多くの場合、主成分は乳成分ではなく……

ファストフードショップには、一般生活にはなじみのない食べ物がいくつかあります。その中でも最も異彩を放っているのが、「シェイク(シェーキ)」と呼ばれる半液体性のアイスクリームでしょう。

口の中に広がる冷感と甘み、口当たりの良さもあいまって、あっという間に結構な量が飲めてしまう。カロリーが高いと知っていても、「ご一緒にシェイクもいかがですか?」という一声に、ついつい注文してしまう人も多いのではないでしょうか。しかし、そんなシェイクは一体何でできているのでしょう?

主成分はサラダ油とガムシロップと水

ファストフードで提供されているシェイクは、それぞれ工場にて一括で製造され、母液の状態で店舗に納品されます。そのため、ふだん私たちが目にするシェイクと言えば、カウンターの向こう側で、コックをひねれば出てくるシェイクでしかありません。

では、工場ではどうやって作っているのでしょうか? メーカーによって違いはありますが、極論してしまえば、サラダ油とガムシロップが半分、残りは水という感じになります。「でも、公式サイトには厳選された牛乳使用と書かれている」と言う人もいるかと思いますが、よく見るとその牛乳の成分の比率は明らかにされていません。

実際に、ファストフードのシェイクを鍋に入れてひたすら煮込んでみると、乳化しきれず油があふれ出てきます。これは以前紹介した「ラクトアイス」にも言えることで、「アイスクリーム」は煮込んでも牛乳が煮詰まっていくようなものができるだけで分離はしません。一方、ラクトアイスは100度を超えたあたりから一気に分解が始まり、油がどんどん浮いてきます。乳化成分が油や水を抱き込んで、「溶けている」状態を維持できなくなるからです。

家でも簡単に安く作れちゃう

というわけで、結局はラクトアイスをコーヒーフレッシュと水で薄めてミキサーしたものと言えます。そのため家で作る場合は、材料を工夫して作ることも可能です。

ミキサーにラクトアイス(ないしは本物のアイスクリーム)を100g入れ、コーヒーフレッシュ50ml、水50ml(この2つを牛乳100mlにするとおいしい)、30~50gの砂糖ないしガムシロップを混ぜてバニラエッセンスを数滴足す。あとはミキサーでブイーンとかき混ぜれば完成です。

ファストフードでおなじみのアノ味が、格安でいつでもお手軽に再現できます。砂糖のかわりにチョコソースを入れればチョコシェイク、ストロベリージャムを大さじ3杯ほど入れて作ればイチゴシェイクになります。簡単な上に、食べているものの中身が分かるという安心感もあるかと。一度お試しアレ。

筆者プロフィール : くられ

『アリエナイ理科ノ教科書』(三才ブックス、シリーズ累計15万部超)の著者。全国の理系を志す中高生から絶大な支持を得ており、講演なども多数展開している。近著に『ニセモノ食品の正体』(宝島社)がある。メールマガジン「アリエナイ科学メルマ」ツイッターなどで、日々に役立つ話を無料配信している。