美容の基本は日焼け対策!

さて、夏本番を迎えたところで、日焼け止め成分について見直してみましょう。日焼け止めを選ぶ際、どのくらい紫外線をカットするかを示すSPFやPAに目が行くと思いますが、表示ラベルを見てみると、ちょっと興味深い発見ができますよ。

歴史ある無機系、新出の有機系

まず、紫外線に対抗する成分は大きく分けて2つ、無機系と有機系です。無機系は、酸化チタンや酸化亜鉛といったもので、古くから知られているものです。一方近年、有機系、つまり有機化合物である成分の使用量の緩和がなされ、まだ少ないですが商品が出つつあります。

日焼け止めには長らく、酸化チタンと酸化亜鉛というものが使われてきました。これらは、最近はやりの化粧品自作コーナーなどで購入することもできます。自作日焼け止めは、保存料などをゼロにできる(その代わり、2週間以内に使い切って、必ず冷蔵保存すること)など、肌の負担を気にする人には良いかも知れません。

とはいえ、紫外線を反射するこれらの成分は肌への密着カバー感が強く、乾いてきた際に肌が引っ張られるような感覚があり、これが不快と感じる人も多いです。また、成分自体は真っ白であり、塗ると青白い色味が肌についてしまう。そこで、各社はファンデーション的な感じの色味を混ぜるなどして対策しているのです。

印刷用インクに使用していた成分

一方、無機物のこれらに対して、有機物で紫外線を吸収してしまおうという薬剤が出てきました。もともとは印刷用インクに含まれた成分で、紫外線による印刷物の劣化を防ぐために使われてきたものです。これが人体に害がほとんどないということが分かったことで、日焼け止めとしても応用され始めたのです。

有機系の代表的な成分は、「メトキシケイヒ酸エチルヘキシル」「メチレンビスベンゾトリアゾリルテトラメチルブチルフェノール」という舌をかみそうな成分を始め、数種類の紫外線を吸収する化合物が商品ラベルの原材料欄に書かれています。

これら有機系紫外線吸収剤は、最も肌にダメージを与えるUVBに対して極めて強い抵抗力を見せるのですが、紫外線の大部分を占めるUVAはやや苦手です。そこでそれぞれの得意な成分を数種類配合することで、無機系に負けず劣らないSPFやPAを出しています。

自分に合うかは簡易パッチテストで

当然のことながら化粧品として認可されている以上、それなりの安全性は報告されています。しかし、世の中にはゼロリスクというものは存在しません。リスクとメリットをしっかり天びんにかけて考えることが大切なのです。

いずれの日焼け止めも、肌に合うかどうかをどうしても確かめたい人は、簡易パッチテストがオススメです。布のついた安い普通の絆創膏(ばんそうこう)にテストしたいクリームを塗り、首筋など目立たないところに貼り付けます。女性であればふだん使っている化粧品と混ぜて付けることで、化粧品との相性もある程度見ることができます。

簡易であれば24時間経過(理想は48時間)したあと、絆創膏をはがして確認。赤くかぶれていたりしなければ、少なくとも短期間ではそれほど悪影響は出ないということが確認できます。

筆者プロフィール : くられ

『アリエナイ理科ノ教科書』(三才ブックス、シリーズ累計15万部超)の著者。全国の理系を志す中高生から絶大な支持を得ており、講演なども多数展開している。近著に『ニセモノ食品の正体』(宝島社)がある。メールマガジン「アリエナイ科学メルマ」ツイッターなどで、日々に役立つ話を無料配信している。