ジャムの定義ってどうなっているの?

パンにつけるジャム。スーパーなどでも年中どこでも買うことができますね。最近はパンだけでなく、ヨーグルトや紅茶にいれたりして楽しむ人も多いかと思います。しかしそのジャム、本当に本物でしょうか?

微量の果物でも「ジャム」に

本連載は、イメージと実態が異なる食品を紹介してきましたが、ジャムはその中でも、屈指の上げ底が可能な食品と言えます。そのため、「ジャムのようなもの」が実にたくさんあるのです。例のごとく、食品の裏にひっそりと書かれているラベル欄に、その正体は書かれています。

ジャムという言葉はJAS(日本農林規格)で規定があり、規定を満たさないものは、ジャムとは表記できません。その規約は以下です。

「果実、野菜又は花弁を砂糖類、糖アルコール又ははちみつとともにゼリー化するようになるまで加熱したもの またはそれに酒類、かんきつ類の果汁、ゲル化剤、酸味料、香料等を加えたもの」。

ここで大事なのは、~ジャムと書いてあるからといって、果物と糖類だけで作られていなくてもジャムと表記できる点です。さらに、規定には別のもので上げ底したかどうかを表示する義務はないので、実際の果物が少しでも入っていれば、「ジャム」や「ジャム類」「マーマレード」と表示ができてしまいます。

ジャムの上げ底の正体

ジャムの上げ底とはいったい何なのでしょうか? 答えは簡単! 水飴と酸味料、着色料、香料などをペクチンで固めればジャムの上げ底的なものがいくらでも作れてしまいます。極端な話、かき氷のシロップのようなものに、ペクチンというゲル化剤(実際のジャムは、果実中のペクチンが出てきてジャムとなる)で固めてしまえば、ジャムのようなものになってしまいます。

とはいえ、それは表示上「ジャム」とは名乗れません。一般的には、実際の果実ジャムと混ぜ込んで「ジャム」にしてしまうことが多いようです。

やはり、そういったジャムもどきの含有率が多いほど、本来のジャムとはかけ離れていくので、ジャムの味は値段相応となります。1瓶300円でたっぷりと入っているものから、小さい瓶で1,000円近くするものまで様々なのは、そういった原材料によるものです。

ヘルシージャム風ゼリーの作り方

この原理を応用すれば、果汁ジュースを材料に、砂糖を最低限にしたジャムとゼリーの中間のようなものを自分で作ることができます。砂糖の量を自分好みにできるので、日持ちはしないものの、パンにつけておいしく食べることができます。

材料
果汁100%ジュース
砂糖
クエン酸
ペクチン
ゼラチン

作り方はとても簡単です。鍋にジュースを入れ、そこに好みの味になるまでクエン酸と砂糖を加え、そのあと、ゼラチンとペクチンを入れます。ゼラチンは100mlにつき1g以下、ペクチンは箱書きの説明よりやや少なめに入れます。あとは30秒くらい沸騰させたあと瓶につめて冷蔵庫にいれて冷やせばできあがりです。是非お試しあれ!

筆者プロフィール : くられ

『アリエナイ理科ノ教科書』(三才ブックス、シリーズ累計15万部超)の著者。全国の理系を志す中高生から絶大な支持を得ており、講演なども多数展開している。近著に『ニセモノ食品の正体』(宝島社)がある。メールマガジン「アリエナイ科学メルマ」ツイッターなどで、日々に役立つ話を無料配信している。