【コラム】

理系のための恋愛論

31 いい人に出会うには

    酒井冬雪  [2001/05/25]

    昔、わたしがまだ高校生だったころ、友人からこんなことをいわれました。
    「学校でひとクラスに40人の生徒がいて、そのうち女子は半分の20人でしょ。その20人の中に友だちになれそうなコがひとりいたら、もう大ラッキーなんだよね。自分と気が合う女って、千人にひとりいるかいないかなんじゃないかな、と思うよ」

    共学の学校に通っていた方には、よくわかっていただけると思うのですが、女のコっていっしょに理科室や更衣室に移動をしたり、お弁当を食べたりできる友だちをクラスの中に見つけられないと、とてもつらい学校生活を送るハメに陥ってしまうものなのです。でもねえ、そうなのよねえ、ホント、気の合う女のコって、ごくごくたまにしかお目にかかれないものなんです。

    というわけで、友人からそのひと言を聞いて以来わたしは、どこかの集団に属する機会があったとき、気の合う女のコがみつからなくてもそんなにやきもきしなくなりましたし、まあまあ話が合う女のコとは、ここまでしか付き合わない、みたいなラインの引き方も習得できたように思います。

    いい女友だちに出会うのは、まったく奇跡のようなもの。そして、もし、ひとりでも仲良くなれるコがいたら、これはもう大、大、大ラッキーだから何としてでも仲良くなろう、誠実に男気(わたしは女ですが)あふれる態度を取っていこう、と心に誓うわけです。

    ところが、いざ男のこととなると、この目はどんなに曇ってしまうことでしょう。同性である女を「友だち」になってくれるかどうか見極めようとする目は、シビアすぎるほどなのに。

    男のこととなると、アタマがポワッとしてしまう。話が面白かったり(これが一番のクセモノだと思うのだけれど)、決してハンサムではなくても外見に独特の華や個性などの魅力があったり、仕事ができそうでテキパキしていたり、たったこれだけの理由ですぐにクラクラッときちゃったりしていたのです、ほんの数年前まで。

    これは余談ですが、たいていの女のコは、話・顔・テキパキの他に「さわり魔(さわり上手)」な男にとっても弱いです。さりげなく肩をたたくのが、アタマをこづくのが、ほっぺをムニッとやるのがうまい男には、それだけで一気にクラッときちゃう。(それにしても、さわり慣れていない男に限って、ワキ腹をヒジや指でつっつくのはなぜかしら)。

    日本の女のコはさわられることに慣れていない人が多いので、上手にイヤミなくさわっちゃう男もモテるはずです。幸い、わたしはさわり魔な父をもったおかげで、さわられてクラッはないんですけどね。

    しかし、こういった傾向は男性の側にこそわかりやすく、顕著に見られることのような気がいたします。

    極端な例を挙げると、ちょっと顔がかわいい女のコとひと言、言葉を交わしたというだけで、
    「もしかしたら、このコは自分の彼女になる人かもしれない…」
    と、想像をふくらませてポワワーンとしてしまう。腕をからませられたり、肩に顔をすり寄せられたりなどしようものなら、あっという間に血中恋愛濃度が急上昇して、ハタから見ていると、
    「あっ、あの男、やられたな」
    というのが笑っちゃうくらいミエミエなところも、男のコならではの特徴といえます。

    それでは、いったい全体、どうすれば、いい男(女)に出会うのも、同性の友人問題同様、まったく奇跡のようなものだと、自分に言い聞かせ、納得させられることができるのでしょう。

    これはもう、痛い目にあって自分の経験値を上げていくしかないでしょう。…といいたいところなのですが、さほど男性の容姿にこだわらない傾向が強い女のコだとこれが当てはまる場合が多いけど、男のコは違うんじゃないでしょうか。

    というのも、男性のほうがより、いつも同じタイプの女性に惹かれて、同じところでつまづいているケースが多いようなんです。

    同じ失敗を繰り返して、つらく苦しい思い出がふえるだけ、余計な苦労や警戒心を背負い込むだけですから、
    「たくさん痛い目にあわねば」
    と思うなら、せめて5種類くらいの違うタイプの女のコと付き合ってみなければなりません。うわー、それもつらそう。

    では、男性はどうやって、かわいい女のコ=即座にポワーンとならないようにすればいいのか。好意をもっている女性にそんなことをするとなると、男として良心が痛むかもしれませんが、ここは冷静に情報収集してみるといいのではないでしょうか。

    会社の同僚から、上司から、同性の女性から、彼女がどのようなコか、情報を集めてみるのです。

    1.彼氏がいるかいないか、結婚しているかいないか(こんなことすら前もって調べられない男性が非常に多いのはいったいどういうわけなのでしょう。女のコなら、これしきのリサーチ朝飯前でございます)。
    2.上司、目上の人に対して礼儀正しいか。
    3.同年代の男性からどう思われているか。
    4.同性である、女性からはどう思われているか。

    せめてこれくらいのことは血中恋愛濃度をひとり勝手な妄想で盛り上げる前に、冷静な目でリサーチしてみるべきです。用心深く賢い女のコは、みんなやってます。

    さらに、リサーチしてみた結果について考察してみます。
    まず、1の問題ですが、既婚者だったらそこで引くべきですけど、結婚していなくて、彼氏がいるだけだったら、彼氏とは今、どういう関係にあるのか、今度は思い切って彼女自身からうまく聞き出しつつ、引くか押すか、悩んでみるべきです。せっかくポワンな気持ちになれたのだから、せめてそれくらいのことはしてみてもいいのではないかと。

    2の問題は、自分が信頼できる目上の男性だけでなく、目上の女性からも
    「わたしは、彼女って、これこれこういうコだと思うわよ」
    と教えてもらえれば上出来。

    3の場合、リサーチをする同世代の男性自身の人柄や、「女を見る目」がよっぽど信用できるものでないと、意見を聞く必要性は感じられません。彼女の身近に、自分が信頼できる男(それが自分よりだいぶ後輩でも)がいないのだったら、この項目ははぶいていいくらいです。信頼できる男が、彼女の仕事ぶりを評して、「彼女はいい女だよ」といってくれたら、それはかなり安心、高ポイントつけてもOKでしょう。

    4も3と同様です。リサーチする女のコのタイプによって、かなり意見はかわってくるかもしれません。ですから、リサーチするというよりは、どんな女のコたちと仲良くしているか、その集団の中で彼女はどんな役割(お姉さん役、引っ張られているコ、公平で中立の立場など)を演じているか、そこにいて疲れたようすを見せていないか、心底楽しそうかを観察するほうがいいかも。

    女同士の付き合い方を見ていれば、彼女が何に興味を持って、何を楽しんで、どんなことに疲れているかが見えてくるはずです。

    とりあえず、彼女がフリーかどうかすら知らないのに、時間の経過とともに舞い上がっちゃっている人は(自覚があればラッキーでございます)、狂おしい気持ちをグイグイ押さえつけて、ライバル視している同性を見るときの気持ちで、冷静に彼女の人となりを見るよう、心の片隅で忘れないようにしてほしいものです。自分にとってたったひとりの女性になんて、メッタに会えないはずなのですから。

    酒井冬雪です。すごく久しぶりに(いいたくないけど、ほぼ2年ぶりかも)、単行本の書下ろしをはじめました。と、同時に趣味のお裁縫(どこまでもインドア派)も久々に再開。肩こりと偏頭痛と上手につきあわなければ……。

    ではまた来週。

    酒井冬雪
    fuyukies@pc.mycom.co.jp

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