【コラム】

理系のための恋愛論

215 モテる人の優しさ

    酒井冬雪  [2006/07/07]

    すごく美人なんだけど無表情。愛想も悪く、同性からも好かれていないようすで、話しやすい雰囲気をかもしだしていない女の子。顔はフツウよりもちょっとかわいい程度だけど、いつも笑顔で愛想がよく、だれとでもわけへだてなく会話ができる女の子。

    「モテるのはどっちだ?」

    そう質問したら、ほとんどの人が「後者でしょう」と答えることと思います。モテる女の子というものは、容姿の美醜ではなく、ふだんの心がけ(アイサツができる。笑顔を絶やさない。だれにでも公平な態度)や親切さで決まる! といっても過言ではありますまい。

    それでは、男性の場合、どういうタイプがモテるのか? と考えたときに、「どうせ金でしょう」とか「背と顔だよ」とか「地位と学歴?」とか、そういうふうに答える男性は多いものです。また、例え口ではそういわなくても、内心そんなふうに考えている男性が圧倒的かもしれません。それは、悲しい事実なのでしょうか……。

    Sくん(28才)は、某玩具メーカーの研究室で働いています。職場は男性ばかりで、唯一の女性が先輩のAさん(31才)。Aさんは笑顔がかわいい、ちょっとグラマラスすぎるタイプの女性で、とてもお人好しなため、ツッコミどころ満載です。しかし、Sくん的にはなんとなく、(この人を怒らせたら怖そう……)という感じがするので、同じ部署の男性の先輩や上司のように、彼女をからかったり、いじったりはしていませんでした。

    あるとき、その研究室に、研修のために新人のRくん(23才)が配属されてきました。

    Rくんは、そこまでわかりやすくていいんかい! といいたくなるほど、見るからにオタクそうなメガネと髪型と、運動とは無縁そうなプヨプヨの体型をした若者で、おまけに性格もかわいくない。たとえば、上司が、
    「これをやっておいてくれないか」
    と仕事を頼むと、彼はまず絶対に「Yes」とはいいません。
    「どうしてボクがやらなきゃいけないんですか?」
    と質問で切り返してきます。上司が根気よく、これこれこういうワケだから、キミにこの仕事を頼むんだよ、と話をすると、
    「じゃあ、いいですよ。やりますよ」
    と、渋々、仕事を引き受ける。えらそうなことをいうわりに、仕事は遅いし、間違いも多い。そのくせ、言い訳というか屁理屈だけは達者で、
    「そもそも、このデータがこんなふうにわかりづらいから、自分が間違ってしまったんだ。もっと、系統立てて仕事をするべきだ」
    と汗をダラダラかきながら、延々とうんちくを傾ける始末です。

    そんなRくんの態度に、だれもが内心ハラを立てていたものの、新人がすぐに退社してしまうと、人事から調査部隊がきて、事情をあれこれ聞かれたあげく、査定に響いてしまうこともあるため、だれも何もいわずにジッと耐えていたのでした。

    あるとき、Rくんも連れて、職場のメンバーでランチにとんかつ屋へ行くと、Rくんが唯一の女性であるAさんに向かって、
    「ははは、ブタがとんかつ食べてますよ。そういうの共食いっていうんですよ」
    といったのです。思わずプッと笑ってしまった男性もいましたが、Sくんは笑いもせずに、
    (人のこといえた義理かよ)
    と心の中で舌打ちをしていました。

    すると、どうでしょう。ふだんはとても温和で、心やさしいいじられキャラのAさんが、
    「いい加減にしなさいよ。あんたにだけはいわれる筋合いないのよ。自分の顔と体型をカガミで見たことあるの? ほら、今すぐトイレに行って、カガミ見てきなさいよ。早く行きなさいよ!」
    と怒り、本当にRくんをトイレに追いやったのです。そして、うなだれたようすで戻ってきたRくんに、
    「どうだった? カガミ見てきたんでしょ」
    と追い討ちをかけ、
    「すみませんでした。人のことはいえません」
    とあやまらせたのでした。

    やっぱり、この人は怒らせてはいけない相手だったなあと、自分の直感の正しさに満足したSくんでした。

    男性がモテるために必要なことは、経済力や身長や地位や顔だけではありません。その前に、それ以前に、

    「女性のことを悪くいわない。全世界の女性にやさしい気持ちを持つ」

    それが大切なのです。すべてのさまざまなタイプ、年代の女性にも愛をもって接する気持ちが、モテるためには、いちばん大切な要素なのです。

    そのあたりのことがよくわかっておらず、顔がかわいい子、スタイルのいい子だけ限定で愛想をふりまいたり、やさしいことばをかけたりして、そうでない人にはひどいことばを投げかける。男性のそのような冷たい、裏表のある態度を、女性は見ていないようでジーッと見ています。

    常日頃から、アイサツがきちんとできて、笑顔で、わけへだてない公平な態度を取っている。そういう人が「モテる」のは、女性も男性も同じなのです。「お金さえあればいい」「見た目さえよければいい」「勉強さえできればいい」「仕事さえできていればいい」と考えるのは、男性のカン違い。モテる人は、女性でも男性でも、世界中の人に対するやさしさがある、ということを忘れないでほしいなあと思います。


    酒井冬雪です。私には、女性で背の高い友人が多いのですが、「うらやましいなあ」というと必ず「そんなことないよ。電車に乗ってたって、見知らぬ男から『でけぇ女』とかいわれるし。ホントつらいんだから」といいます。「でもね、そういうことを言う人って、絶対、私より小さいの。背が高い男の人はそういうこといわないんだから」。なるほど。心の中ではたとえそう思ってしまっても、黙っているということが大事なのかもしれません。では、またね。

    新着記事

    特設サイトの情報

      人気記事

      一覧

      2012年5月27日の運勢

      イチオシ記事

      新着記事

      特別企画

      マイナビニュースマガジン