【コラム】

理系のための恋愛論

23 女の子の「大爆発」をふせぐコツ

酒井冬雪  [2001/03/02]

以前もこのコラムで登場したことのある編集者のHちゃん(29歳)が、あるとき、わたしにボソリと、こういったことがあります。
「けっきょく、男の人って、しょうしょうヒステリックなくらいの女のコのほうが好きですよね」

なんでこういう話になったのかというと、彼女と仕事の打ち合わせをしている最中に、わたしの妹がケータイに電話をかけてきたせいなんです。何やらわめいている妹に、
「ちょっと待って。仕事中だから後でかけ直すから」
といって、わたしはケータイの電源を切ってしまったのですが(ああ、さいしょから切っておけばよかった)、いたたまれない気持ちになって、Hちゃんに言い訳がましく電話の内容を説明してしまったのです。
「今の電話、うちの妹だったんだけど、今朝ダンナとケンカしたらしいのね。それで『どうしよう? どうすればいい? だけどあたしは悪くないと思うの』とかいってるのよ。何ていうか、自分であれこれ考えてるうちにパニックになっちゃって、だれかに話さないと落ち着けない性格なんだよね」

Hちゃんとわたしはちょうど「会社ではどういう女のコがモテるのか?」というような原稿を書こうと話し合っていたところだったので、彼女はすぐにこの話にのってくれました。
「ああ、でも、そういう風に『どうしよう』ってだれにでもいえる人のほうが男の人にモテますよね」
という流れで、さいしょの「しょうしょうヒステリックなくらいのほうが…」発言にいたったわけなのです。

ヒステリックという言い方をされた女性には「失敬な」と憤慨されそうですが、彼女たちこそ、いわゆる感情を表面に出すのが上手なタイプというわけです。わたしの妹もまさにその典型タイプなのですが、彼女たちのいいところは「大爆発がないこと」といえましょう。不満や疑問、悲しみやヨロコビは、ためずに小出しに出しておけば、話し合いの場をふやすことにつながるし、本人のストレスにならない気がいたします。

そう、実はどっちかというと、男性にとって困るのは、大爆発するタイプの女ではないかと思うのです。彼女たちはなぜに大爆発するのか? 大爆発をさけるにはどうすればいいのか? 今回はそういったことを考えてみようかと思います。

さて、実はHちゃんとわたしにはある共通点がございます。……それは、登校拒否ならぬ出社拒否をしたことがあること。しかも、ふたりとも出社拒否をしたときの状況が酷似しております。

Hちゃんの場合、上司は40歳の女性で、「自分の担当したい作家さんがいたら、たとえ同じ編集部内にその先生の担当がいても、自分がかわってみせる! というくらいの気持ちで働きなさい」といわれ、毎夜毎夜、作家先生の集う場所に引き回され、名刺交換をさせられたそうです。

客観的にみて、わたしはその女性上司の方の気持ちがわからないでもないんです。Hちゃんは年齢よりもずっと落ち着いていて、どんなときも冷静沈着で、もの静かながらもテキパキと話をすすめられる女性なので、彼女より年上のわたしのほうが甘えてるくらいですから。もし、わたしが彼女の上司だったとしても、きっとたくさん期待しちゃうと想像できる。

しかし、Hちゃんいわく、その上司の好きな(担当したい)作家先生と、自分が興味をもっている作家さんとがまったく違っていたらしい。なので、恐る恐るそのむねを打ち明けると、
「あなたはやる気があると思っていたのに。じゃあ、これからどうしたいわけ?」
と問い詰められたそうなのです。翌日から、彼女は風邪を理由に2週間、出社拒否に陥っちゃったそうです。

わたしの場合は会社勤めしていた20代前半のころの話なのですが、上司が40歳の「男性」だったのがHちゃんと違う点かしら。でも、状況は彼女とほぼ同じ。

向こうはわたしのためを思ってイロイロいってくれているのだから…。いい人だし、期待を裏切るようなマネはできないわ…という気持ちで半年ほど、人脈を広げることを目的としたパーティーやら、集まりやらへ出向く彼についてまわりました。

あげく何の目的も見出せず、疲れ果てて、1週間の出社拒否をしたのです。で、会社にいって大爆発したという…。大爆発といっても、泣いたりわめいたりせず、淡々と、
「もう、ああいう集まりにはいきません。何があっても」
とトートツに宣言しただけなんですけど。

今、当時を振り返ると「いつもいいコぶって『はいはい』と、黙っていうことを聞いていたから、出社拒否などという大爆発をやらかすハメに陥ったんだなあ。もっと小出しにうまく『No』を伝えておけばよかった」という気持ちになります。

小出しに「どうしてこの集まりに出るのをわたしにススメてくれたんですか?」と質問したり「今回は遠慮します」とノーを告げたりしてコミュニケーションをとっておけば「もう、何がどうでも、いやなものはいやなの!」と、ダダっ子みたいにいわずに済んだかもしれなかった、そう反省したわけです。

とまあ、「仕事」の上に問題にたとえてみたのですが、恋愛においての大爆発も過程は同じではないか、と思われます。

好きな人からお弁当を作ってほしいといわれた→ホントは料理は苦手だが3時間ほど早起きして作ってみた→寝不足でつらいけど「おいしい」といわれてウレしい→やっぱり苦手だけどがんばってよかった→また「お弁当作って」といわれた→「ええ、また?」とちょっと思ったが、つい「いいよ」といってしまった→またまた「お弁当」といわれた→たまには外食しようぜと思うが、またまた「うん、いいよ」といってしまった。ああ、あたしはどうしてノーといえないんだろうか→でもって、3ヵ月後に、
「あたしはホントは料理が大の苦手なのよ。お弁当作るのにね、いつも3時間も早起きしてたんだから。今どきの男として、たまには女のあたしにお弁当作ってくるくらいのこと考えないの? 信じられない。もういや、疲れちゃった」
と大爆発されても、男のコにしてみれば、
「おいおい、そんなことぜんぜん知らなかったよお。今ごろいわれてもちょっと…。さいしょにいってよ。カンベンしてくれよ」
という気持ちでいっぱい、といったところではないでしょうか。

とにかく、大爆発する女のアタマの中はこんな感じになっているんだと思います。大爆発する女のコには、好きな人の期待にこたえたい。ノーといって嫌われたり、気まずくなったりするくらいならあたしがガマンすればいい。自制心が強く、忍耐をはじめるとわりと長い。いいコと思われたい長女性格、という特徴があります。

これは裏を返せば、自分に自信がない、自分の意見をいうことに慣れていないともいえますが…。こんな女性に対処するには、いきなり本題を切り出さず、さぐりをいれてみるのが基本といえましょう。

前述のように最終的には「お弁当作って」とお願いしたいのなら、
「ボクはあんまり料理しないんだけどさ、自分で料理する?」
と、まずはいきなり本題を切り出さずに聞いて、彼女の反応をよく見た上で、お願いしてみるといいでしょう。

また、週末はアパートでゴロゴロしていたかったとしても、
「土曜日うち来てゴロゴロしよう」
と、彼女に有無をいわさず決め付けたりしないで、
「土曜日って何か用事あるの?」
と、彼女の都合を聞いてみれば、本心を引き出せるやもしれません。

彼ったらホントはぐうたらしていたかったのに、あたしが出かけたいっていうのを聞いてくれた。という具合に、小さなことからすこしずつ彼女に自信をつけてあげるわけです。さすれば、
「この人は、どんなささいなことでも自分の意見を聞こうとしてくれる」
「この人は、本音をいったくらいのことで、あたしをキライにならないんだな」
と彼女は自信をもちはじめ、あなたを信頼するようになり、だんだん自分の気持ちを打ち明けるクセがついていくことでしょう。

まどろっこしくて面倒かもしれないけど、これが大爆発を防ぐ対処法ではないか? と、若いころによく大爆発していたわたしは思うのですけど。

こんにちは、酒井冬雪です。先週、部屋を片付けようと思い立ったのですが、片付けたら余計に散らかった気がして、自分の整理整とん能力のなさにガクゼンとしました。なので、ええい、こうなったらモノをなくしてしまえ! とばかりにインターネットでフリーマーケットの参加申し込みをしました。というわけで、3月4日の日曜日、有明はプリズムスクエアのレインボースペース4で、わたしはフリマのお姉さんになってます。目印はオレンジ色のFIAT/バルケッタ。時間があったらひやかしに来てください。では、またね。

酒井冬雪
fuyukies@pc.mycom.co.jp

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