【コラム】

"PM力"向上に効く、12のレッスン

8 Lesson 7 : コミュニケーション管理

    鷺島淳一  [2009/03/16]

    コミュニケーション管理とは?

    『コミュニケーション管理』とは、PMBOK準拠の弊社プロジェクト管理方法論PMM※1で定義されている、プロジェクトマネジメントの管理領域の1つである。計画フェーズにおいてステークホルダーの識別と必要な情報の見極めを行い、後続フェーズにおいて会議体の開催や実績報告などのコミュニケーションに関する管理業務を実施する。

    ※1 Hitachi Consulting Project Management Methodology

    図1 :コミュニケーション管理 ~ PMM より

    今回はこのコミュニケーション管理についてのお話である。

    不均一なコミュニケーション環境を前提に考える

    コミュニケーション計画を立案するにあたり、前提とすべきは『不均一なコミュニケーション環境』である。システムインテグレーションにおけるプロジェクトでは、単一ベンダーまたは同ベンダーを中核とする複数ベンダーによって実施されることが多い。この場合、用語や開発プロセスなどについて暗黙の前提が置かれていることが多いが、これが『均一なコミュニケーション環境』である。全てを言わなくても分かる、あうんの呼吸で分かる、そんなコミュニケーション環境のことである。

    確かに均一なコミュニケーション環境を前提とすることで作業の生産性を高めることはできるかもしれないが、プロジェクトマネジャーの視点で考えると、均一なコミュニケーション環境を前提としたコミュニケーション管理の実践だけでは、応用力が利かなくなる。"いつものやり方"を自身の勝ちパターンとして、担当するプロジェクトの全てに適用しようと考えているようでは、"いつものメンバー"以外のプロジェクトを上手くマネジメントすることはできないだろう。

    筆者が所属するコンサルティングファームの場合、プロジェクトの特性に応じてエキスパートが召集されてプロジェクトチーム化されることが多い。特に業務改革を伴うプロジェクトであればお客様を含めたプロジェクトチームが構成される。このような状況では、均一なコミュニケーション環境は前提になりえない。コミュニケーション計画としては、あくまで不均一なコミュニケーション環境を前提として立案する必要がある。

    例えばコミュニケーション手段の1つである会議であれば、開催通知や当日の司会進行、議事録展開といった一連のプロセスが実施されるはずである。議事録は誰がいつまでに作成しどのような手段で展開するのか? "いつものメンバー"には冗長かもしれないが、それ以外のメンバーには必要不可欠な情報については、コミュニケーション計画においてきちんと規定しておくべきである。

    円滑な会議の運営のために

    プロジェクトでは定期的な進捗報告会を中心として、大小様々な会議体が設定される。コミュニケーションを円滑に進めるにはこの会議体を上手く運営していくことが必要不可欠であるが、ステークホルダーの限られた時間を有効に活用するためには工夫が必要である。

    事前準備~当日の司会進行~事後処理という会議に関する一連のプロセスにおいて、特に工夫が必要なのは当日の司会進行である。生産性の低い会議ほど空しいものはない。いわゆる"無駄な会議"は撲滅すべきである。では実際に会議の司会役を務める場合、どのような点に注意すれば良いだろうか?

    何よりもまず必要なのは、冒頭で会議の構造を明らかにすることである。本会議の目的やアジェンダ、時間配分や役割等を説明するなかで、参加するステークホルダーに対して期待値を明らかにしていく。基本中の基本であるが、この手順を省略すると"無駄な会議"に突入する可能性が高い。目的志向に立って必要最小限の議論だけを行う会議が望ましい。儀式としてではなく、必要不可欠な作業として冒頭での会議の構造化を行うべきである。

    次に会議中の心がけであるが、参加者の意見に耳を傾ける姿勢を忘れてはいけない。発言者の意見が理解できなければ遠慮なく確認すべきである。また会議の交通整理を担うという観点では、自分が理解できた場合であっても、他の参加者の理解が得られていないようであれば確認すべきである。この場合は、単に「もう一回お願いします」と発言を促すのではなく、「○○○と理解したのですが、間違いはないですか?」と確認することが望ましい。自身の理解が正しいかどうかの確認と他の参加者の理解支援を両立するだけでなく、発言者にとっても自分の意見がきちんと受け止められたという安堵感を生むことができ、一石三鳥のテクニックである。

    最後に議論が白熱し、数人の発言者以外が議論から脱落している状況での対処法について紹介しよう。この場合はホワイトボードを有効に使うなどして、議論の可視化を行うべきである。個々の言葉が飛び交うだけの"空中戦"から、全体俯瞰可能な"地上戦"へと導くことができれば、参加者全員が議論に参加・集中することができる。

    たかが会議と侮ることなかれ。"無駄な会議"はプロジェクトの進行においても大きなリスクである。前述の注意点を参考に、会議をより円滑に進めていただけると幸いである。

    執筆者紹介

    鷺島淳一(SAGISHIMA Junichi) - 日立コンサルティング マネージャー

    外資系ソフトウェアベンダーにてSOAエバンジェリストとして、日本国内へのSOA啓蒙活動と共に、製造・サービス・流通業を中心としたSOA導入支援を実施。2007年より現職。コンサルティング活動に従事する傍ら、PMコミュニティの運営も担当し、PM方法論のブラッシュアップに貢献中。




    監修者紹介

    篠昌孝(SHINO Masataka) - 日立コンサルティング ディレクター

    国内最大手ファイナンシャル・グループにおいて多数のeコマース立ち上げを経験し、2001年に外資系大手コンサルティングファームに入社、主にERPやSOA技術を駆使した、大規模SIプロジェクトを成功に導いた。2007年より現職。

    新着記事

    特設サイトの情報

      人気記事

      一覧

        イチオシ記事

        新着記事

        特別企画

        マイナビニュースマガジン