【コラム】

プレゼンテーション成功のコツ

4 "選挙"という名のプレゼン劇場

 

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10月10日から本格化する衆議院の選挙戦、プレゼンテーションという観点からも見逃せません。

というのは、台風の目になっている小池百合子さん、自民党に属していたこともあって政策的にはほとんど安倍政権と変わりません。したがって、選挙演説も中身うんぬんだけでなく、「いかに見せるか」が重要になる可能性が高いのです。

そこで今回は、選挙の際によく使われるプレゼンテーションの手法を紹介します。選挙戦を面白く見ることにもなりますし、「見た目」にとらわれずに本当に良い政治家を選ぶきっかけになればうれしいですね。

"選挙"という名のプレゼン劇場

2秒に1回の「まばたき」で自信あるプレゼンに

普通のプレゼンテーションでもそうですが、選挙の演説だったら余計に「自信がある」ように見せたいもの。オドオドした政治家に「この国を任せたい」と思う人は誰もいませんからね。そんな際に気をつけたいのが、「まばたき」の数です。実はまばたきがあまりにも多いと自信がないように見えてしまうのです。確かに日常生活でも、やたらと目をパチパチさせてたら、「この人、大丈夫かな?」と思ってしまいます。

実際の数字で比較してみましょう。プレゼンテーション上手の政治家と言えば、アメリカの元大統領バラク・オバマさんが思い浮かびますが、その就任演説を分析したところ、平均的には1分間あたり27.4回のまばたきをしていたそうです。大体2秒に1回程度ですから、このくらいを目指したいものです。日本の政治家では、安倍さんは1分間に29.2回だそうですから、合格点と言えるでしょう(※1)。

※1 佐藤綾子著『安倍晋三プレゼンテーション 進化・成功の極意』(学研マーケティング/2014年)

ただ、そうは言ってもまばたきをしないようにというのもなかなか難しいですよね。日常生活ならともかく、人前で話すときには緊張してしまうので。そこで、ここでは誰もが実践できる緊張を防止する方法をご紹介しましょう。それは「ヨーグルトを食べる」というものです。

聞くと、「ナニ冗談を言っているんだ?」と思うかも知れませんが、実はこれ、ホント。というのも、一見関係ない脳と腸は生物学的には近い器官で、実際に人間の腸には脳細胞が存在し、「ニューロン」と呼ばれる情報伝達器官の数は脊髄よりも多いそうです。マウスを使った研究によると、腸内環境を良くする食べ物を与えたマウスは不安レベルが下がるという報告もあり、「脳腸関係」は科学的に証明されているとか。考えてみれば、緊張のあまりお腹が痛くなることはあるわけで、逆もまた成り立つと言われれば納得です。

なので、緊張しない体質になるためには、腸内環境を良くすることが大事です。ちなみに、緊張とどう向き合うかのスポーツの世界においてはもはやこれは「常識」のようで、元日本代表サッカー選手の鈴木啓太さんは岡山大学とコラボして腸内環境を整えるサービスを提供する会社を立ち上げているぐらいです。もちろん、ヨーグルトだけでなく、最近は整腸作用がある乳酸菌飲料もたくさんあります。プレゼンテーションのときに緊張しがちと言う人は、自分に合ったものを飲み続けてみてはいかがでしょうか?

苦しいときこそ見せる「凛とした姿勢」

自信があるように見せるという観点では「立ち姿」も重要で、背筋を伸ばして堂々と、そして凛とした姿を見せる必要があります。逆に姿勢が悪いと貧相に見えて、その人本来の良さが損なわれてしまいますね。実際、アメリカの大統領選では、身長が高い候補者の方が勝率が高いなんていうデータもあるぐらい。身長そのものは変えられないにしても、姿勢に気を遣いたいものです。

では、どうやって堂々とした姿勢で立つかと言うときにお勧めなのが、「壁4点立ち」という手法です。もしも、近くに壁がある方はやってみてください。両足のかかとを壁にピッタリつけて立ったとき、体のどこが壁に触れていますか? 正解は、かかと、お尻、肩甲骨、後頭部の4点が触れている状態です。もしも背中がべったり壁についていると猫背の疑いがありますし、後頭部がつかない人は首を前に突き出すクセがある可能性あり。最近は特にスマホを見る時間が長くなって姿勢が悪いケースが多いので、大事なプレゼンテーション前には「壁4点立ち」でチェックすることをお勧めします。

ちなみに選挙戦で言うと、投票日が近くなったころに姿勢の違いが表れます。選挙戦も大詰めに入ると、さすがに候補者も疲れてきますよね。そうすると、ついつい気が緩んで姿勢が乱れる人も出てきます。苦しいときほどその人の本当の姿が現れるわけで、誰が最後までりんとした姿を保っているか、ご自身の選挙区の候補者をチェックする目安としてみてください。 キャッチフレーズで自信を取り戻す

ここまで読んでも、「そうは言っても、プレゼンテーションの途中で頭が真っ白になっちゃうことがある」という方は、キャッチフレーズにこだわってみてください。専門的には「サウンドバイト」と言いますが、耳ざわりのいい言葉を連呼することは、プレゼンテーション上手になる近道です。

有名なところではオバマ元大統領の"Yes, We Can"。要所要所でこのキーフレーズを挟むことで、リズムが良くなって話しやすくなります。更に選挙のスピーチの場合、聴衆が一緒に言葉を言ってくれれば、一体感が出てますます話しやすくなること間違いなし。

日本の政治家で言えば、小泉純一郎元首相の「自民党をぶっ壊す」なんてのが耳に残るサウンドバイトでしょうか。あるいは、今回の選挙戦で言うと小泉進次郎さんがサウンドバイトがお上手です。先日も演説が話題になりましたが、都知事の職にありながら国政選挙に出馬をうかがう小池氏を批判して、「出ても無責任、出なくても無責任」と揶揄したところは、お父様譲りのセンスを感じました。

ご自身のプレゼンテーションでも、このサウンドバイトを採り入れると、自分で「そうそう、このリズム」と安心感が出て自信につながることかと思います。その際には、"Yes, We Can"のようなかっこいいセリフでなくても構いません。「はい」、「では」のようなごく簡単な言葉でもけっこう「効く」ので、まずは使ってみて、リズムの効果を実感することをお勧めします。

執筆者プロフィール : 木田知廣

シンメトリー・ジャパン代表、米マサチューセッツ大学MBA講師。米国系人事コンサルティングファーム、ワトソンワイアットにてコンサルタントとして活躍した後英国に渡り、ロンドン・ビジネススクールの故スマントラ・ゴシャールに師事する(2001年MBA取得)。帰国後は、社会人向けMBAスクールのグロービスにて「グロービス経営大学院」の立ち上げをゼロからリードし、苦闘の末に前身的なプログラム、GDBAを2003年4月に成功裡に開校にこぎつける。2006年シンメトリー・ジャパン株式会社を立ち上げ、自ら教壇に立つとともに後進の講師の養成を始める。ライフモットーは"Stay Hungry, Stay Foolish" (同名のブログを執筆中)。

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インデックス

連載目次
第5回 プレゼンを制する自己紹介の三法則
第4回 "選挙"という名のプレゼン劇場
第3回 プレゼンテーションに「効く」聞き手のタイプ分け
第2回 聞き手から嫌われる「自分勝手なプレゼン」の罠
第1回 日本人が陥りがちなプレゼンテーションの落とし穴

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