【コラム】

理系のための恋愛論

1 今現在、好きな女の人はいますか?

    酒井冬雪  [2000/07/07]

    1日10時間いじょう、パソコンの前に座っている理系のみなさん、こんにちは!時間に追われて忙しいのはじゅうじゅう承知しておりますが、ほんのちょっとの間だけ、こめかみのあたりをもみほぐしながら、考えてみてくださらないかしら?

    1.今現在、好きな女の人はいますか?
    2.いちばん最後に、女性とデートしたのはいつ?
    3.いちばん最後に、愛のあるセックスをしたのはいつ?

    「ふっ、忙しすぎて、女性を好きになるヒマも、デートして、セックスまでたどりつく努力をする時間もないよ…さっ、仕事仕事」と0.02秒でアタマの切り替えをできちゃう理系のあなた、ちょっと待ってほしいの。時間がなくても恋愛はできるし、だれかを好きになってつきあっていくのはウレしくて楽しくて、ウキウキすることだってわかっているでしょう?

    もしかして、実は、ただ単に好きな女性へアプローチする挑戦精神や気力に欠けているだけなくせに、ヒマがない、時間がないのを「女性に愛される」自信がない自分への、言い訳にしてるのではないでしょうか。

    骨の隋まで文科系の女であるわたしに、理系の悩み、苦しみはハッキリいってようわかりません。理系の男性に対しては、こんなイメージしかわかないくらいですもの。

    1.デリカシーに欠けていて、たぶん実際よりも冷酷に見えてしまう。
    2.アタマはいいが人の気持ちの「機微」にわりかし、うとい。
    3.感情的に話をされると、即座にフリーズしてしまう。

    これはたぶんきっと世間一般の女性のイメージと、何らかわりはないと思います。
    「ほら、やっぱり理系っていうだけで女性に引かれちゃうんだから、恋愛に時間と労力をさくなんて効率が悪いよ、ムダムダ」
    ううん、でもなあ、女のコって、男の人を好きになった理由のひとつに、
    「尊敬できる人だから……」
    って挙げるじゃないですか。尊敬できる=自分よりアタマがいい、賢い、ということではないかと思うわたしなんですけど、ここで問題なのがいったい何をもって「アタマがいい」と定義づけるかってことですよね。

    とある編集プロダクションで働く、知り合いのSちゃん(26歳)は、某製薬メーカーの研究室で働く理系の男とおつきあい中。つきあいはじめた当初はそれはもう、ケンカ(というよりはSちゃんがひとりで一方的にプリプリ怒っている状態だったらしい)が絶えなかったそうでございます。Sちゃんいわく、
    「気がきかないというか、察しが悪いというか、とにかくボーッとしてて、アタマの中はきっと、いつもいつも何かの研究のことでいっぱいで、あたしなんかいてもいなくても、どうでもいいに違いないって思ってた」

    あるとき、いつものように彼は、彼女のアパートにやってきたのですが、彼女がごはんを作っている間はジーッと雑誌を読んでいるだけ。出されたものをただモクモクと食べるとまた雑誌に目を戻して、お茶碗を洗うのを手伝ってもくれない。

    突如、キレた彼女は、矢継ぎ早にまくしたてたのでした。
    「もう、いいかげんにしてよ。すこしは手伝おうと思わないわけ?いっとくけどあたしは今日はすごく疲れてるの。だって、昨日は朝11:00に仕事に行って、重たい荷物持って夜7:00まで取材で歩き回って、知らない人に会って気をつかって、それから会社に戻って、夜は3:30までパソコンに向かってたんだからっ」

    すると彼は、驚いた顔で雑誌をポトリと床に落とし、
    「そんなに忙しく働いてたなんて知らなかったよ。ごめんね、何も手伝わなくて。いいよ、いいよ、座って休んでて」
    というとお茶碗を洗って、彼女にお茶をいれてくれて、その上、肩や足をもみもみしてくれたのでした。Sちゃんは反省しました。
    「それまであたしね、怒ったりムカついたりすると、ただひたすら『なんなのよ、いったい』とか『なんでわかってくれないわけ』とかブウブウいうだけだったのね、そしたら彼、すごい困った顔で固まっちゃって、それがまた冷たい感じてムカつく…こういう悪循環の繰り返しだったの。でも、彼は理系だから『こうでこうでこういうわけだから、あたしは怒ってる』と順序だてて理論的に話をすると、すぐ理解してくれるんだよね」

    Sちゃんはついでにこうノロケていました。
    「彼ってー、もともとアタマがいいから、あたしが一度いったことは忘れないし、お料理なんか1回教えたらすぐ覚えて、しかも応用きかせて自分なりのレシピを作っちゃったり。理系の男は、学習能力が高いからいいよおーっ」

    ね、おわかりいただけましたか? もし今、貴男の関心が、仕事にしか向いていないとしても、すこしだけ女のコに目線を向けてみていただきたいんです。女のコって、たしかに、それぞれにエモーショナルで、おのおのに気まぐれで、自分勝手で何を考えているかわからないかもしれない。でも、貴男方が仕事に接するのと同じように、根気よく、誠実に、愛と理解をもって、
    「今、いったい、どうして怒ってるの?」
    「何がそんなに〇〇ちゃんを悲しくさせちゃったの?」
    と接すれば、女のコだって、なんとかがんばって、理論立てて、筋道だてて話をしようと試みるはずなのです。

    何らかの感情をやみくもにぶつけられた=困って固まる…のではなく、賢い男らしく上手に回答へと誘導する質問を投げてあげればいいだけなのです。女のコの気持ちがわからない、察しが悪いのだったら、わかるようになるまで学習すればいいだけのこと。学習能力の高さで、人の気持ちの機微がわかるようになる…これこそ女性の求める「アタマのよさ」なのであります。学習能力の高さ、貴男の情報収集分析能力の一部を、仕事いがいのこと「女のコの気持ちを知る」ことにも応用してごらんなさい。それが理系の男が恋に踏み出す第一歩じゃないかしら…、わたしはそう信じています。

    はーい、酒井冬雪です。今日のランチはテイクアウトしたBLTサンドとコーヒー、もちろんモニターとニラメッコしたまま食べちゃいました。理系じゃないけど、1日中、パソコンに向かって生活してるのはわたしも同じ。ああ、仕事の時間を削ってデイトをしたいわあ、と自分自身思っているところなんだわ。

    だけど、るるー、世の中の女のコが幸せになるために、モテる男をふやすのがわたしの使命。そう自分にいいきかせながら新連載をスタートしました。女のコのこういうところがわからない。とお悩みの理系のみなさまからのご意見、ご質問をお待ちしてますからね。
    fuyukies@pc.mycom.co.jp

    ではでは、また来週!

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