【コラム】

理系のための恋愛論

211 2人の"恋愛大前提"の違い

酒井冬雪  [2006/06/02]

恋愛する気持ちの上で、女性と男性のあいだには大きなへだたりがあると思います。

それは、女性が、
「好きな男性のために、何かをしてあげたい。この人には何をしてあげられるだろうか」
と考えるのに対し、男性は、
「この人からカッコいいと思われたい。この人に自分を認めてもらいたい」
という気持ちが先にきてしまうところ。

もちろん、どんな事柄にも例外はありますから、たとえば女性の場合、「好きな人に何かしてあげたい」という気持ちが、実は「そんな自分に酔いしれるのが好きなだけ」、なんてこともある。また、「この人に認めてもらいたい」と思うあまり、好きな女性につくし、何でもしてあげちゃう男性だって中にはいるわけです。

けれど、やはり大半の女性が「好きな彼氏のためにつくしてあげたい」と思い、ほとんどの男性が「外でがんばるオレを見守ってほしい」という気持ちで恋愛をしている……そういっても過言ではないと思います。

そういうわけで、彼女がやさしく、何でもいうことをきいてくれる(もしくはそう勘違いしてしまった)ために、後で痛い思いをするハメに陥る男子は後を絶たないのです。今日は、そんな「恋愛の大前提の違いと、それがふたりの関係にもたらす影響」について考えていくことにします。

某ビールメーカーの研究所で働くTくん(29才)は、一度だけ営業のCくん(同期)に連れられて出向いていった、取引先の某酒店のひとり娘、Kちゃん(26才)のことがとても気になっていました。テキパキと店を切り盛りする、いかにもやり手~という感じのお母さんとは似ていない、地味でおとなしそうで、だけどよく見るとキレイなKちゃんに、ほとんど一目惚れしてしまったわけです。

そういうわけなので、Cくんにメールを出しては、何気なく、
「そういえば、あそこのお店には最近行ってる?」
「このあいだ、あの店の近くを通ったんだよ」
といったことを書いて、Kちゃん情報が返ってこないかと期待していたTくん。自分ではさりげない方法のつもりでしたが、ハッキリいってバレバレだったので、察しのいいCくんが、いきなり、
「営業でKちゃんを接待します。Tも来るっていっといたから。6:30PMに△△駅の□□にオレの名前で予約をいれてあります。現地集合で!」
というメールを送ってきたのです。

Tくんはすっかり舞い上がり、イソイソと予約の10分前にお店に到着すると、すぐにKちゃんもあらわれました。そして、Cくんからは「悪い、ちょっと遅れる」とメールがきました。それから、Cくんが一向にあらわれないので、Tくんは多少あせりましたが、2人きりだし、今こそボクのことをアピールするべきだ! と思い、Kちゃんに自分の仕事の話を一生懸命語ってみました。

やさしいKちゃんは「うんうん」とうなずいて話をよく聞いてくれるし、的確な質問もしてくれます。
(やっぱり、自分の思ったとおり。地味でおとなしいけど、アタマのいい女性だ)
と、自分の女を見る目に自信を持ったTくんなのでした。

翌日、会社に行くとCくんから、
「昨日は行けなくてごめん。でも、うまくいった? 実は彼女のほうからも、オマエのことイロイロ聞かれてたんだよね」
とメールが来ていたので、「やったー、これはうまくいく」とTくんは確信を抱くことができたのでした。

というわけで、話はトントン拍子にすすみ、TくんとKちゃんは付き合うことになりました。しかし、もともと仕事が忙しいし、研究所からKちゃんの家まではけっこう距離があるため、デートする時間をつくるのがタイヘンです。

Kちゃんは、Tくんが仕事のために、約束をしょっちゅうドタキャンしても、
「大丈夫よ。仕事、がんばってね」
と、やさしくいってくれるので、Tくん的には、
「ボクの仕事を最優先にしてくれて、ワガママもいわないし。本当にいい人を彼女にしたな」
と大満足です。

ところが、そんなこんなで彼女にだけガマンをさせたまま半年ほどすぎたころ、久しぶりに休日のレストランでKちゃんとランチを食べていると、いきなりポロポロと泣かれてしまいました。

「Tくんといっしょにいると、私はTくんの付属物とか飾りとか、そんな気持ちになってくる。ただでさえ、お母さんからそういう扱いをされているのに、好きな人からもそういう扱いをされるのはこれ以上、耐えられない」

Kちゃんはそういうと、お店を出て、ひとりで帰ってしまったのでした。

多くの女の子は、好きな人のためならどんなことでもガマンをして、彼の希望を尊重してあげたいと思う生き物です。ところが、たいていの男の子はこれに甘えて、
「ここまでゆるしてくれるなら、これはどうだ? これもOK?」
と、次から次へと要求をつきつけたり、または、
「何もしないボクだけど、黙って見守っていて」
みたいなことを考えたりしてしまいます。

女の子だって、いくら好きな相手でもガマンの限界がありますし、そもそも、どちらか一方にばかり頼ったり甘えたり、ワガママをいったりする人間関係が長続きするはずはないのです。

そういわれてみると、気づかぬうちに彼女に甘えきっている自分がいたかも。彼女のために、何かしてあげたのはいつのこと? と思う自分がいたら、今からでも遅くはありません。彼女がヨロコブようなことをしてあげましょう。ただし、自分が好きなことは、彼女も好きだろうと勘違いしている男性もたくさんいますので、先に彼女にリサーチしてから、何かしてあげてほしいものです。

大好きな彼女といつまでも末永く、いっしょにいたいと思うのでしたら、ときどき(できればしょっちゅう)「あれ、最近、彼女のために何かしてあげたっけ?」と自分を振り返るようにしたいものですね。


酒井冬雪です。ここのところ、ゼーヒュー、ゴホゴホと咳き込んでいたら、知り合いのお医者さんから「黄砂? ボクもなんだよね」といわれました。そうかー、黄砂で咳がゴホゴホ出るんだ……と中国大陸に思いを馳せ……、でもやっぱり咳はイヤ。眠れないし。では、またお会いしましょう。

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