【コラム】
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土屋)結局、「モテるためにはこうならなきゃいけない」と思ってしまうんですよね。でも、かっこ悪い奴がかっこつけてるほどみっともないことはないし、面白くない奴が無理やり面白いことを言おうとするぐらい迷惑なことはないんで。
酒井)つらいところですよね。
土屋)若い女性の場合も、表面的なかっこよさに目が行きがちですから。そこに、総合的な人間性を評価する一面があれば、それによって、男もだんだん気がついてくるんじゃないかと思うんです。本当は、恋愛だけの問題じゃないと思うんですけれどね。
酒井)私は昔から、勉強ができる男の子と仲良くしてきましたけれど、それって「勉強ができるなら、頭がよくなる確率も上がるんじゃないか?」と思うからなんです。ある程度勉強ができるんだったら、女の教育次第で(笑)、頭のいい、やさしい男の子に変わってくれる確率も高くなるんじゃないかな、って。実際、このコラムの読者の方は、勉強ができる人が多いと思うんですよ。だから、もうちょっと積極的に女の子と話したり、付き合ったりしてほしい。それで、女の子だけじゃなく、子どもやお年寄りにも配慮のできる、頭のいい男になってほしいんです。
土屋)そう、仕事だけじゃなくてね。
酒井)女の子のニーズを知る努力をして、自分をちょっと恋愛しやすい方向に持っていってほしいんですよね。勉強ができるんだから、「他のことに対しても学習能力は高いでしょう?」と思うんです。
土屋)普段から人の気持ちをよく考えている人って、恋愛も結構うまくいくような気がするんですよね。女の子に対する接し方がどうこう、というよりは。人間的に、ある程度誰からも好かれる、そういう人になれればね。
酒井)もしかしたら、日本男性にはものすごく難しそう。
土屋)難しい課題ですよね。
酒井)今までやってこなかったことを、今からやらないといけない。
土屋)親にも、学校でも教わっていないし、社会に出てからも、誰からも注意されないことなんで、ほとんどの人は気がつかないと思うんです。でも、恋愛は、そこが試される場なんですよ。それでうまくいかないと、初めての挫折……となってしまう。しかも、恋愛ベタな人たちは、挫折してもなかなか学習しないところがあって。
酒井)男友だちにフラれた相談をしても、「あんな女、お前に合ってなかったんだよ」、で終わっちゃったりするんですよね。
土屋)そう、そういうことがあるんですよ。以前にも書いていらっしゃいましたよね。女がフラれたときは「ああ、あのときこういうふうにすればよかったのね」「あのときの私のやり方が悪かったのね」と反省して、学習して、成長していくけれど、男は「当たった女が悪かった」みたいに言うって……(笑)。
酒井)「もっといい女がいる」とかね(笑)。
土屋)男は、何の努力もいらないと思っているんですよ。自分を評価してくれる女がいるかどうか、それだけが問題なんです。自分は何も変わらなくていいし、女に対しても何もしなくていい、たまたま自分を評価してくれる人がいなかっただけ……なんて考えている。だから、全然変わらないんですよね。ずっと気がつかないし、いつまでたっても成長しないということはあると思う。
酒井)私の父親は、何でもしてくれる人で、母や私には荷物すら持たせない、という人だったんです。だから、男の子と付き合ったときには驚きました。「ええ? なぜ荷物を持たないの?」、「なんで好きとか、かわいいとか言わないの?」と。彼氏には「好きって言って。はい、練習」なんて言っていたんです。
土屋)練習(笑)。
酒井)「好きなんて、恥ずかしくて言えないよ」と言われると、「はい、言えるまで練習」って。男の子がそういう言葉を言えないことに、すごくびっくりしたんです。ウチの父親に「お茶飲みたーい」と言うと、いつもお茶をいれてくれて、しかも、「君がかわいいからいれてあげるんだよ」なんて言って、カップを渡されていたので。
土屋)うわあ(笑)。
酒井)男の人ってみんなこういうものなんだ、と思っていました。だから、「なんで周りの男の子たちは、何もできないし、何も言わないんだろう?」ってびっくりしたんです。……イタリアに引越した男友だちがいるんですけれど。この間メールが来て、「イタリアにはあなたのように育てられた女がいっぱいいて、イロイロてこずっています」って(笑)。
土屋)よっぽど女の気持ちを大事にする男じゃないと、外国ではモテないんですよね。
酒井)そのかわり女の子のほうも、「いつも父親にチヤホヤされてるから、愛想がいい」って、彼は言うんです。ナンパされて気が乗らないとき、日本の女の子は「最低」って言ったり、ムシしたりしますよね。イタリアの女の子は、どんな相手にも必ず、「ごめんね、用事があるから」なんて、やさしく言ってくれるって。断り方がすごくうまいそうです。
土屋)人間関係を重視していますよね。どうやって人とうまくやっていくかっていうことを。それはたぶん、研究者同士の話でもそうじゃないかなと思います。僕はケンブリッジ大学というところにいたことがあるんです。それはもう、世界的な学者でも、ものすごく謙虚なんですよ。例えば、「先生、黒板の字が読めません」と学生に注意されても、「あ、そうか。それは指摘してくれてありがとう。字が下手ですみませんでした」、なんて言うんです。前の時間にしゃべったことを学生が質問しても、丁寧に説明するんです。世界的に偉い学者が、ですよ。日本では絶対に怒るような場面でも、怒らないですしね。それはもう、本当に謙虚ですね。
酒井)なるほど。日本では最近、お医者さんを見ていると「そういうふうにしなきゃ」という人がふえてきた気がします。
土屋)そうですよね。
酒井)なんだかまだ、軽いんですが(笑)。
土屋)板についてないというか。
酒井)でも、すごくいいことだなと思って。
土屋)そうそう。それは変な育てられ方をされたにも関わらず(笑)。努力して良い関係を築こうとしていれば、かわいいな、という好意的な目で見てもらえるかもしれないですね。
でも、本物の恋愛の対象になろうと思うと、「かわいければいい」ではだめなんですよ、やっぱりね。女の人も、恋愛となると真剣に選ばなきゃ、という気持ちになっているんで、どうしても寛容にはなれないですよね。
酒井)そうですかねえ。
土屋)いや、わからないですけれど(笑)。僕は本当にもう、女の人についてはわからないんですよね。
酒井)でもほら、教え子の女子大生さんがいっぱいいるじゃないですか。
土屋)学生でも、けっこう恐ろしいなと思いますね。例えば彼女達は、男と話をしていて、知っていることでも、必要があれば知らないふりをするって言うんですよ。
酒井)しますよ、ねえ。
---(笑)。
土屋)…‥ということは、逆に知らないことでも、知ったふりができると思うんですよね。ところが、男はそういうことが絶対にできないんです。ちょっとでも知っていることがあると、本当に得意になって教えてやろうとするんですよ。だから、仮に女性のほうがよく知っていたとしても、「あ、そうなんだ」とかなんとか言って、感心したように聞いてくれるので、男は気づかずに、すごく喜んで話すんですよね。本当に単純なものだな、と思いますよね。
酒井)私の知り合いの女性編集者さんは、すごくお店にもくわしいし、いろんなことを知っているんです。そのくせ、恋愛では彼氏にリードしてもらいたいって言うんですよ。「お店を探すのに、30分もうろうろさせられてムカついた」って。「あなたのほうがお店を知ってるんでしょ? 連れてってあげればいいじゃん!」と言うと、「そんなのいやだ」って言うんです。意地でも知らないふりをしているみたいですよ。男の人にはリードしてほしいんですって。
土屋)そうそう。例えばプレゼントでも、"男にどんなものを要求するか"……。
酒井)"要求するか"って、言い方がちょっと(笑)。"どういうものをもらったらうれしいか"、と言ってほしいんですけれど。
土屋)(笑)。テレビで、「女性にはものすごく高いものを送らないといけない」と言っていたんです。それで学生に「本当にそうなの?」と聞いたら、「本当に好きな男にはお金を使わせたくないから、そんな高いものはほしくはない」って言うんですよ。ということは、好きじゃない男からは、どんな高いものをもらってもいいと思っているんですよね? 僕、そういうことがよく考えられるなあ、と思って。
酒井)それはやっぱり、まだ学生さんだから。経験値を積んでいかないと……。私も若いときはそう思っていたかも。
土屋)じゃあ今は違う?
酒井)違いますね。例えば昔はバッグをもらっても、電車の床の上にバン、と置いちゃっていたんですよ。すごく高いのに。でも、自分が1,000円で買ったバッグは、意地でも床に置かないで持っていたんです。ある日、そのことに気がついて、「あ、プレゼントをもらわなくても、私生きていける」って。というか、自分で働いて買うのが好きなんだって気がつきました。
土屋)そうですか(笑)。いや、だれでもそうなのかは、わからないですよね。
---まあ、とにかく、「男の子は打たれ強くならなくちゃいけない!」というところにまとまってくるんじゃないでしょうか(笑)。
土屋)やっぱり本当にね、恋愛をすると、鍛えられると思うんです。多少失敗してもね。何がいけなかったのか、なかなか気がつかないし、学習しないんですけれど、結婚して相当経つと、さすがにだんだん勉強しますからね。
酒井)結婚したほうがいいんですかね?
土屋)うん、だと思いますね。結婚しないとわからないところは、あると思いますよ。昔の男はね、思い込みの世界のまま、一生を終えていたかもしれないけれど、最近はそうでもないですからね。女の人もあまり我慢しないですし……だから男が、現実に打ちのめされることもあるんでしょうが。
酒井)私のまわりを見ても、結婚していない女の子はみんな、お母さんから「我慢しちゃダメよ」とか、「私はこういう失敗をしちゃったから、あなたには絶対させたくないのよ」とか言われているんです。夫選びの知恵を授けられているんですよ。
土屋)そうですよね。それでもなおかつ、ちゃんとやっていけるような人間に、男はならないといけないんでしょうね。僕なんかは、「女ってひどいものだな」とは思わないんですよ、あんまり。「男はもっと勉強しなきゃいけない」、という方向に行くんです。そんな僕から見ると、結婚すると男は変わっていくけれど、女は全然変わらないな、なんて思うんですよね。
酒井)土屋先生の本に「女性をとことん賛美する」というお話がありましたけど、それも「男はもっと勉強しなきゃいけない」というところから生まれたんですね。読者の方も、ぜひ結婚して、苦労をしてみてもらいたいと思います。というところで、ありがとうございました。
(イラスト=平松昭子、撮影=中村浩二)
みなさま、スペシャルはお楽しみいただけましたでしょうか。好き勝手に楽しいことをさせていただいて、「これでいいのかしら?」と多少恐縮しているのですが、まあよしとしましょう。
今からでもいい、マジで、土屋先生のところの助手になりたいです。……と土屋先生にいったら、「それ以上、(口撃が)強くなってどうするんですか? 金持ちがもっと金をほしがる心理でしょうか? 」と返されてしまいました。土屋先生のところの学生さんは、こうやって日々鍛えられて、よい女性になると思います。うらやましい限りです。
平松昭子さん、イラストありがとうございました。担当編集の久美子ちゃんも私もファンなので、ふたりで「かわうぃー」とヨロコばせていただきました。これから、理系の男の子をぶーんと振り回しながらいじってくれる、やさしい女の子がふえるとうれしいですね。
では、みなさん、また来週お目にかかりましょう。
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