりすることがあれば、緊張感を保てたり、異性を意識する気持ちを常に持っていたりできそう。そして、それが見た目にもあらわれ、女の子は敏感に感じ取ってくれるということのようです。

心のどこかで「女の子といっしょにいるのは楽しい」という気持ちを持っていると、それが見た目に出てきます。

見た目向上のためにも、女の子には愛を持って接し、ふだんからフツウに会話を楽しんだり、仕事上でもいいから女の子との付き合いを楽しんでもらえるとうれしいです。


酒井冬雪です。何の自慢にもなりませんが、私はしょっちゅう男性(年上)から「…フェロモンがないっていうか、男の匂いがしないよね」みたいなことを言われています。そう言われても、あまり気にしていなかったのですが、先日とうとう妹から「姉は本当に男のカゲを感じさせないね、まぁ昔からだけど」と言われました。さすがに肉親から言われるとショーゲキでした。しかし、それは妹にもいえることで……。私たちが若い頃、占い師さんに「これは…男に縁遠い姉妹だ」と言われたことを思い出しました。強く生きていきます。では、またね。