しょう油の見極め方とは?

日本食の根幹ともいえるしょう油。日本食の多くに使われ、そして刺身から卵かけご飯にいたるまで、我々の食のベースとなっている調味料です。つまり、しょう油が味を決めるといっても過言ではありません。そこで今回、ラベルから分かるしょう油の見極め方を紹介します。

しょう油は味の基本であるため、どんなに食材が良くても、駄目なしょう油だと仕上がりのランクが下がってしまいます。逆に言うと、素材が普通でもすばらしい味のしょう油を使うとおいしい料理に仕上げることができるのです。つまり、しょう油はコストパフォーマンスの良い調味料と言えるでしょう。

しょうゆ風調味料は塩水?

そんなしょう油には、まず大きく分けて2つあります。「しょうゆ」と「しょうゆ風調味料」というものです。

「しょうゆ風調味料」の中には、脱脂加工大豆を塩酸や特殊環境の水熱分解でアミノ酸に分解したものや、グルタミン酸ナトリウムなど各種合成アミノ酸で調整したものなどが含まれています。言うなれば、大豆風味の黒い塩水です。そのため、「しょうゆ」に比べて風味は浅く、塩水で味付けをしているかのような味わいになってしまいます。

しかし、「しょうゆ風調味料」を一括(くく)りに悪く言えるのであれば話は早いのですが、もう少し話はややこしくなります。例えば、丸大豆を使わずに作ったしょう油、又は魚醤(ぎょしょう)なども、品質表示を定めたJAS規格の上では「しょうゆ風調味料」になっています。それゆえ、しょう油選びには原材料を見ることが大事になってくるのです。

見るべきは原材料欄

スーパーなどでしょう油の棚を見ると、安いしょう油とそうでないしょう油があるのに気が付くはずです。

安いしょう油というのは1ボトルあたり300円以下のもので、商品ラベルを見ると「しょうゆ」だったり「しょうゆ風調味料」だったりします。しかし大事なのはそこではなく、原材料なのです。

安いしょう油は脱脂加工大豆を原材料にしています。これは、工業的にレシチン(ラクトアイスにも使われています)や大豆油を取り出して残った大豆です。たしかにこれも立派な大豆ですが、油分が失われているため、油由来の風味は少ないものになります。とはいえ、安いしょう油でも味わいを追求したものも存在しています。

ではどうやって見分けるか。ひとつの見方として、原材料の欄に書かれた化合物の量を基準にするといいでしょう。多くの化合物名が並んでいるものは、そうでないものと比べても味に遜色がないかもしれませんが、逆に言うと、化合物なしでは味わいが難しいとも考えられます。

そして何より、まずはいろいろ買ってみて、自分の舌で味わってみる。これが大事です。日本食の肝とも言える調味料なので、日本人としてその味をしっかり見極められるようにしたいものですね。

筆者プロフィール : くられ

『アリエナイ理科ノ教科書』(三才ブックス、シリーズ累計15万部超)の著者。全国の理系を志す中高生から絶大な支持を得ており、講演なども多数展開している。近著に『ニセモノ食品の正体』(宝島社)がある。メールマガジン「アリエナイ科学メルマ」ツイッターなどで、日々に役立つ話を無料配信している。