【コラム】

理系のための恋愛論

224 「オレはプライドが高いんだ」ってなんだかね

    酒井冬雪  [2006/09/29]

    プライドが高い……ということばを、恋愛の場面で女の子に使う男の人は多いけれど、いったいどういうことなのでしょう。

    もし、女の人が、
    「私にもプライドが……」
    というとしたら、同性同士で、恋愛の相談話をしているときに使いそうです。男の子に向かって、
    「私はプライドが高いから」
    と高らかに宣言する人は少ないような気がします。

    それに比べると、男性は、自分の彼女に向かっても、
    「オレはプライドが高いから」
    という言い方をして、怒ってみたり、不満をうったえてみたりする。そしてもちろん、恋愛話をする上においても、
    「プライドが高いから……(そういうことされるのはゆるせない)」
    ということが非常に多い。

    取材をしている私は、世の中の男性はみなさん、こんなにもプライドが高いんだ! と驚かされることもしばしばです。

    ですが、話を聞いているとなんとなく「プライドが高い」ということばは、自分の身を守るために使っているように思えます。キズつきやすい自分をみせないために「プライドが高い」といっておくことで、予防線を張っているような……。「プライドが高い=キズつきやすい」は同義語なのではないか、と思わずにいられないのですけれど。

    某官公庁のとある研究所で働くOくん(27才)は、とてもがんばって、仕事で知り合ったUちゃん(26才)とふたりきりで食事に行ったり、休日にいっしょにゴルフをしたりする関係になったところです。

    ふたりは付き合っているのか? と聞かれれば、Oくん的には「付き合っている」に限りなく近しい状態だと思いますが、まだ彼女本人に確認を取ったわけではないので、たしかなことはいえない、と考えています。Oくんとしても、彼女のハッキリした気持ちを聞いておきたいのはやまやまなのですが、どのように切り出せばいいのか迷っている最中なのでした。

    そんな微妙な関係のふたりが、仕事帰りにふたりで飲みにいくことになりました。明日は休日ですし、Oくん的には、

    (できれば、帰りにうちに寄らない? と誘ってみて、可能であれば泊まっていってもらえないだろうか。しかし、なんといって誘えばいいのか)

    とモンモンとしていたので、その日はUちゃんとお酒を飲み、話をしていても気もそぞろなところがありました。

    が、しかし、先ほどからUちゃんがいっていることをよくよく思い出してみると、なぜだかしきりに、
    「Rさんって、おもしろいよね」
    とか、
    「この間、Rさんにお昼ごはんをおごってもらって」
    とか、自分の職場の先輩であるRさん(31才、独身)の話ばかりしているような……。われに返って、Uちゃんの顔をじっと見ながら話に耳を傾けると、
    「Rさんのケータイにメールしたら、絵文字連発の返事がきてビックリしちゃって」
    と、やっぱりRさんの話をしているのです。

    (なんだよ、ふざけるなよ。オレはうちに来てもらおうとあれこれ悩んでいるのに、Rさんの話ばっかりして。えっ? っていうか、もしかしてUちゃんは、本当はRさん狙いで、あの人に近づくためにオレのところに来てるわけ?)

    アタマの中を疑いの気持ちがぐるぐるとかけめぐります。

    「…‥へぇー、Rさんとケータイでメールしあってたんだ」
    「えっ、あの、仕事のことでだけどね」
    「ふーん。もしかして、Rさんのこと狙ってるの?」
    「ええっ、何いってるの? そんなんじゃないよ。仕事の上でしか付き合いないし」
    「もし、Rさんのことが好きなら、オレを通して近づかなくてもいいんじゃないかな。こっちにも一応プライドとかあるし。っていうか、けっこう、プライド高いほうかもしれないし、利用とかされたくないよね」

    いつも饒舌なUちゃんが、めずらしく黙り込んでしまったので、Oくんは「出ようか」といって、お店を出ることに……。お互いに気まずい気持ちで駅までの道を歩いていると、Uちゃんがいいました。

    「ごめんね。友だちに相談したら、アドバイスされたの。他の男の人の話をしたら、Oくんの気持ちがわかるんじゃないかって」
    「…‥」
    「シットとかしてくれたら、少しは脈があるんじゃない? っていわれたの。だから、Rさんのこと、わざとたくさん話してみたの。でも、なんか、Oくん、私といてもあんまり楽しくなさそうだし、上の空な感じだったし」

    というわけで、無事に誤解も解け、お互いの気持ちもわかったふたりなのでした。

    このように男性は「もし、彼女が他の男を好きなら」身を引くため、もしくは自分をガードするために、「オレはプライド高いし」という使い方をすることが多いような気がします。

    プライドが高い=バカにされたくはない=キズつきたくない=自分を守りたい。この中でいちばん使いやすく、なおかつカッコよくみせられることばは、なんといっても「オレはプライドが高いんだ」です。ですから、このひと言で、すべてを表現しているのかなあと思ってしまいます。女の子だったら、「私、キズつきやすいの」「バカにしないで」「女だし、自分を守らなくちゃ」とすべてのことばを使えますが、男子はそうはいきません。

    「プライドが高い」ということばにイロイロな意味をこめたい気持ちはわかるのですが、女としてはなんでしょう。その前に、ハッキリ「好きだ!」「付き合おう」っていおうよ、とか。「○○さんのことが好きなのか?」と単刀直入に質問してよ、とかいいたい気持ちになってしまいます。

    「プライドが……」でようすを探る前に、男らしくキッパリすっきりと自分の気持ちをいってほしい、そうしたらヨロコんでその胸に飛び込んでいっちゃうから! と思っている女は私ひとりではないはずです。

    キズつきやすい自分を守ろうとするのではなくて、キズついてもいい! オマエがほしい! みたいなところをみせてほしい……それは女のワガママかもしれませんが、決めるべきところではぜひ決めてみてほしいなと思います。一生のうち何度もあることではないだけに、できれば試してみてもらいたいところです。よろしくお願いします。


    酒井冬雪です。この間、担当編集者・久美子ちゃんの彼氏募集しようかなーなんていってたら、なんとその久美子ちゃんが他の編集部に異動になってしまいました。シ、シ、ショックです。恨んじゃうぞ~、MYCOMーッ。話は変わりますが、読者のみなさまのメールにはいつも励まされております。ありがとうございます。特に、女の子からのメールはとてもうれしいです。それから、FC東京中華思想は、いつも拝見させていただいております。レッズサポがうらやましいっ! では、またね。

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