女性向けインナーを中心に、通信販売ビジネスを展開するピーチ・ジョン。1994年の創業以来、カタログ誌「PJ」やECサイトによる通信販売のほか、国内外で直営店舗も展開。今や取り扱いアイテムは、アウターやシューズ、アクセサリー、コスメ、インテリア小物など幅広く、堅調な成長を続けている。

ピーチ・ジョンは2011年3月11日の東日本大震災をきっかけに、一部の社内インフラの調達パートナーとしてデータライブを選択。現在は、単純な調達のみならず、同社のEOSL(End of Service Life)ハードウェア保守サポートサービスも契約している。

EOSLハードウェア保守サポートサービスとは、メーカーの保守サポート期限が終了した機器/パーツに障害が発生した際に、オンサイトにてシステムの修理対応をするサービス。近年はITコストの抑制やシステムライフサイクルの見直しといった観点から「延伸稼働」を求める企業が多く、大きな注目を浴びている。

なぜ、ピーチ・ジョンはEOSLハードウェア保守サポートサービスを選択したのか。ピーチ・ジョン経営企画部情報システム課 課長の安住祐一氏は、その理由を「コストとサポート力、そして対応担当者の提案力」と語る。

EOSLハードウェア保守サポートサービスの導入は、ピーチ・ジョンにどんなメリットをもたらしたのか――。安住氏とピーチ・ジョン 情報システム課の湯田知之氏、そしてデータライブ 業務本部 営業部 チームリーダーの天野博昭氏の対談から、その答えを探っていきたい。

株式会社 ピーチ・ジョン

1994年に設立された、女性向けインナーの通信販売を主事業とする企業。

2006年よりワコールホールティングスと資本提携を開始。現在は同社の完全子会社という位置づけにある。20代30代の女性をターゲットに据えて事業を展開している。

通信販売のみならず、実店舗も運営。国内のみならず、中国(北京、上海、香港)にも店舗を構える。

URL:http://www.peachjohn.co.jp/

ピーチ・ジョンが抱えていた課題と、データライブの解決策

課題 解決策
東日本大震災で仙台支社のサーバールームが倒壊。サーバーマウントレールなどを緊急で探していたが、震災後の混乱で調達が難しく、どこに問い合わせても「2カ月以上かかる」との回答だった。 たまたまWeb上で見つけたデータライブに問い合わせると、すぐに調達可能との回答。わずか一週間で指定日に仙台へ納品される。
基幹システムの大規模リプレースに伴い、開発環境、品質保証環境(開発環境)を本番環境に合わせて刷新。本番環境以外のシステムにかける予算は極力抑制したい。 データライブのリユースサーバを使って開発環境、品質保証環境を構築。大幅なコスト削減(新品だと1500万円~2000万円程度かかる費用が10分の1の価格)を実現したうえ、本番環境に近いマシンパワーを確保。
東日本大震災の経験から、いざというときもスピーディに確実に対応してくれる、信頼できるパートナー、保守サービス提供会社としてデータライブのような会社が必要であると痛感した。 今回、リユースサーバの導入とともに、データライブのEOSL/EOLハードウェア保守サポートサービスを契約。機種、メーカー保守期間にとらわれることなくサポートが受けられるうえ、営業担当者の技術知識、機動性が高く、通常のサービスを上回る手厚いサポートが得られている。

──仙台にあるピーチ・ジョンのサーバールームは、東日本大震災で甚大な被害に遭ったと聞きました。

ピーチ・ジョン 経営企画部情報システム課 課長 安住祐一氏

安住 :はい。社内サーバールームにある5本のフルラックが倒壊、破損しました。サーバールーム復旧のため、床の耐震補強を行い、全てのサーバラックをハーフラックに変更。ラック間を横連結し、サーバを再マウントするため、急遽サーバーマウントレールなどのパーツを探していたところ、WEBサイトでデータライブさんを見つけて問い合わせをしたのが最初のやり取りです。

――一刻も早くサーバーマウントレールが必要だったのですね。

湯田 :当時の最優先課題は業務復旧です。多くの企業が同じようにダメージを受けている状況では、資材調達も難しく、新品の場合納品まで2カ月かかると言われましたが、そんなに待てません。スピードを重視した状況の中、迅速に対応してくれたのが、データライブさんでした。取り急ぎDL360G5用ラックレールを注文したのですが、一週間で納品されたのには驚きました。しかも震災後の仙台に、です。

――それがきっかけとなり、データライブさんとのお付き合いが始まるのですね。その後にサーバも導入したと伺っていますが、リユースであることに抵抗はありませんでしたか。

安住 :それまでリユースを利用したことはなかったので、まったく不安がないと言えば嘘になります。しかし、データライブ担当者さんのレスポンスの速さと的確な提案力で、その不安はすぐに払拭されました。技術や製品に対する知識も豊富で、こちらの要望をすぐに理解し、それ以上の提案をしてくれる。詳細な動作確認の結果までくださいました。調達のスピードだけでなく、すばらしい人材も“確保”しているのだと感じました。

天野 :ありがとうございます(笑)。資材調達に関しては、パートナーとグローバルで在庫を共有しています。生産/販売中止になっている製品でも、在庫があれば約一週間で調達できるよう体制を整えています。また、あらゆるメーカーの製品を扱うのですから、製品や機種、そして技術に関する勉強会も積極的に行っています。

――ピーチ・ジョンさんは現在、大規模リプレースを今年4月に控えていると伺っています。その開発環境、品質保証(環境)をデータライブさんから調達したハードウェアで構築し、EOSLハードウェア保守サポートサービスを契約したそうですが、導入までの経緯やシステム構成を教えてください。

天野 :「本番環境を2014年に更新する」と伺ったのが2012年12月ごろでしょうか。そして2013年7月に、大筋のご希望要件を頂きました。

ピーチ・ジョン 情報システム課 湯田知之氏

湯田 :こちらの要望としてお伝えしたのは、1) 保守期間は5年間であること。2) 16GB(ギガバイト)のメモリを搭載した6コアクラスのサーバが2台程度必要であること。3) ストレージはiSCSI対応で、2TB(テラバイト)の容量がほしいことです。開発環境なので、基幹システムのようにミッションクリティカルである必要はありません。しかし、あらゆる検証をするため、システムへの負荷は大きい。ストレスなく検証作業ができるように使い勝手を重視し、メモリとCPUを高性能にする部分は譲れませんでした。そうした条件の中で、どこまで投資するのか。こちらの希望金額は200万円前後で、納品期限は12月とお伝えしました。本番環境の稼働は2014年4月と決まっている。そのために1月中にはソフトウェアをセットアップして稼働させないと間に合いません。

――具体的な機種選定はどうされたのでしょうか。

湯田 :それまで利用していたのがHP(ヒューレット・パッカード)製品だったので、使い勝手の観点からHP製品を希望する旨はお伝えしました。とはいえ、東日本大震災以降、データライブさんとは定期的にコミュニケーションしていたので、機器選定の際にもこちらの状況を最初から説明する必要はなく、スムーズにやり取りができました。

安住 :構成を決める際にも、的確な提案を頂きましたね。例えば、HDD(ハードディスクドライブ)は6Gb/sを考えていたのですが、コスト面から考えると3Gb/sのほうが安く構成できる。また、ストレージ構成では、どの容量のHDDを何本使用すれば、どのくらいの容量を確保できるかといったことを、コスト比較しながらすりあわせをしました。最終的には同じシステムを新製品で購入した際の価格を提示頂き、納品タイミングを協議したうえで見積価格の最終調整を行いました。何度か要件の見直しを行った際にもレスポンスも早く、短い期間で決定に至ることができました。

――購入製品を教えてください。

安住 :「HP ProLiant DL360 G7」サーバが3台、「HP StorageWorks MSA2012i X」ストレージが1台です。新品と比べたら驚くほどの金額でした。調達までの期間が短かったのと、かなりのコスト削減が実現されていたので、他社から見積もりを取る必要もありませんでした。新品で購入する場合は、間違いなく相見積もりが必要ですが、そうした手間が省けたのも大きいですね。両製品とも3年間の「HP EOSL オンサイト保守サービス」(平日9時~17時)をつけました。

――リユースでオンサイト保守サービスに関してはどういう印象をお持ちですか。

湯田 :サポートに関して言えば、「新製品だからメーカーのサポートをすぐに受けられる」とはかぎりません。新製品を導入したとしても、故障パーツに在庫がなかったり対応窓口が縦割りだったりしてコミュニケーションに時間かかることはあります。例えば東日本大震災時、多くのメーカーのサポート部門はてんてこ舞いでした。保守期間内でもメンテナンスに訪れたメーカーの担当者が“不慣れ”で、事態が一歩も進まなかったケースも多かったです。

安住 :その点、データライブさんの迅速な対応力は身を持って知っており、今後のサポートについても期待と信頼を寄せています。

データライブ 業務本部 営業部 チームリーダー 天野博昭氏

天野 :リユースサーバであるからこそ、「保証」と「サポート」は必須だと考えています。われわれは、パーツ故障の際には最短1日での「部品交換」できる調達体制を整えています。新製品でもメーカーの保守期間が過ぎれば障害時に対応する窓口がなくなってしまう。その結果、OSを更新したりアプリケーションを移行させたりと、“メーカー側のライフサイクル”にお客様が振り回され、結果、お客様は多大なコストと時間を費やすことになってしまいます。

大切なのはお客様のビジネスを止めないこと。われわれの「EOSL/EOLハードウェア保守サービス」は、“お客様側のライフサイクル”を第一に、システムを安定稼働させるためのサービスです。コスト面でのアドバンテージももちろんですが、メーカーからは手に入らないパーツも提供できる。「システムは最新ですが部品が1つ足りないので稼働しません」では本末転倒です。

――ピーチ・ジョンさんではシステムの構築・運用・保守にコンサルティング/外部SIをファーム利用していると伺いました。リユースサーバを利用することについて、同社や社内の反応はいかがでしたか。

安住 :本番環境の構築やミドルレイヤー以上の保守は外部SIさんが担当していますが、開発環境、品質保証環境のインフラの保守は社内で行っています。リユースサーバ導入に際しては、先方とアプリケーション動作に問題がないかを確認しましたが、まったく問題はありませんでしたね。

湯田 :正式発注前に(リユースサーバを利用することは)伝えていましたが、それに対して懸念されたことは一度もないです。大切なのはシステムが安定稼働し、アプリケーションがきちんと動くことですから。

安住 :社内の情報システム課としては、導入システムの重要度に応じた費用対効果を検討するように徹底してきており、今回、データライブさんの「リユースサーバ」を購入し保守をお願いしたことで、1000万円以上のコスト削減が実現した。そういったコストを、より販売促進や売上拡大の方に投下していくべきだと考えています。

天野 :ハードウェア製品のライフサイクルは短縮化していますが、「まだ使えるから延命したい」というニーズは高まっています。また、お話いただいたように「安定して利用できるのであれば、新製品/リユースは問わない」とお考えのユーザーさんもいらっしゃいます。そうしたニーズに対し、われわれは調達力とサポート力、そして“人間力”で応えていきたいと考えています。