【コラム】

理系のための恋愛論

187 知り合いから彼女へ……最初の一歩の「カベ」

    酒井冬雪  [2005/09/30]

    恋愛のつらさというのはイロイロありますが、まず最初の関門はやっぱり、

    「これは片想いなのか? 彼女は自分をどう思っているのだろう?」

    と悩むこと。そのあたりを確かめたいけれど、怖くて聞けないというのが、いちばんはじめにくる恋愛のつらさです。

    この「つらさ」は男性の方がより強く感じるものでもあります。なぜなら、いつの時代になっても、最初くらいは男性が女性を誘わなければならない(と、思っている人が男女とも圧倒的に多い)からです。

    男性は、知り合いを恋人へ、友人を彼女へ、仕事の同僚をプライベートな関係へ……ともっていこうと、あれこれ悩んで苦しむことになるのです。それではいったいどうすれば、ただの友人である相手と恋人同士になれるのか、そのあたりについて考えていくことにします。

    某コンピューターメーカーで働くFくん(30歳)は、近ごろ会社に出入りしている生保営業のHちゃん(25歳)のことを、かわいいコだなあ、いいなあと思っていました。

    しかし、Fくんは女性にはとてもシャイな性格で、今まで付き合った女の子は二人だけ。しかも、二人とも向こうから、「好き、付き合って」といわれて、それで付き合い始めたという受け身な恋愛しかしたことがないのです。自分のほうからいいなあ、と思ったのはHちゃんがはじめてで、どうすればいいのかわからない……という状態がつづいているのでした。

    ある日のこと、お昼時にHちゃんが営業にきて、Fくんの同僚であるRくんとランチに行こうとしていました。気さくな性格のRくんが、
    「メシ食いに行くけど、一緒に行く?」
    とFくんに声をかけてくれたので、はじめてHちゃんとランチに行く機会ができました。

    食事中も、FくんはうっとりとHちゃんを見つめて心ここにあらず。Hちゃんはそれに気付かず、一生懸命Rくんに営業トークを展開しています。察しのいいRくんは、Fくんの目線にピンときて、いきなり、
    「そういえば、Hさんって彼氏とかいるんだっけ?」
    とプライベートな質問をしたのです。

    どんな返事がくるのだろうと、Fくんがドキドキしていると、
    「実は、最近学生時代から付き合ってた彼と別れて」
    と、Hちゃんが切り出し、その後は話し上手のRくんが、彼女の情報をあれこれ聞き出してくれました。おまけに別れ際には、
    「あっ、そうだ。こいつにも名刺渡してあげてよ」
    といって、彼女とFくんの接点をつくってくれたのです。

    昼休みがおわり、Hちゃんと別れたFくんがボンヤリしていると、
    「Hさんのこと好きなんだ? あのコは職業柄、仕事か本気かわかりづらいから、長引かせないでいっちゃったほうがいいよ」
    とツッコミをいれるRくん。

    (そうか、そういわれてみれば、Hさんは名刺交換した相手にはとりあえず保険の営業かけるだろうなあ。一度営業をはじめたら、仕事がうまくいくまでは、オレのことをどう思っていようとやさしい態度を取りつづける)

    そうさとったFくんは、すぐに彼女のケータイにメールを入れました。

    >よかったら、映画でも見にいきませんか?

    その後何度かデートをして、彼女にそれとなく告白してみたFくんでしたが、けっきょく、
    「今は仕事に集中していたいので、ごめんなさい」
    と断られてしまったそうです。でも、

    「あそこで、Rから『あのコは仕事柄、こっちをどう思っているかわかりづらい』とアドバイスされなかったら、いくつも彼女のすすめる保険に加入して、それだけでおわっていたかもしれない」

    そうFくんはいうのでした。

    彼のように、だれかに背中を押してもらったり、何かに追い詰められたりするのはとてもいいことです。そうすると、知り合いから彼女への「カベ」を乗り越える理由と、やる気が生まれるから。誰だって、もう後がないという状況にならないと、なかなか最初の一歩は踏み出せないものです。恋愛というものは、人によっては先延ばしにしてしまいがちな事項ですから、自分ひとりでモンモンと悩まずに、何かのカタチで逃げられない状況をつくりだすと「カベ」を乗り越える力もわくと思います。

    仕事や趣味で、自分を追い詰め、目標を達成させることができるのなら、恋愛でもそういう状況をつくるようにしてみてはどうでしょう。アプローチの仕方なら、理系の方のほうが、たくさんの種類を考え出せそうですし。

    私にいわせてもらえば、恋愛のつらさは最初よりも、付き合いだして二人の関係が深まっていってからのほうがタイヘンなものです。つらさを5段階であらわせば、最初の段階なんて「1」くらいです。

    たくさんの女の子が恋愛で幸せになるためにも、男性のみなさんにはぜひぜひ勇気をだして、はじめの一歩をふみだしていただき、知り合いから彼女への「カベ」を乗り越えていただきたく存じます。


    こんにちは。酒井冬雪です。最近、サッカーの話をするのもつらくなっていたのでおとなしかった私です。ナオは大ケガするし、ルーカスは倒れちゃうしで、いたく落ち込んでます。お願いですから「残留争い、タイヘンですね」っていわないでー。では、またね。

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