【コラム】

理系のための恋愛論

74 鍛えられた男の教え

    酒井冬雪  [2002/08/02]

    お姉さんや妹さんがいる男の人の、女性認識力の高さは驚くべきものがあります。小さなころから、身近に女の子を見ているからでしょうけれど、女の子自身よりも、女の子のことをわかっている部分があったりして、異性の兄弟姉妹がいるというのはいいことだなあ、と思わずにいられません。

    某製薬メーカーの研究所に勤務するHくん(28歳)には3人の姉がいます。いちばん上のお姉さんは6才年上で、小さいころから彼のお目付け役をしていて、彼が悪いことをしたり、ウソをついたりすると即座に見抜いてしまいます。
    「今度そんなことをしたら、どうなるかわかってる?」
    と脅しをかけるのですが、それがとても怖いので、彼はいまだに彼女にアタマが上がりません。

    2番目のお姉さんは、とてもおしゃれでセンスのいい女性で、彼の服装やヘアースタイルに激しく口を出し、
    「ジーンズは○○のお店で買うのよ」
    と細かく指示をしてきました。学生時代も今現在も、彼に、
    「どこで服買ってるの? 今度、教えて」
    と、服装のことでアドバイスをしてほしがる女の子が後を絶たないのは、2番目のお姉さんのおかげです。

    3番目のお姉さんは、年が近いので、いつも彼の遊び相手でした。男の子っぽい外見や趣味の持ち主ですが、中身はとても内気でやさしく、女の子らしい性格だったので、(女の子というものは、見かけと中身がまったく違うこともある)という事実を、彼のアタマと心に叩き込んでくれたのは彼女だったといえます。

    3人の姉を観察してきたおかげで、彼は恋愛中の女の子の行動パターンというものが、よくわかるような気がしました。たとえば、恋多き2番目のお姉さんが、仕事で知り合った建築家と付き合っていた時期がありました。その人は、見るからに女性受けのよさそうな、さわやかっぽいやさ男で、アルファロメオを家の前に乗り付けて、姉を迎えにきたりします。お姉さんとしても、(今回はいいのを捕まえたわ!)とやる気がみなぎっている感じ。ブルーノ・マリのベーシュのパンプスをはいているあたり、かなり気合いが入っている証拠です。

    そういう彼氏なので、やたらと忙しいらしく、お姉さんとデートするのは週に1度がやっとのようでした。そのかわり、彼氏はマメに電話をかけてきます。ある晩、10時半近くに彼氏から電話がかかってきました。電話を受けたのはHくん。お姉さんに電話を代わって、立ち去ろうとすると、受話器に向かってクールな口調でしゃべる姉の、こんな言葉が聞こえました。
    「うん、あたしも今帰ってきたところ」
    (ウソをつけ。7時前には帰ってきて、メシを食ったら今までぐうぐう寝ていただろう)

    というわけで、その週の週末に、学生時代から付き合っている彼女と会ったとき、Hくんは、思わず聞いてしまったそうです。
    「オレに、忙しさをアピールしようとして、ホントは家でゴロゴロしてたのに『今帰ってきたところ』とか見栄をはったことある?」
    すると彼女は、
    「……う~ん。付き合って最初のころはあったかも」
    と答えて、ふたりで大爆笑したのでした。

    3人の姉を持つHくんの考える、女の子と接する上で、ここだけ気をつけておけばいいポイントとは、

    ・機嫌が悪そうだと思ったときは、急いですぐに何かを食べさせる。おいしくておしゃれな店に連れて行こうと、車で30分かかる場所に連れていくより、コンビニでソフトクリームを食べてもらうほうがよい。低血糖そうな女性は特に注意。こまめに何かを食べさせておくこと。
    ・機嫌が悪そうだと思ったとき-その2は、すぐに寝てもらう。渋滞の中のドライブでも、機嫌が悪いときに運転をかわってもらおうなどと甘い希望を抱くのはよくない。女の人はものすごくよく眠るのだ。
    ・服装やヘアースタイルや化粧のことで意見を求められたときは、絶対に批判しない。「うん、かわいいね」「キレイだね」と肯定的な意見だけをいうこと。批判すると必ず怒りがかえってくる。
    ・ケンカをしたときは、あきらめて先に謝ってしまったほうがいい。ただし、それをさとるのに時間はかかる。
    ・ふたりの関係に支障をきたすような重大なウソ以外の、かけひきだとか見栄のためのウソは、「かわいい」と思うことにして見逃してあげる。

    ……いえてます。
    わたしにも男兄弟がいたならば、もうちょっと男の子のわけのわからない行動を理解できたのかもしれません。 というわけで、同性の兄弟姉妹しかいないあなた、ひとりっこのあなた、ぜひ異性の兄弟姉妹がいる人と仲良くなって「女の子ってこんなもの」「男の子ってこんなもの」と、貴重なアドバイスをしてもらいましょう。

    酒井冬雪です。辛いものばかり食べて生活しています。タコス。ジャンバラヤ。キーマカレー。それから、タイ料理の辛いおそば(おそばはフォーっていうのかしら)。唐辛子の消費量がすごいかも。それでは、よい夏休みを。

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