【コラム】

理系のための恋愛論

184 どうして好きって言ってくれないの

    酒井冬雪  [2005/08/26]

    「彼氏に『好き』とか『付き合って』といわれたことがない」

    というような話を、20代・社会人の女性の方から最近よく聞きます。あるとき、23~28歳の女の子が8人で集まっているところでこの話をしたら、ここでも全員が全員、
    「私も好きとかいわれたことない」
    「私もー」
    「付き合い始めたのも、なんとなく流れで……って感じで、ハッキリ『付き合って』とはいわれてなーい」
    「そうそう」
    と、彼氏や彼氏になりそうな人から「好き」といわれたことがないというのです。どうして男の子は、女の子に「好き」といわないのでしょうか。

    某パソコンメーカーに勤務するUくん(27歳)は、同じ会社の後輩のRちゃん(25才)のことを密かに「かわいいなあ」と思っていました。でも、おとなしくて清楚な雰囲気のRちゃんは、社内でおじさんたちの人気がとても高かく、ウカツに声をかけることはできません。というか、それ以前に、Uくんは女性に対しては非常にシャイな性格だったので、Rちゃんをデートに誘うとか、そんなことは到底ムリだと自分でも自覚していました。

    ある日のことです。Uくんの働く部署に、新入社員研修をおえた新人のWちゃん(22歳)が配属されてきました。Uくんの上司は、さっそくWちゃんの歓迎会の予定を組みました。うれしいことに、なんとUくんとRちゃんが二人で幹事をするようにいいだしたのです。これで、Rちゃんに話しかけるきっかけができたと、Uくんは舞い上がっていました。

    「お店はどこがいいかな?」
    と、Rちゃんにメールを送ってみると、彼女は、
    「Wさんに、好きな食べ物とか聞いてみたらどうでしょう?」
    と、とてもやさしい配慮をみせてくれます。

    一方、UくんがWちゃんに、
    「何か、好きな食べ物とか、行きたいお店はある?」
    と聞いてみると、背が高く、体育会系らしいハキハキさを持った姉御タイプの彼女は、
    「私、焼き肉食べ放題とか、焼き鳥屋とかがいいです」
    とハッキリ自分の意見を口にします。

    Rちゃんのように「相手にあわせたら?」という人もいれば、Wちゃんのように「焼き肉がいい」と主張する子もいるんだ。今さらながら、女の子の違いに驚くUくんでした。
    そしてRちゃんに、Wちゃんの希望を告げると、彼女はクスクス笑いながら、
    「私も焼き肉好きだから、焼き肉食べ放題のお店探しましょうか?」
    といいます。というわけで、歓迎会は焼き肉食べ放題の店で行われることになりました。

    Uくんは、何とかしてRちゃんのとなりの席におさまりましたが、彼の反対側にWちゃんが座ってしまったので、さあタイヘン。体育会系の彼女に、ガンガンお酒をつがれて飲まされ、あれこれと質問攻撃にあい、Uくんはすっかり酔ってしまいました。あげくの果てには、
    「私、Uさんみたいに、おとなしめのダメッ子みたいな男の人が好きなんですよー。Uさん、彼女いないんですか? いないなら私とかどうっすかねー?」
    などと、Rちゃんにも聞こえる声でいわれてしまい、店を出るころにはすっかり、公認の仲みたいになっていたのでした。

    しかも、Wちゃんにいわれたとおり、おとなしめなUくんは、その後、積極的なWちゃんのデートの誘いを断れず、休日に何度も会うようになり、気が付いたら「付き合ってる」状態になっていたのです。今では、自分のようなタイプには、積極的なWちゃんがあっているのかな。Rちゃんみたいに控えめな子は、似たもの同士でいつまでたってもデートさえできなかったかも、と考えることにしたUくんなのでした。

    自分から誘った、彼女から誘われたはともかくとして、なんとなく、流れで「好き」といわないまま付き合っている、そんなカップルがふえているみたいです。どういう経緯で付き合い始めたにしても、やっぱり女の子は「好き」といわれたいものです。Uくんだって「好き」ということができたら、もしかしたらRちゃんが彼女になっていたかもしれない。しておかなかったことを後悔して、後になって「こうすれば、こうなっていたかも」と想像するくらいなら、最初から「好き」といってみてもいいと私は思います。

    最初に話した8人の女の子たちも、みんな、「好きっていわれたーい」「いってほしい」といっておりました。今の女の子にとって、「好き」はいってほしくても、なかなかもらえないことばになりつつあります。だからこそ「好き」といえる男の人の価値が高まっているのです。勇気を出して「好き」といってみると、いいことがあるんじゃないかなあと信じたい気持ちでいっぱいです。


    酒井冬雪です。私は好きな人には「好き」というタイプです。男性も女性も関係なくいいます。何かあって(事故とか)、いいたくてもいえなくなって後悔はしたくないなあと思って。あんまりいいすぎてイロイロ疑われたこともあるので、最近は控えめになってますが。ではまたね。

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